エピソードまとめ
□アナマリア・マルシュナー
8ページ/16ページ
ep.1 籠を飛び立つ鳥
─────────♢────────
ウルスルトスを倒したアナマリアは刀に付いた血を払い、ゆっくりと刀を鞘に戻した。
それを見て、シャルルは拍手の準備をする。
いつもならば、格好良いセリフを何かしら言うアナマリアなのだが、今回は何も言わずに、前へ、丘の上の崖っぷちに近づいて行った。
シャルルは困惑したまま、拍手しようとしていた手をおろし、アナマリアの後を追った。
崖の落下防止用の柵の前に立って、アナマリアは遠くを見つめた。
「……綺麗ですわ」
その目に映るのは、マナを削り取る装置を付けられた源獣ラズィを中心として発展した沢山のビルとリアクターが建ち並ぶ大きな都市だった。都市の周りはグルリと空中列車の線路が囲んでいる。
「お嬢様の生まれ育った所です」
「屋敷の外は、こんなに綺麗だったのですわね。……こうして見て、初めて実感しましたわ。お父様は亡くなり、博士ともお別れ。帝都にも、もう戻れない。………なにもなくなってしまいましたのね」
「……でも、ボクはお嬢様と一緒にいますよ」
シャルルがグッと両拳を握ってアナマリアを見上げてきて、アナマリアはニッコリと笑い返した。
「ありがとう。さあ、行きましょう」
そう言って、アナマリアは踵を返した。
「もうよろしいのですか?」
「ええ」
ぴたり、とアナマリアは足をとめた。
「なにもなくなってしまいましたが、だからこそ、わたくし達は、この先何をしたっていいんですわ!」
シャルルの方を振り返って、アナマリアは穏やかな顔でそう言った。
「もう、あの屋敷に縛り付けられなくてもいい!帝都も連邦も、敵も味方も……わたくし達には関係ありません!二人でいっぱい好きなことをしましょう!」
にこやかに笑ってアナマリアがそう言えば、シャルルは力ずよく、はい!と頷くのであった。
────────────────────
〔エピローグ〕
2人は、下へ向かって丘を下って歩いていく。
「まずは、なにをするのがいいかしら?」
「それを考えるのが最初のミッションですね!」
「じゃあ、候補を上げて行きましょう!」
「いいですね!それなら……遺跡なんかはどうでしょう?」
シャルルがそう言えば、アナマリアはピタッと足を止めた。
「いいですわね!冒険の定番ですわ。迫り来る壁……飛んでくる矢……数々の罠を抜けた先には、黄金に輝くお宝があるのですわ!」
「楽しそうですね!」
「そうと決まれば早速向かいますわよ!」
るんるん、と嬉しそうにアナマリアは歩き出した。
「はい!」
シャルルもその背を追って歩く。
「あ、でも……」
再びアナマリアは動きを止めた。
「遺跡ってどこにあるのでしょう?」
2人の間かにはただ、静寂が走るのだった。
────────────────────
〔次回予告〕
次回、テイルズオブルミナリア
エピソード アナマリア
ep.2 お嬢様の小さな冒険
次回もつまらぬものを切っていきますわよ!