エピソードまとめ
□エドワール・ルキエ
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ep.2 英雄の条件
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【CHAPTER3 鉱山へ】
999Y.C. オズカルド嶺峰国 ノルバ鉱山
〔道中会話〕
「中がどうなっているのかわからない。慎重に行こう」
「二人だけでってのはいい判断だったね」
「どういう意味だ?」
「とぼけちゃってー。お兄さんには隠さなくてもいいんだよ?」
「気色悪いな……」
「あれだけの獣が鉱山から出てきたってことは、もう手遅れかもしれないって考えたんでしょ?もしそうだった場合、それをあの三人に見せたくなかった。そんなところかな?」
「……考え過ぎだ」
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「あ!見つけましたわ!」
鉱山を獣を倒しつつ、残った人が居ないか隅々まで見ながら2人が進んでいると、なぜだか前方から聞き覚えのある声が聞こえた。
「ええ!?アナマリアちゃん!?」
アナマリアは吹き抜けになったところから日が差して咲いている黄色の花畑の中に居た。
「おい……なんでここにいるんだ……」
「ていうかどうやって先回りしたの……」
「ふっふっふ……気合いですわ!」
「気合いでどうにかなる問題じゃないよね!?」
ラウルが驚いた顔でツッコミを入れる。
「住人は?」
「シャルルとリディに任せてきましたわ。お二人だけで大冒険なんてずるいですもの!わたくしもご一緒しますわ!」
「……って言ってるけどどうする?」
困ったようにラウルはエドワールの方を向いた。
「はあ……。止めたところで無理やり付いてくるだろ」
「やりましたわ!」
諦めてそう言ったエドワールにアナマリアは喜んだ。
「思惑が外れちゃったねえ、エド」
「ほえ?思惑……ですの?」
「……気にするな。おっさんの妄想だ」
そう言って、エドワールは仕方なくアナマリアを加え、鉱山の奥へ進んでいく。
すると狭い坑道を歩いている中で、グラグラと地面が揺れた。
「まずい!」
そう言ってエドワールは、アナマリアに飛びついた。
「ひゃあ!?」
どさり、と2人が倒れ込む、その横に大岩が落ちてきた。
「……無事か?」
アナマリアの上でエドワールはそう尋ねる。
「え、ええ。大丈夫ですわ……」
驚き、戸惑いつつアナマリアは返事をした。
それを聞いて、エドワールは起き上がりアナマリアが起きるのに手を貸した。
「ありがとうございますわ」
そう礼をいい、手を借りてアナマリアも立ち上がった。
「おおーい、無事か!」
岩の向こう側からラウルが叫んできた。
「ああ、そっちは!」
「こっちも大丈夫だよ!岩をどけられないか試してみるけど、ちょっと時間かかりそうだねえ……」
通路はすっかり塞がってしまって、通れる隙間もない。
「ならオレ達は先に生存者を探しに行ってみる!」
「了解、任せたよ!」
岩の向こうにラウルを置いて、エドワールはアナマリアと奥へ向かうのだった。
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〔道中会話〕
「じゃあ……奥に行くか」
「はいですわ!
「またどこが崩れるかわからん慎重に進もう」
〔道中会話〕
「この状況じゃ、住んでた獣が慌てて飛び出していくのも納得だな」
「以前にもこういう話をしましたけれど、やっぱり悪いことをしたって思ってしまいますわ……」
「まあ、人のせいで住処を追われて、挙句に倒されちゃな……」
「うっ、改めて言葉にするとかわいそうですわ」
「だが放っておくわけにもいかない。獣にも暮らしがあるように、人間にも暮らしがある」
「それは確かに………。わたくし達があの獣達を倒していなければ、街に被害が出ていたでしょうし」
「結局のところ、生存競争だ。人が生きていくためには避けられないこともある。剣を取るなら迷うな迷うようなら剣を捨てろ。武器を手に取るなら覚悟を決めなきゃならん」
「覚悟……ですか。そうですわね……。改めて"肝を煎じて"おきますわ!」
「それを言うなら"肝に銘じる"だろ……」
「あらー?」
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進んでいれば、また鉱山が揺れ、パラパラと上から石や砂が降ってくる。
「あちこち崩れているようだな」
「山ごと崩れそうな勢いですわ」
「さすがにそれはないとは言い切れないか」
「大惨事ですわ!」
「無計画に掘り進めたせいで、連鎖的に崩落が起きてるんだろう」
リアクターの力で楽をしようとした結果がこれだ。
「獣……!」
アナマリアが周りの気配に気づいて刀を握る。
「くそ!こんな時に……」
フランジャ、フランジャルキ、オタレド、エルジュとこの鉱山に住まう獣をオンパレードだった。
「敵認定されてしまいましたわ!」
「こうなったらやるしかない。躊躇するなよ?」
「はいですわ!」
力強く返事したアナマリアと二人で、エドワールは獣を切り伏せていくのだった。
獣討伐後。
「ここもいつ崩れるかわからない。先を急ごう」
「わかりましたわ」