エピソードまとめ

□アメリー・ロランス
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ep.1 ラック ハードラック ガール
─────────♢────────


リモザセブリを倒すと、これ以上は獣が海から上がって来なかった。

「ハッ!やっと終わったぜ!」

「ここはもう大丈夫だね。他の場所も確認しに行くよ、クロードくん!」

「ファルク曹長だ!」

怒るファルクを置いてアメリーは動き出した。


【CHAPTER4 "ラッキー"ってなんですか?】
999Y.C. ジルドラ帝国 帝国内定期連絡船

「きゃーっ!!」

甲板を出ようとしたところで女の子の悲鳴が聞こえた。

「……なんだ?」

「誰かが襲われてる……?探そうクロードくん!」

2人は船上を駆け回った。
操舵室へ向かう階段の所で獣たちが群がっているのが見えた。

「やめて……この子だけは!」

そんな女性の声も聞こえる。

「おーおーいるじゃねえか、うじゃうじゃとよお!」

「……早く助けなきゃ!急ぐよクロードくん!」

2人は狭い階段の上でオタオタとリモザの集団を蹴散らしていった。

「大丈夫ですかっ!?今すぐ手当しますか」

獣を倒し終わり、アメリーはすぐさま女性の元に駆け寄った。彼女の後ろには幼い女の子も居た。先程の悲鳴の子だろう。

「ありがとうございます……!おかげで助かりました……!でも……ハンスが!上の息子が……!」

「ハンス……?ってどこかで………」

聞き覚えがある名にアメリーは考える。

「あっ、手紙を拾ってくれたお婆さんと一緒にいた男の子!」

「ご存知なんですか?あの子一人で船首の方へ遊びに行ったままなんです!船が揺れた時母が迎えに行ったのですが………それきり」

女性はとても青い顔をしていた。

「わかりました。必ず二人を見つけて助けます!ここで待っていて下さい!」

アメリーは女性を安心させるようにそう言った。

「船首に行くよっ、クロードくん!」

「……勘違いすんなよ?」

アメリーが急いで階段を下っていれば、後ろからついてくるファルクそう行った。

「お前と行動してんのは成り行きで仕方なくだ。別に協力してやってるわけじゃねえ」

「うん、知ってるよ。クロードくんは優しい子だから」

「だああっ!ほんっとに話の通じねえ女だな!」

ファルクが苛立っている理由も気付かぬまま、アメリーは船首に到着した。

「へぐうっ!?」

到着した途端、悲鳴を上げて後ろに下がった。

「無理、無理、無理!」

そんな彼女を押しのけて、ファルクは前に出て双剣を構えた。
船首にはオタオタと蟹の獣のバッサーがずらりと並んでいた。

「いいいっ、いっぱいいるよ、クロードくーん!」

「うるせえ!今更ビビってんじゃねえ!」

そう言いながらファルクはポヨンと飛んできたオタオタを避ける。
それに驚いたアメリーも横にコケた。
するとコケたアメリーの目の前に、おばあさんと男の子が座り込んだ状態で居た。

「あなたは……手紙を拾ってくれたお婆さん!それと……ハンスくん……だよね?」

「あら、少尉さん……。どうかこの子を連れてってあげて」

そう言っておばあさんはハンスの肩に手を置いた。

「私は……いいから」

「いいえ……。そのお願いは聞けません」

アメリーはふるふると首を横に振った。

「え……?」

「帝国軍人の務めは市民を守ること。そして、私はジルドラ帝国軍所属、アメリー・ロランス少尉」

アメリーは立ち上がって背筋を伸ばす。

「あなたもハンスくんも……私達が守ります!」

キリッとした顔でアメリーはそう言ってのけた。

「だよね、クロードくん?」

アメリーは首だけ曲げて後ろを向く。

「ファルクだ!つってん!だろがアアアア!」

ファルクは苛立ちを剣に乗せ、バッサーを1匹、叩き斬った。



〔1st LUSH〕
「大丈夫だよ、アメリー。帝国軍人は勇気の塊!もう誰も……付けさせないんだからね!」

「気合い入って来たじゃねえか。さっきの戦闘の連続で度胸でもついたか?」

「も、元からだもん!だって、私は養護院では頼れるお姉ちゃんで。軍ではキュートでクールな、ロランス少尉なんだよ!」

「ククッ。なんだっていいがよ、口だけの雑魚じゃねえって見せてもらうぜ」


〔2nd LUSH〕
「えっ……ちょっと待ってこの感じ……」

「来るぞ!」

「そんなあ〜。またこのパターンってこと〜!?」


「オラオラ!ブッ飛ベオラアッ!

「す、すごい、クロードくん。まるで疲れなんて全然ないみたい……。強く………なったんだね、クロードくん……」

「感心してる場合じゃねえだろ、へっぽこ!少尉ならもっと骨のあるとこ見せやがれ!そうじゃなきゃ……オレ様がオメエの階級ぶん取ってやるかんな!」

「そ、それはダメ〜っ!」


〔3rd LUSH〕
「う一っ、うーっ、ま、まだまだあ!」

「いい面になってきたな!」

「とりゃー!」

「ハハッ、なんだそりゃ。ブン回してるだけか?その割にゃあきっちり当てて仕留めてんのが納得いかねー」

「ふふーん!これぞアメリー流戦闘術!ちゃんと考えてやってますう〜。ていていっ」

「……気が抜ける掛け声だぜ」

「こ、これは相手を油断させるためだもん。いわゆる兵法だよ!」

「……獣がそんなんで油断なんてすんのか?まあいいけどよ。そっちは任せっからな」


〔4th LUSH〕
「よーし、乗り切ったあ!えへへ。少尉の攻撃はどうかね、クロードくん!」

「あ?見てなかったわ〕

「そんなあ〜!クロードくんはさあ!"褒め"が足りてないよね!私は褒められて育つタイプだよ。もっと大事に見なさい!」

「……曹長の仕事に、少尉のお守りは入ってねえ!だいたいだな、褒めてもらいてえなら、もっとバシーッとすげえ技でも身につけてから言えっつーの」

「すごい技……。アレクサンドラさんみたいな?ええと………こほん!昔のもの控えい!斬られたくなくば逃げ去るがよい!……どうどう?それっぽかった?」

「……オメエ、アイツのなにを見てたんだ?」
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