エピソードまとめ
□ファルク
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ep.1 孤鷹の双刃
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【CHAPTER3 そびえ立つ者】
999Y.C. ユール連邦 ディランブレ戦傷地帯
《中将奪還作戦 始動》
「よーし、準備もできたことだし、今日もロランス隊はりきって出発だー!」
「けっ」
「リュンヌへ向かうには、ここを抜けないといけません。ただ今回の目的はあくまで、ダントリク中将の奪還。戦闘は最小限に留めましょう」
「はーい!」
「ピクニックにでも行くような返事だよな……」
相変わらずどちらが隊長か分からないユーゴとアメリーのやりとりを見て、ファルクは呆れさっさと戦場へ向かっていった。
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〔道中会話〕
「ふんふんふふーん♪三人が力を合わせれば一、無敵だよね〜♪」
「き、気が抜ける……戦場で歌う馬鹿がいるかよ」
〔道中会話〕
「にしてもでっかい任務だよな。中将だろ、中将!成功すりゃあ昇進も期待できそうだな!」
「そうだね。功績として相当のものになるだろう」
「っしゃあ!首根っこ洗って待ってろよ中将!」
「……クロードくんそれ倒しに行く時の台詞……」
「でもよ、道すがらに敵拠点があるときゃ、もちろん潰していいよな?」
「それは仕方ないと思うよ」
「だよなあ!じゃ、遠慮なく行く!」
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〔連邦軍 第1拠点〕
「……あわわ、敵さんがいっぱいだあ!」
「ビビッてんじゃねえぞ、アメリー!やらなきゃやられんだからよ!」
「そ、そうだよね。私が頑張らなきゃ、クロードくんが死んじゃうもんね」
「ハッ、やらねえで死ぬのはオメエだけだよ!」
〔拠点兵長出陣〕
「貴様らの力見させてもらおう!」
〔拠点制圧後〕
「やった!勝ったよ!」
「そんな喜ぶことでもねえだろ。勝って当然だ」
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〔道中会話〕
「ねえねえ、そういえば、さっきの作戦会議楽しかったよねー」
「そうですね」
「ハッ……会議って言っても、ただメシ食っただけじゃねえか」
「それが大事なんだよクロードくん。相手の顔を見ながら一緒にごはんを食べる。それが家族への第一歩だからね!ほら、院長先生もよく言ってたでしょ?」
「さあ、覚えてねえな。てかなんで家族になんなきゃいけねえんだよ。チームワークとかそういう話じゃねえのか?」
「似たようなものだよ。息が合えば即ち家族!」
「ウゼェ…………」
「なるほど。家族か……」
「あ?」
「いや、まあ確かに、それは大袈裟かもしれないけど、隊長の言葉は正しいよ。きちんと力を合わせれば、この作戦はきっと上手くいく」
「そうか?オレはそうは思わねえな。テメエはともかく、アメリーは足手まといにしかならねえよ」
「あう……」
「……ファルク。ちょっと言い過ぎじゃないかな?」
「そうだそうだー!」
「隊長だって隊長なりに頑張って……」
「テメエ……それ本気で言ってんのかよ?」
「え?」
「なんの力もねえヤツが戦場に出たら、無駄死にするだけなんだぜ?」
「それは…………」
「……なあ、アメリー。オメエは故郷に帰る気ねえのかよ。オメエみてえなヤツは養護院の手伝いしてる方が、戦場で命を落とすよりゃ、よっぽどいいだろうが」
「……ありがとう、クロードくん。でもね、私にも軍人としてやりたいことがあるんだ。だからまだまだ未熟かもしれないけど、頑張るよ軍人さん。……ってあれ?前も誰かとこんな話した気がするなあ」
「……そうかよ。なら勝手にしろ……」
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〔連邦軍 第2拠点〕
「そんじゃ見せてもらうぜアメリー!オメエの言う頑張るってヤツをよお!」
「うん!行くよー!ユーゴくんもファイトー!」
「了解です!」
「ハッ、いつまでも仲良しこよしなこってえ!」
〔拠点兵長出陣〕
「皆の者士気を上げろ!」
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敵将を討ち取り、ファルクは双剣をしまう。
「チッ、雑魚ばっかで肩慣らしにもならねえな」
「はああ〜、助かった〜」
そう言ってアメリーは地面にへたり込む。
「大丈夫ですか?隊長」
心配そうに声をかけるユーゴを見てファルクはあることを思った。
「……やっぱ、この先はオレ一人で行くぜ」
「ええっ!?」
驚いてアメリーは立ち上がる。
「ちょっ、ちょっと待ってよ!私は大丈夫だよ!」
「ファルク。いい加減にしておくんだ」
「うるせえな、ユーゴ。テメエだってリュンヌ入りできねえなら、今回いる意味なんざねえだろ?……だったらここで、そいつの相手でもしてろよ」
「……わかった。行きなよ一人で。僕も僕なりに役立ち方を思い付いたからね」
「なんだよ、それは?」
気になってファルクが尋ねれば、ユーゴは冷たい目を向けた。
「別に?キミには関係ないだろ?ただ……あとになって後悔しても知らないよ」
「んなもん、するかよ?じゃ、行かせてもらうぜ。あばよ」
そう言ってファルクは2人に背を向け片手を上げながら去っていく。
「えっ、えええっ……。どーして、こーなっちゃうのー!」
アメリーの叫び声が虚しく響いた。