エピソードまとめ

□エドワール・ルキエ
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ep.1 旅立ち
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「ねえ、まだウールハル村には着かないの?」

「なに言ってる。まだ半分ってところだ」

「そんな……これでまだ半分……」

絶望するリディと砂の山を降りると、広く平坦で見晴らしの良い場所に出た。


「……ここで休憩しよう」

いくらハザール育ちで暑さになれているとしても、この暑さの中を足元を取られる砂漠の中を長時間歩き続けるのはキツいだろうとエドは考えた。

「まだ行けるわ」

「体調管理も仕事の内だ」

強がったリディにエドはそう言った。

「それは護衛の仕事じゃないでしょ?」

「護衛対象に倒れられたら仕事は失敗になるからな」

「なるほど。そういう言い訳」

じっと、リディはエドを見つめた。その目はまるで全て分かってると言うようだった。

「そうじゃない。仕事の話だ」

「わかった」

今度は素直に頷いてリディはフラフラと、岩陰の元へ歩いていく。

「心配してくれるエドの言う通り大人しくしてる」

そう言ってリディは砂の上に腰を下ろした。

「……そうしてくれ」

そう言って、エドは周囲の気配に気が付き双剣を抜いた。

「そのまま休んでろ。すぐに済ませる」

そう言ってエドは一人で、集まってきた獣の群れと対峙した。

「まったく、面倒な依頼主に当たっちまった。……だが放って置くわけにもいかないか。いや、ガキの心配をしてるわけじゃなく……。そう。これも報酬のためだ」


※リディから一定以上離れる
「依頼主を放っては動けないか」


獣討伐後。
「エド……大丈夫……?」

心配して声をかけるリディに、エドは双剣を閉まってみせた。

「問題ない、もう片付いた」

そう言ってエドはリディの傍に寄ってしゃがんだ。

「お疲れ様」

「ああ」

「それじゃあ、休憩もできたことだし、先を急ぎましょう」

「いや、今日はここで野営をしよう。無理は禁物だ」

「……そうね。わかった」

旅慣れしているエドの判断の方が正しいと、理解したリディは素直に頷いたのだった。

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日が暮れて夜空に、緑のマナの川が映える。

ホーホホーと鳥の鳴き声と、ぱちぱちと焚き火の音が冷える砂漠の夜に響いた。
二人は焚き火を前でカップを持って暖を取っていた。

「……あれっきり、あたしの事情を聞いてこないけど。別に隠してるわけじゃないし、話してもいいけど?」

「遠慮しておこう。厄介事に巻き込まれるだけだ」

「もう巻き込まれてるって、わかってるくせに。ごろつきに狙われそうだったあたしを、見て見ぬふりできなかったお人好しだもの。事情を聴いたら、進んで協力してくれるんじゃない?」

エドはそっと砂の上にカップを置いた。

「そう思いたければ勝手にしろ」

アオーン、と獣の遠吠えが聞こえて、ハッとしたエドは立ち上がった。

「また、さっきみたいなのが……?」

「ああ」

グルグルと唸る、狼のような獣──ガルルの群れが現れてエドは双剣を握り、その彼の横に立ち上がったリディが並んだ。

「おい」

「やらせて」

「さがってろ」

【CHAPTER3 砂漠での一夜】
999Y.C. ハザール商盟領 テル・テペ大砂海

「チッ!」

先手必勝と言わんばかりにガルル達が襲ってきた。

「下がってるヒマはなさそうね」

「仕方がない。無茶だけはするなよ?」

「了解」

リディは返事をして背中のうさぎのぬいぐるみから2本銃を抜き取った。

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〔1th LUSH〕ガルル
「……まずいな。数が多い!なるべくオレの側を離れるな!」

「でも、それじゃあ援護が……」

「素人の援護なんかあってもなくても変わらん」

「む」

「強いリアクターを持ってても、持ち主が強いわけじゃない」

「む……」

「今は自分の身を守ることを優先しろ。死んだら元も子もないだろ?」

「……了解」


〔2nd LUSH〕ガルバ
「また来たわ……。この辺りだけでどれだけいるのよ……」

「オレ達みたいなのが通ることは滅多に無いはずだ。ヤツらにとっては、またとない獲物だろうさ」

「この獣達も生きるために必死という訳ね」

「だからと言って、やられてやる訳にはいかないがな」



〔3rd LUSH〕ガルル
「さすがに、こんなにいるとは想像しなかった。もうかなり連続で撃っているようだが、
その武器は平気なのか?」

「当たり前よ…………。この天才が……作ったものよ……」

「武器よりも本人の方が先に参りそうだな……」


〔4th LUSH〕ガルバ
「キリがないな………。おい、無理するなよ」

「心配……しないで………。足は……引っ張らないから……」

「……チッ、馬鹿かオレは。無理なんてとっくにさせてただろう」


〔5th LUSH〕ガルル、ガルグラン
※会話なし

〔FINAL LUSH〕ガルル、ガルグラン
「群れの親玉が出てきたか。向こうもこれでもう最後ってことだな。リディ」

「はあ、はあ」

「すまんがもう少し踏ん張れ」

「ごめん……ちょっと限界かも…………」

「……とっとと終わらせるか!」

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大群を全て倒し終わり、警戒しながらエドは双剣をしまった。

「無事か?」

「……ええ」

「わかっただろう?オレがいなければ死んでいた」

「……そうね」

リディは少し顔を下に向けた。

「……リディは戦う力が欲しいのか?」

「ええ」

「それは本当に必要な力か?」

「もちろん」

リディはエドの目を見て強く頷いた。

「……そうか。なんにせよ、人間はすぐ強くなれるわけじゃない。焦るな」

「……そうね」

「そろそろ寝ておけ」

「ん」

小さく頷いてリディは、テントの中に入っていった。
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