エピソードまとめ

□シャルル
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ep.1 源獣に至るもの
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〔街道会話 老人〕
「獅皇アグライア様は正道を尊ばれます。騎士道と呼ばれる行動規範もアグライア様のお言葉から始まったとされています」

「規範というからには、決まりごともあるんですか?」

「はい。文字通り騎士の守るべき道が。ですがそれはアグライア様の教えの一側面に過ぎません。騎士道がそのまま正道というわけではないのです」

「むう。……煮え切らない話ですね」


〔街道会話 子供〕
「この先をずーっと進めば、アグライア様のすごく近くに行けるって話だけど……道がとっても荒れててヘトヘトになって、体力がなくなって帰れなくなるって噂だし。うう……うしよう……」

「行きたいのなら勇気を出すべきですわ!」

「でも……さっき向かった眠そうな目の男の人と、小さい女の子も帰って来てないし」

「や、やっぱり無理だよお……」


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〔道中会話〕
「それはそうといいお話を聞けましたわね」

「正義がどうこうの話かい?」

「ええ。そういえば騎士道と呼ばれるものも、獅皇アグライアの言葉から始まったそうですわ。弱きを助け、強きを挫く!わたくしもそのようにありたいものですわ」

「お嬢様、かっこいいです!」

「うふ」

「騎士道ね……。正直お兄さんにはピンとこないけど、さっきの司祭が言ってた、正しさが立場によるってのは、わかる話だわな。シャルルとしてはそこが不服なようだが」

「理解者みたいな言い方やめてもらえますか」

「ええ……」

「さあ、もうすぐ生源獣ですわー!」

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3人は森の中を進み、アグライアの近くたどり着いた。

「すごいですわ!」

そう言ってアナマリアは上を見上げた。

「遠くからでも勇壮なお姿でしたが、近くで見ると圧巻の一言ですわー!」

「アナマリアちゃん、もうちょっと声量落とそうか」

興奮するアナマリアにラウルがそう声をかける。

「ほら、他にも人がいるからさ」

そう言ってラウルが視線を向けたのは、ピンクと水色の独特な髪色をしたツインテールの女の子と、その少女の横に立った黒髪の青年だった。
ツインテールの娘は、何かの装置の様なものをアグライアのいる方へ掲げてみていた。


「あれはなにをしておりますのー?」

「さあ?お兄さんにもわからん。けど、人の事を詮索するのはマナー違反だよ」

「そうなんですの!?」

「ついでにこういう場所で大声を出すのも」

「まあ!?」

アナマリアは慌てて両手で口を抑えた。
そんなやり取りをしていると、少女の横に立っていた青年がこちらを見て歩いてきた。

「ほら、迷惑かけちゃったみたいだ」

「おい」

「ああ、青年。騒がしくして悪いね」

「いや、それは別に」

首を振った後、青年はアナマリアとラウルの後ろに視線をやった。

「……そいつ、調子が悪いんじゃないのか?」

青年の言葉に2人が振り返ってみれば、シャルルが頭を抑え、座り込んでいた。

「大変!?」

慌てアナマリアがシャルルに駆け寄る。

「シャルル、大丈夫!?」

「う……あ……」

シャルルは小さくうめき声を上げたかと思うと、ゆらゆらと立ち上がり、それから大きく胸を逸らした。

「あああああああああああ!」

シャルルが悲鳴のような声を上げ、次の瞬間、辺りは真っ白い光に包まれ、その眩しさに皆目を閉じるのだった。



「奪え」


意識が飛ぶ中、シャルルの耳に聞こえたのは、そんなシャルル自身の声だった。

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【CHAPTER3 源獣問答】
999Y.C.

次にシャルルが目を開けた時には、毛細血管の様なものが模様が浮かぶ宇宙空間のような中で、青い瞳の目玉のような足場の上に立つ、アナマリアとラウル、それと先程近くにいたツインテールの女の子と黒髪の青年の姿。


シャルルは、アナマリアに駆け寄った。

「シャルル!?大丈夫ですの!?」

アナマリア凄く心配そうな顔をしていた。

「はい。大丈夫ですよ?」

「痛いところとか?気持ち悪いとか?」

「見ての通り動作に問題ありません」

「そう。でもさっきはあんなに調子が悪そうでしたし、無理は禁物ですわよ?」

「さっき?」

シャルルが首を傾げると、アナマリアは驚いた顔をした。

「……覚えてませんの?」


シャルルにはアナマリアが何を言っているのか全くわからなかった。


「……どこだいここは?」

「さあ?」

呆然と突っ立って呟いたラウルにシャルルはそう答えた。

「いや、さあ?じゃなくてさ………」

「ボクに聞かれても、わかるわけないじゃないですか」

「ええ……」

何故かラウルは少し引いたようにシャルルを見た。

「どうしてそこで困惑するのか理解しかねますね。やはり年か……」

「ああうん。いつものシャルルだ……」


シャルルはラウルを置いて、黒髪の青年に近づいてみた。

「ここはどこだ?」

青年もラウルと同じように困惑しているようだった。

「さあ?」

「……気分はもういいのか?」

「はい?気分は最初から平常ですが?」

シャルルは何を言ってるんだ、と青年を見上げる。

「……そうか」

「変な人ですね」

そう言ってシャルルは、青年の隣に立つ少女を見た。

「ここは……まさか……」

「ここがどこだか知っているんですか?「」

「あなたは………」

シャルルを見たあと少女は変な機会を手に取った。

「この計測結果………。これは……だから………」

少女はぶつくさと何か呟き考え込んだ。

「危ない人ですね……」
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