エピソードまとめ

□ファルク
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ep.1 孤鷹の双刃
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座り込み瞳を閉じる伸びて地毛の黒髪が見えている金髪の少年の元に、1人の帝国兵がカップを持ってやってきた。

「ほら、飲めよ」

そう言ってカップが差し出され、少年は瞳を開ける。

「冷えた体じゃ逃げ足も鈍るってもんだ」

「逃げ足だあ?バカ言ってんじゃねえよ」

少年はゆっくりと立ち上がった。

「オレはアンタらとは違って逃げてるつもりはねえ」

「あん?ガキがなに言ってる?」

「こいつはな、狩りなんだよ。ここからが本番の……」

そう言いかけて少年は、ある音に気が付き、首を少し右に曲げた。

「おっと」

「かっ……!」

少年の後ろから矢が飛んできた矢が、彼の目の前にいた帝国兵の首を貫き、兵は後ろに倒れた。

「あーあ」

「敵襲ーっ!」

少年が倒れた兵を見下ろしていると、離れたところから叫び声が聞こえた。

「ヘッ、来やがったな!」

少年は声の方を見たあと、もう一度、倒れた兵を見下ろした。

「この世界はな、逃げたヤツから死ぬんだよ」

少年はゆっくりと空を見上げる。

「……わかってるよ。"お前"は逃げちゃいねえ。ま、そっちで眺めてろや」

そう言って少年──ファルクは前を向き直した。

「鷹の狩りは見ものだぜ!」



【CHAPTER1 鷹は舞い降りた】
998Y.C. ユール連邦 ラドミア森林
《連邦拠点、一騎駆け》

「っしゃあ!戦だ戦だ!ぜーんぶオレの狩り場ア!目の前の敵は全員ぶっ倒す!手柄ア立てててっぺん掴んでやらあ!どいつもこいつも!オレの獲物だっ!」


そう言いながらファルクは、帝国軍が敷いたバリケードを破壊しながら前に進んでいく。


「あれが連邦のヤツらの拠点だな、まずはあそこを落とすか!待ってろよ!雑魚どもオ!」


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〔連邦軍 第1拠点〕
「な、なんだコイツ……たった一人で!?」

「ハッハア!ざまあねえな連邦さんよ!敗兵狩りのつもりだったか?バカが!狩るのはこっちだ!」

〔拠点兵長出陣〕
「くそ……俺が全力で相手する!


〔拠点制圧後〕
「な、なんという戦闘能力だ……!」

「弱えな連邦!」

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〔道中台詞〕
「ったく期待ハズレもいいとこだぜ。雑魚ばっかりじゃねえか。これじゃ逃げる必要もなかったんじゃねーの?隊長さんよお?」

「……ってあれ?……あー、さっきの襲撃で死んじまったのか。ハッ思った通り使えねー。ん?てことは階級的にオレが当座の隊長か!ククッ入隊してから一年足らずの期間でよオ、一兵卒から曹長に出世、そして今や臨時の隊長!さすがオレ様だ!」

「テメエらも文句ねえよな?……ああ!?誰もいねえじゃねえか!ったく逃げ足の迷えヤツらだぜ。チッ、これじゃあよ、隊長っつーより……ただの一騎駆けだよな」

「ま、いいさ。オレみたいなツワモノにはお似合いだ。しみったれた雑魚どもと同じ部隊ってのは、正直しんどかったしよ。なにより他に手柄を競り合うヤツがいねえってこったからな!全部まとめてオレが総取りだぜえ!」

「てか、軍ってのはケチくせえよなあ。オレ様ほどの"イツザイ"を腕が立つから今すぐ特官!……とはいかねえんだと。まあ相応の実績が必要ってんなら……積むしかねえだろ?首をよお」

「いいね、いいねえ。どんどん出て来いよ!テメエらはオレ様の道の礎なんだからよ!死にてえヤツからかかってきな!」


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〔連邦軍 第2拠点〕
「そらそらそらっ!帝国軍のおでましだア!」

「一人……?貴様正気か?」

「ハッ!知ったこっちゃないねえ!」

〔拠点兵長出陣〕
「好き勝手やれるのはここまでだ!」


〔拠点制圧後〕
「これほどの兵士がいるとは……」

「ヘヘッ楽勝!さてと、こっからはどうしたもんかな」


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〔道中台詞〕
「雑魚ばっか相手にしてても手柄にもならねえし、やる気が空回りしちまうから、そろそろ大将クラスの首も欲しいとこだが………本命がいる拠点はどこにあんだ……?」

「連邦が誇る"人間兵器"聖痕騎士とかいりゃあ申し分ねえんだけど……。ん〜……わかんね!"アイツ"がいりゃ地図読みとか頭使うことは、全部任せられたんだよなあ」

「空を流れてるマナの動きを見りゃあ、ある程度の方角はわかるっつー話は聞いたことあるが肝心などっちがどっちってのは、わかんねえな……」

「うーん、そうだなあ………まあ雑魚どもが群れてる方角へ進んで斬ってまた進む!そうすりゃいつか本命に辿り着くだろ。っしゃあそれで行くぜ!」

「つーかアウグストとかいう、おっさんの誘いに乗って帝国入りしたはいいけどよ。入ったら入ったで、やれ規則だの上官には敬意を払えだの腹の足しにもなんねえことばっか言われて、マジでめんどくせえ……。んなもんで戦争に勝てるかっつーの!」

「そういや養護院にいた頃も、ルールやらなんやらガミガミうるさかったよな。院長の野郎と……リサと…………あとあのへっぽこ女も……」

「……あの女、元気にしてんのかな。いや……元気じゃねえところを見たことねえか。いっつもオタオタのフンみてえにオレに付いて回って、ダメだよ!怒られちゃうよ!……とか言ってきやがったっけ。もう長えこと会ってねえが今でもあそこでガキ相手に姉貴ぶってんのかねえ?チッ……思い出したら腹が立って来たぜ」

「ともあれ軍は軍でウザってえが、養護院みてえな仲良しこよしでもねえし、路地裏暮らしや傭兵稼業の時よりゃ、いいメシも食えっから良しとするか」

「それに功績をあげ続ければいつかは帝国の…………いや、この世界の支配者に、なれっかもしんねえしな!帝国なんざゴミしかいねえし、出世街道一気に駆け上がってやるぜ!」
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