エピソードまとめ

□シャルル
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ep.1 源獣に至るもの
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教会の扉を開けて、シャルルとラウルは中に入る。
中には教会の教壇の前で祈るアナマリアが居た。

「やっと追いついた……」

「遅いですわ!」

「申し訳ありません……」

振り返って怒るアナマリアにシャルルはすぐさま謝った。

「皆さん、ルディロームは初めてですか?」

そう声がして振り返ると奥から司祭がやってきた。

「そうなのですわ!親切な方が、源獣様を見に行く前に、ここで、お祈りしていくよう教えて下さったのですわ!」

「それはよい心がけです。獅皇アグライア様は正道、すなわち正義を尊びます」

司祭は正面の窓の外から見える源獣アグライアの姿を見ながら語り出した。

「アグライア様はおっしゃりました。迷いなき心を持たねば、真の正義には至れない。逆に一切の迷いなき心からの行動は、その者にとってまごうことなき正義であると」

「かっこいいですわ!」

アナマリアは身をくねらせる。

「ですが、それでは、自分が信じてさえいれば、なにをしても正義となるのではないですか?」

「その通りです」

司祭はシャルルを見て頷いた後、杖をつきながら入口に向かって歩き始めた。

「ですが、それはあくまで本人にとってのみです」

「え……?どういうことですの?」

3人は司祭の後をついて、教会の外へ出た。

「本人にとっては正義でも、他者から見れば悪たりうることもある。正義とは悪とは難しいものなのです。だからこそ人は学び、悩み、自らが信ずる道を見つけねばならぬのです」

「じゃあ、あなたは善悪を見定められるのですか?」

シャルルは何故か不機嫌そうにそう尋ねた。

「シャルル?」

「私はただ、アグライア様に仕える者。奉する源獣様を差し置いて、善悪の判断などいたしかねます」

「偉そうに講釈しておいてそれですか?」

「あー、すみません!こいつ生意気盛りの反抗期で!」

慌ててラウルがシャルルの腕を掴む。

「アナマリアちゃん、そろそろ」

「は、はい、そうですわね。司祭様、ありがとうですわ」

空気を読んでアナマリアは司祭に挨拶を告げる。

「皆様にアグライア様のご加護があらんことを」

シャルルの発言をさして気にしていないようで司祭は、そう言って見送ってくれた。

「では、源獣様の所へ参りましょう」

そう言っていそいそと3人は教会を離れる。

「それにしてもシャルル。毒舌吐くにしても場所と相手を考えろよ」

「そうですわね。あれはよくありませんわ。あんなに人を悪しざまに言うシャルルは初めて見ましたわ」

「あれ?」

アナマリアの言葉にラウルはおかしいなと首を傾げた。

「さっきまでお兄さんのこと、かなり馬鹿にしてたような……?」

「申し訳ありません。自分でも不思議なんですが、なんとなく不愉快になりまして……」

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〔マーケット会話 食材屋〕※ビターラタトゥイユ???のレシピ
「まあどれも美味しそうですわね。こちらの野菜はどんな料理に向いてますの?」

「そうさねえ……定番は、ビターラタトゥイユだろうさ。まずは新鮮な野菜を丁寧にカット。あとは調味料を、きっちり量って加えて煮込む。それだけで貴族様もうなる絶品の出来上がりさ」

「大体わかりましたわ!」

「シャルル……アナマリアちゃん、大丈夫?」

「丁寧とかきっちりとは程遠い顔してるよ」

「ラウルのくせに失礼な……。大丈夫ですよ、お嬢様の料理はいつだって最高ですから!」


〔街中会話 マーケット北門〕
「獣に極限まで近付くには、どうしたらいいでしょうか?」

「他に言い方あるでしょ……」

「随分熱心な方々ですね、それならこの門を出て右にずっと行くといいですよ。なかなか険しい道になりますが」

「そんなのどんと来いですわ!これも冒険の試練というものですもの!」

「本当に…熱心な信者さんですね」

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門を開けると大橋があり3人はそれを進んだ。

「ま、シャルルの場合そうやって、張り付けた笑みで全部隠すよりかは、感情さらけ出した方が人間らしいぞ」

大橋を通り抜けたら森の中に入り、すぐあった小さな石橋を渡る。

「人間らしいぞって言われましても、ボクは人間ではありませんので反応に困ります」

「なに言ってんだ……」

「ラウルこそなに言ってるんですか……」

シャルルは怪訝そうな顔をする。

「ねえ?」

アナマリアもシャルルに同調する。

「え?今の流れでお兄さんの方がおかしくなるの?何それ怖……」

真っ直ぐ抜けて湖に突き当たる。
そこから左には大きな学校があるのが見えるが、3人は道案内で聞いた通り右側の道をすすんだ。

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〔騎士学校周辺会話 男子生徒〕
「ここに学生が多いのは、すぐそこが学校だからだよ。……もちろん学校の中にも憩いの場はあるけど……。なんていうか気が休まらないからね。ここに来るのはサボリも兼ねて……って最後のは秘密だぞ!」


〔騎士学校周辺会話 女子生徒〕
「ここにはよくお昼を食べに来るんだけど、正直、学校を見ながらご飯を食べるのって、なんか……微妙な気持ちなんだよね」

「それは学校が嫌いということですの?」

「そういうわけじゃないよ。ただ……うちの学校ってかなり厳しいから。特にブレイズ担当の教官のしごきとか……もう見てるだけで寒気がするし……」

「そんな場所に好きこのんで通うなんて、物好きもいいところですね」

「……でもなんとなく、屋敷での生活を思い出しますわ」


〔騎士学校前 教師〕
「ここはイーディス騎士学校だ。部外者の立ち入りはご遠慮願おう」

「騎士学校……ってなんですの?」

「国の未来を担う若い兵隊の養成所ってとこかな」

「まあ、すごいですのね」

「ボク達と同じくらいの若者が、たくさんいるようですね」

「楽しそうですわ!わたくし、そもそも学校に憧れがありましたの!体験入学みたいなものは、やっていないのでしょうか?」

「……そういったものはない」

「がーん!ですわ!」

「お嬢様を門前払いする学校に未来なんてありませんよ」

「おいおい」


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※小ネタ
騎士学校の門の奥にマクシムとイェルシィがいる。
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