エピソードまとめ
□アメリー・ロランス
5ページ/7ページ
ep.1 ラック ハードラック ガール
─────────♢────────
リモザセブリを倒すと、これ以上は獣が海から上がって来なかった。
「ハッ!やっと終わったぜ!」
「ここはもう大丈夫だね。他の場所も確認しに行くよ、クロードくん!」
「ファルク曹長だ!」
怒るファルクを置いてアメリーは動き出した。
【CHAPTER4 "ラッキー"ってなんですか?】
999Y.C. ジルドラ帝国 帝国内定期連絡船
「きゃーっ!!」
甲板を出ようとしたところで女の子の悲鳴が聞こえた。
「……なんだ?」
「誰かが襲われてる……?探そうクロードくん!」
2人は船上を駆け回った。
操舵室へ向かう階段の所で獣たちが群がっているのが見えた。
「やめて……この子だけは!」
そんな女性の声も聞こえる。
「おーおーいるじゃねえか、うじゃうじゃとよお!」
「……早く助けなきゃ!急ぐよクロードくん!」
2人は狭い階段の上でオタオタとリモザの集団を蹴散らしていった。
「大丈夫ですかっ!?今すぐ手当しますか」
獣を倒し終わり、アメリーはすぐさま女性の元に駆け寄った。彼女の後ろには幼い女の子も居た。先程の悲鳴の子だろう。
「ありがとうございます……!おかげで助かりました……!でも……ハンスが!上の息子が……!」
「ハンス……?ってどこかで………」
聞き覚えがある名にアメリーは考える。
「あっ、手紙を拾ってくれたお婆さんと一緒にいた男の子!」
「ご存知なんですか?あの子一人で船首の方へ遊びに行ったままなんです!船が揺れた時母が迎えに行ったのですが………それきり」
女性はとても青い顔をしていた。
「わかりました。必ず二人を見つけて助けます!ここで待っていて下さい!」
アメリーは女性を安心させるようにそう言った。
「船首に行くよっ、クロードくん!」
「……勘違いすんなよ?」
アメリーが急いで階段を下っていれば、後ろからついてくるファルクそう行った。
「お前と行動してんのは成り行きで仕方なくだ。別に協力してやってるわけじゃねえ」
「うん、知ってるよ。クロードくんは優しい子だから」
「だああっ!ほんっとに話の通じねえ女だな!」
ファルクが苛立っている理由も気付かぬまま、アメリーは船首に到着した。
「へぐうっ!?」
到着した途端、悲鳴を上げて後ろに下がった。
「無理、無理、無理!」
そんな彼女を押しのけて、ファルクは前に出て双剣を構えた。
船首にはオタオタと蟹の獣のバッサーがずらりと並んでいた。
「いいいっ、いっぱいいるよ、クロードくーん!」
「うるせえ!今更ビビってんじゃねえ!」
そう言いながらファルクはポヨンと飛んできたオタオタを避ける。
それに驚いたアメリーも横にコケた。
するとコケたアメリーの目の前に、おばあさんと男の子が座り込んだ状態で居た。
「あなたは……手紙を拾ってくれたお婆さん!それと……ハンスくん……だよね?」
「あら、少尉さん……。どうかこの子を連れてってあげて」
そう言っておばあさんはハンスの肩に手を置いた。
「私は……いいから」
「いいえ……。そのお願いは聞けません」
アメリーはふるふると首を横に振った。
「え……?」
「帝国軍人の務めは市民を守ること。そして、私はジルドラ帝国軍所属、アメリー・ロランス少尉」
アメリーは立ち上がって背筋を伸ばす。
「あなたもハンスくんも……私達が守ります!」
キリッとした顔でアメリーはそう言ってのけた。
「だよね、クロードくん?」
アメリーは首だけ曲げて後ろを向く。
「ファルクだ!つってん!だろがアアアア!」
ファルクは苛立ちを剣に乗せ、バッサーを1匹、叩き斬った。
〔1st LUSH〕
「大丈夫だよ、アメリー。帝国軍人は勇気の塊!もう誰も……付けさせないんだからね!」
「気合い入って来たじゃねえか。さっきの戦闘の連続で度胸でもついたか?」
「も、元からだもん!だって、私は養護院では頼れるお姉ちゃんで。軍ではキュートでクールな、ロランス少尉なんだよ!」
「ククッ。なんだっていいがよ、口だけの雑魚じゃねえって見せてもらうぜ」
〔2nd LUSH〕
「えっ……ちょっと待ってこの感じ……」
「来るぞ!」
「そんなあ〜。またこのパターンってこと〜!?」
「オラオラ!ブッ飛ベオラアッ!
「す、すごい、クロードくん。まるで疲れなんて全然ないみたい……。強く………なったんだね、クロードくん……」
「感心してる場合じゃねえだろ、へっぽこ!少尉ならもっと骨のあるとこ見せやがれ!そうじゃなきゃ……オレ様がオメエの階級ぶん取ってやるかんな!」
「そ、それはダメ〜っ!」
〔3rd LUSH〕
「う一っ、うーっ、ま、まだまだあ!」
「いい面になってきたな!」
「とりゃー!」
「ハハッ、なんだそりゃ。ブン回してるだけか?その割にゃあきっちり当てて仕留めてんのが納得いかねー」
「ふふーん!これぞアメリー流戦闘術!ちゃんと考えてやってますう〜。ていていっ」
「……気が抜ける掛け声だぜ」
「こ、これは相手を油断させるためだもん。いわゆる兵法だよ!」
「……獣がそんなんで油断なんてすんのか?まあいいけどよ。そっちは任せっからな」
〔4th LUSH〕
「よーし、乗り切ったあ!えへへ。少尉の攻撃はどうかね、クロードくん!」
「あ?見てなかったわ〕
「そんなあ〜!クロードくんはさあ!"褒め"が足りてないよね!私は褒められて育つタイプだよ。もっと大事に見なさい!」
「……曹長の仕事に、少尉のお守りは入ってねえ!だいたいだな、褒めてもらいてえなら、もっとバシーッとすげえ技でも身につけてから言えっつーの」
「すごい技……。アレクサンドラさんみたいな?ええと………こほん!昔のもの控えい!斬られたくなくば逃げ去るがよい!……どうどう?それっぽかった?」
「……オメエ、アイツのなにを見てたんだ?」