エピソードまとめ

□アナマリア・マルシュナー
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ep.1 籠を飛び立つ鳥
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【CHAPTER3 お嬢様の冒険】
999Y.C. ジルドラ帝国 ハイガルデン地下

「す」

「す?」

「すごいですわ!屋敷の地下にこんな所があったなんて!冒険の臭いがしますわ!」

アナマリアは興奮したように叫ぶ。

「確かに鼻を塞ぎたくなるような、臭いはしていますね……」

地下道は薄暗く、臭いもキツいが2人はこの先を進むしかなかった。

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〔道中会話〕
「博士は無事でしょうか?」

「きっと大丈夫ですわよ。だってあの方お強いはずですもの。前に本で読みましたが……、博士という人種は"ひみつへいき"や、"かいぞうにんげん"なるものを駆使して戦うそうですの。きっと博士という人種にしか伝わらない秘伝なのですわ」

「そうだったんですか……。ボクにも秘密だったとは」

「それに最後には"じばくそうち"なる、生涯ただ一度だけ使える認奥着もあるんだとか。それを使えば自分もろとも周囲一帯を吹き飛ばすことができるそうですわ!」

「す、すごい!ボクもその"じばくそうち"が欲しいです!」

「駄目よ!"じばくそうち"は、博士にしか使えないんですの!使えるならわたくしも使いたいですわ」

「くう!残念です!……でも、もしかしたら博士は、じばくそうちにボクらを巻き込まないために、残ったのかもしれませんね……」


〔通気孔〕
「こんなところを通るなんて……本当に冒険ですわね!」

「ほうでふねほうけん、えすね」



〔道中会話〕
「博士のことは無事を祈るとして……。御父上のことお悔やみ申し上げます」

「そう言われても実感が湧きませんわ。お父様とはめったに会えませんでしたし、いきなり死んだと言われても……」

「博士の方がよっぽど会う機会は多かったですからね」

「そうですわね。薄情かもしれませんけど死んだと聞かされても、悲しみより戸惑いの方が大きいですわ」



〔通気孔2〕
「体がベトベトになっへひまいまひた」

「シャルルのその話し方はいったいなんですの?」

「この臭いにめげないとは……はふがはお嬢様でふ」


〔道中会話〕
「暗いトンネルを抜けるとそこは……」

「なんの変哲もない地下道が続いてますね」

「シャルル!ロマンがありませんわ!」

「すみません、お嬢様!」

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〔獣の群れ〕オタパプ、ジャフラ
「お嬢様!」

「大丈夫ですわ。わたくしの前に立ちはだかるなら……刀の錆ににしてくれますわ!どう!?今のかっこよくありません!?」

「とってもかっこよかったです!」

「そうでしょう、そうでしょう!……でもよく考えたら、刀は錆びちゃいけないのではなくて?」

「確かに」

「じゃあ錆にするというのは、なかったことにしましょう」


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アナマリアとシャルルは襲ってきた獣たちを一体一体、確実に処理していった。

「…ふ」

アナマリアは刀を鞘に仕舞う。その後ろで最後の1匹だったオタパプがマナへと還って行った。

「つまらぬものを切ってしまったわ」

そう言った後アナマリアは後ろのシャルルを見た。

「どう!?決まった!?」

「ばっちりです!」

「ああ……自分の才能が恐ろしいですわ」


この場所にツッコミは1人も居なかった。

そのまま2人は地下道を進んで言ったが、道がどこも崩れていて通れない。

「ここ……通り抜けられそうですわね」

アナマリアがそう言ったのは瓦礫の山と壁の間に開いた細い隙間だった。

「くっ……ギリギリの隙間ですわね……」

体を隙間に対して横にして、カニのように歩いていく。

「そうですか?ボクはまだ少し余裕があります」

「………それは嫌味ですの?」

小柄なシャルルの言葉にアナマリアはムッとした。

「先に進めましたわね」

「ええ」

「ふふ……。わたくし今とっても冒険してる感が出ておりますわ!訳もわからずにいきなり謎の集団に襲われての逃走劇……まるで物語の主人公みたいではなくて!?」

「ボクからすればお嬢様はいつでも主人公です」

「あらやだ、シャルルったら!お世辞がお上手だわ!」

そう言って2人は真っ直ぐ道なりに地下道を進んで行った。


「見てくださいませ!空が見えますわ」

地下道の登り坂を上がっていくにつれ、ゲートが見えて外の景色も見えた。

「星が綺麗ですね」

「これは出口が近いという証拠ですわよ!」

「ということは、ここから出られるのですか?」

「そうですわ!急ぎましょう!」

「はい!」

2人は揚々と走って坂を登る。
だが、途中で慌てて足を止めた。

「な……道が塞がれていますわ!」

上のゲートに繋がる道は途中で崩れてしまっていて渡れなくなっていた。

「これじゃここからは出られなそうですね」

「ガッカリですわ………」

2人は途切れた道の上から、下を覗いて見た。そこまで高さはないし、飛び降りても大丈夫そうだ。先に通路があるのも見え、2人はその先に進むため、ぴょん、と上から飛び降りるのだった。
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