エピソードまとめ
□アナマリア・マルシュナー
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ep.2 お嬢様の小さな冒険
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【CHAPTER4 追跡劇】
999Y.C. 森国シルヴェーア アンスワン森林
〔道中会話〕
「急がないと!」
「落ち着け、充分間に合う」
「ですが!?」
「奴さんは相当傷ついてる。いくら獣の足でも、そう遠くまでは逃げられないと思うよ」
「ああ。この状況は獣の方が分が悪い。安全な場所まで逃げ切れなければ、子どもをどうこうしてる余裕もないはずだ」
「だから変に焦った方が危ないってわけ」
「なるほど……。わかりましたわ。焦らず急げ!ですわね!」
〔道中会話〕
「申し訳ありませんでしたわ」
「突然なんの謝罪だ?」
「さっきわたくしが、もっとちゃんとあの子のことを見ていれば、こんなことにはならなかったはずです……」
「それを言ったらオレだって、あいつが飛び出すのを止められなかった」
「お互い様だ」
「子どもっていうのは時に思いもよらない行動に出るもんさ。誰かのせいって言うなら、他ならぬあの子自身のせいだよ」
「だな。だからあんまり気に病むな」
「でも……」
「まあ、それでも気になるっていうのなら、次から気を付ければいいんじゃないかい?人間は失敗するものだしね。重要なのは同じ失敗を繰り返さないことさ」
「良いこと言うな年の功ってヤツか?」
「いや、お兄さんはまだ若いから!」
「……ふふっ」
「少しは気が楽になったか?」
「ええ。ありがとうございますわ。必ずあの子を取り戻しましょう!そして汚名を襲名してみせますわ!」
「襲名してどうする……」
「汚名は返上するものだよ……」
「あらー?」
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〔イベント〕
「追いつきましたわ!」
「やはり傷は深いようだな」
「加えて子ども一人、咥えてるからねえ」
「加えて、咥えて……」
「親父ギャグで言ったわけじゃないからね!?」
ガルルドゥークが仲間のガルルとガルグランを呼んで逃走する。
「くそっ、往生際の悪い……」
「先にこの獣達をなんとかしましょう!」
「セコい時間稼ぎをされたねえ……」
「邪魔をするなんて許せませんわ!」
「手こずる敵でもない。さっさと倒してあいつを追うぞ」
「焦らず急げ!ですわー!」
獣討伐後。
「よし!やりましたわ!」
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999Y.C. 森国シルヴェーア キトルール草原
〔道中会話〕
「しかしあの子、大丈夫でしょうか……」
「気を失ってるみたいだったねえ」
「怖い物を見ないで済んで、逆にいいんじゃないか」
「うわ……ドライな考え方」
「そうか?」
「ともあれ早くお母様の元に帰してあげなくては!あれから結構経っていますし、きっと心配されていますわ!」
「……そうだな」
「しかし、あの獣もなかなか粘るねえ」
「ええ……、ここまで手こずるとは思いませんでしたわ」
「どちらにせよあいつに待ってるのは死だ。だからその前に一矢報いてやろうと最期のあがきに必死なんだろう」
「うわ……。ドライな考え方」
「……さっきからそんなに冷めたこと言ってるか?」
「でも、その話を聞いてると……なんだか、わたくし達、悪者みたいではありませんか?」
「なんでそうなる」
「だって……獣にしてみれば、ただ森にいただけですわ。彼にとって森は自分のおうち……。いつもと同じように過ごしていていただけなのに、今日たまたま勝手に入ってきた人間がいて、出ていけー!って怒ったら逆に侵入者の方にやられてしまった…………。……やっぱりわたくし達、悪いことをしていません!?」
「確かにアナマリアちゃんの言うことは一理あるねえ」
「珍しくまともなことを言ってるな」
「ふふふ。そうでしょうそうでしょう!」
「喜んじゃっていいのそこ?」
「しかし、納得はできても正しいかは別だ」
「どういうことですの?」
「あんたみたいなお嬢様には、わからないかもしれないが、弱い者が強い者に淘汰されるのは世界の常識だ」
「そんなの絶対おかしいですわ!」
「でも、毎日当たり前のようにやってる。戦争って形でな」
「あ……!」
「正しい正しくないの議論は不毛かもね。正義ってヤツは、時代に即して変わってくものだし」
「それに今回に関しては、子どもを傷つけた獣も悪い。そういう考え方もできるだろ」
「………そうですが、なんだか腑に落ちませんわ」
「まあ気持ちはわかるよ。でも今後もこういう場面は、きっとたくさん訪れる」
「ああ。慣れろとは言わないが割り切りは大事だ」
「そう……ですか……」
〔道中会話〕
「ふと、思い出したんだけど。リディちゃんとシャルル、うまくやってるかな?」
「リディのことだから、好奇心に負けてシャルルを解剖してるかもしれんな」
「そんな!?約束が違いますわ!」
「……冗談を真に受けるな」
「それ言った本人が言う?ま、反応がおもしろいのはわかるけど」
「もしかして、わたくし遊ばれてます?」