エピソードまとめ

□ファルク
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ep.1 孤鷹の双刃
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「やっと一人になれたぜ……。やっぱりこの方が気楽でいいな。チームワークなんざ端からオレには必要ねぇんだよ。リュンヌへの一騎駆けか……。まあやれねえことはねえだろ。とりあえず狩りを楽しむとするかア!」


そう言ってファルクは一人で、戦地を駆け抜ける。

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〔道中台詞〕
「つーかなんだよ、ロランス隊ってよ。ユーゴはそれなりにやるヤツだってのはわかったが、アメリーはな……。オレが曹長なのに、なんであいつが少尉なんだよ!まあ媚び売ってのし上がるタイプじゃねえから、オレの知らねえとこで、それなりに手柄をあげたってことだろうが……」

「だあー!納得いかねえ!オレ様があいつより下ってことも!せっかく一人になったってのに、あいつらの顔が浮かんでくることもだ!」

「やめだ、やめ!今は余計な頭使わねえで目の前の敵をぶっ潰す!さあさあ来やがれ!連邦の雑魚ども!」

「ユーゴの野郎は、戦闘は最小限にとか言ってたが、今日のオレは、ちーとばかしイラついてるからよ」

「ん?なんかあの拠点騒がしいな。宴会でもやってんのか?ちょっと覗いてみるか」



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ファルクは既に開場されていた拠点の扉へ足を踏み込んだ。
そこには、黒い鎧を来た男が一人で、大勢の連邦兵達と対峙していた。


「黒い鎧…………あいつは………、黒狼将バスチアンか!」


「おおおおお!」

雄叫びを上げ、向かってきた連邦兵たちをバスチアンは一振で撃退してしまう。


「すっげえ……。あれが帝国最強の戦士……!」

ぽけーっとファルクはバスチアンの様子を見たあと、頭を振るった。

「……クソッ!なにを見とれてやがる!オレ様も参加させてもらうぜ!」

ファルクも双剣を握り戦いに飛び込んだ。


「む……何者だ?」

「帝国のツワモノは、コクローのおっさんだけじゃねえぜ!"鷹"の名前、覚えておきな!駆け出しだが腕っぷしは本物だからよ!」

〔拠点兵長出陣〕
「まだだ!者ども立ち上がれ!」


〔拠点制圧後〕
「ざっとこんなもんよ!」

「ふむ…」

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〔道中会話〕
「……お前は帝国兵か?」

「おおう。ファルク曹長だ」

「そうか。自分は黒狼将バスチアンだ。ああ、知ってるぜコクローのおっさん」

「む……、それは自分のことか?」

「それ以外に誰がいるってーんだよ!オレはいつかアンタと戦ってみてえと思ってたんだ。会えて嬉しいぜ!」

「……援軍というわけではなさそうだな」

「ああ。こっちは任務でリュンヌへ行く途中だ!」

「そうか……」



〔道中会話〕
「アンタ……凄えじゃねえか。連邦兵を紙切れみてえに、なぎ倒しちまうなんてよ。さすがは狼持ってとこか」

「ふむ……あれが凄いのか?自分には普通のことなのだがな」

「あれが普通って……マジかよ。でもそうだよな。狼将になるにはオレもあれくらいできるようにならねえとな」


〔道中会話〕
「アンタはこのあとどうすんだよ?良かったらオレと手合わせしてくれねえか?」

「駄目だ。自分の今回の任務は、この先にある本陣の制圧だからな」

「なるほど……なら付いて行くぜ!オレも腕には自信があるからな」

「ああ、知っている。今しがた見たばかりだ。確かにお前の戦い振りは、かなりのものだった」

「へっ……そうかいそうかい。オレはいずれアンタに追い付くさ。そして……超える!」

「……楽しみなことだ」


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〔帝国軍 本陣〕
「さあて、この本陣!オレ様が落としてコクローのおっさんの手柄ア、全部奪ってやるぜえ!」

「任務外のことだというのにその意欲……自分も見習うべきかもしれぬな」

「見てろよ!コラアアア!」


〔敵将出陣〕
「その侵攻叩き潰してくれる!」

「やれるもんならやってみなあ!オレは誰にも止められねえからよお!」


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敵将を討ち取っても、本陣だけあって、ぞろぞろと連邦兵が出てくる。

「くっ……やべえ。こいつらどんだけいんだよ……」

「ふっ」

バスチアンは高く飛び上がり、叩きつけるように剣を振り下ろした。

「ハアッ!」

一撃ですべての兵を倒すバスチアンの背をファルクは驚嘆の目で見た。

「……やっぱ凄え」

「……任務完了だ。では、自分は次の任務へ向かう」

そう言ってバスチアンはそのまま歩き出す。

「……え?もう次に行くってのか?」

「……ファルク」

バスチアンは足を止めて振り返った。

「……武に励め」

「い、言われるまでもねえよ!」

ファルクがそう返せば、バスチアンはそれ以上何も言わず先に言ってしまった。

「……あれが狼将か」

バスチアンの背中を見つめるファルクの後から足音がした。

「やあ、お疲れさま」

その声に振り返ると、ユーゴとアメリーがそこにいた。

「一人で大丈夫だった?クロードくん」

「なんだ、結局テメエらも来たのかよ」

そう言ってファルクは持っていた双剣を仕舞った。

「ここってクロードくんが落としちゃったの?」

「……オレはなんもしちゃいねえ。コクローのおっさんの手柄さ」

「へえ〜。それでコクローって?」

「知らねえのかよ!」

「もしかして、黒狼将バスチアンのことかい?帝国が誇る最強戦力の一人の?」

「あー、そうだよ。しばらく一緒に戦ったが、ありゃあ……モノが違うな。今のオレじゃ敵わねえ」

「えー、クロードくんがそんなこと言うなんて、ホントに凄い人なんだね!」

「……でも基本的に単独でしか行動しないという黒狼将が、共闘してくれたってことは……、キミの力を認めた……ってことじゃないかな?」

「へえ、そうかい……」

ぶっきらぼうにそう言ったがファルクの口角は上がっていた。

「クロードくん笑ってる?笑ってるよね?嬉しいんだ〜」

「うっせ!んなわけあるかっ!ただまあ……悪い気はしねえな」


「そういやテメエ、やることが見つかったとか言ってたけど、それはどうなったんだ?」

「ああ。今回、リュンヌ内の作戦に参加できない代わりに、色々と仕込みをしてきたよ。まずは中将の居場所だけど、リュンヌにある高級宿泊施設ホテル・ブルミラに幽閉されていることがわかった。正確な階や部屋まではわからないけどね……」

「へえ。地道な調べ物かい。ゴクローさん」

「……次にこれが、二人分の偽造通行証」

「ぎぞーつーこーしょー?」

「はい。これがあればリュンヌに入れます。名目上は"夫婦"にしているので」

夫婦の部分を強調してユーゴはファルクに伝える。

「わわっ、大胆……!」

「おい、ユーゴ。殺されてーのか?」

ファルクはユーゴを睨みつけ低い声で唸るように言う。

「若夫婦を装うことで、警戒されにくくするんだよ」

「だからって。兄妹とかでもいいじゃねえか!」

ファルクが吼えれば、ユーゴは笑った。

「ふふっ……言っただろ?後悔しても知らないよって」

「……クソが!」
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