エピソードまとめ

□ユーゴ・シモン
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ep.1 裏切り者
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「なんだかこっちには飛んで来ないね」

「恐らくこの茂みが、目隠しになってるのでしょう」

沼地を抜けた先の道では木や草が生い茂っていた。

「……そっか。じゃ一旦、安心だねえ」

アメリーはホッと一息ついた。

「……まさか本当に、あの迎撃を凌ぎ切れるたあな」

「二人のおかげだよ。僕一人が的にされていたら危なかった。ありがとう」

ユーゴがそう言えばファルクは、……けっ、と悪態ついた。

「……それと不思議なことに、妙に上手く攻撃が外れるタイミングもあったんだよね」

「それはラッキーだったね!」

「……はんっ、ラッキーねえ……」

「ファルクどうかした?」

「あー、今は気にすんな。また今度説明する」

「ん?」

ファルクの言いたかった事はよく分からず、ユーゴは首を傾げた。


また、しばらく進んでいくと、小高い所に出て先の景色がよく見えた。

「ねえねえ!あそこ通り抜けられそうだよ!」

アメリーが砦の右側の方に中に入れそうな道があるのを見つけ指さした。

「そうですね」

「あそこから砦内へ向かいましょう」

「中には当然連邦兵がうじゃうじゃいるよな?」

「たぶんね」

「っしゃあ腕が鳴るぜえ!」

そう言ってユーゴとファルクは先へ進んでいく。

「うう……ちょっと怖いけど…………。アメリー、ふぁいとだよ……」

アメリーは足を止めて自分なりに気合いを入れる。

「おい、ボサッとしてんな」

そうファルクに声をかけられ、アメリーは急いで二人の後をおった。

「それにしても……随分と手慣れた動きしてやがったな。連邦でも守り役だったのか?」

「そうだね」

ファルクの質問にユーゴは頷いた。

「さらに言えば、三人小隊での行動も多かったかな」

「へえ、そうなんだその時は楽しかった?」

「え?」

アメリーの質もには、さすがに固まってしまった。

「おい、アメリー」

ファルクがアメリーを諭すように小声で名を呼ぶ。

「え?」

首を傾げたあと、アメリーはファルクが諭した理由に気がついた。

「……あ、ごめん。そうだよね……」

「そうですね、楽しかったですよ、凄く。楽しくて…………幸せでした」

ユーゴはそう、噛み締めるように言う。

「……ユーゴくんだったらどうして………」

「アメリー」

今度は強くファルクが名を呼ぶ。

「う……ごめん」

アメリーは反省し小さく謝るのであった。

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〔道中会話〕
「あそこのキャンプの人達って、なんかみんな楽しそうだったよね」

「長いこと交戦がなければ、ああなるかもしれません」

「腑抜けやがって。向上心はねえのかよ」

「楽しいことはいいことだけど、楽しちゃ駄目な時もあるよね」

「おおう?相変わらず急に深えこと言うな、お前」

「ほへ?」

「……なんでもねえわ」

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999Y.C. アムル天将領 鉄蹄(てってい)

「潜入成功っと」

アメリーが見つけた道の通り進めば、揉んばすら居らず、あっさりと砦内へ入れてしまった。

「ホントに大丈夫かな……」

「戻ってもまた兵器に狙われるだけです。なら行くしかありません」

三人は慎重に砦内を進んでいく。

「……んだ?こっちには連邦兵がいねえぞ」

門番も居なかったが、中にも人が居なかったわ、

「……もしかしたら、あんな兵器を持っているが故に、裏から侵入されるとは思ってないのかもしれないね」

「はああ〜、よかったあ〜」

連邦兵との戦闘に緊張していたアメリーは大きく息を吐いた。

「けっ、連邦といいキャンプのヤツらといいどっちの軍もだらしねえなあ!」

進めば進む程、獣しか現れないことから長いこと誰もこちらの門には来ていないのは明白だった。

「あー、クソッ腹減ってきやがった……」

ファルクの言葉にアメリーがゴソゴソとポケットを漁った。

「じゃじゃん!ビスケットあげましょう!」

アメリーはファルクの手にビスケットを乗せ、ユーゴにも差し出した。

「今日初めて、オメエに礼を言いたくなったぜ」

アメリーにもらったビスケットをボリボリと貪りながら三人は、砦内を進んで行った。

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〔道中会話〕
「そうそう、ユーゴくん。兵器の情報ってキャンプの人に聞いたんでしょ?」

「はい、そうです」

「凄いね!あんな人達から情報ゲットするなんて!私なんかなにも聞けなかったのに………。てことで聞き込み競争はユーゴくんの勝ち。キミを聞き込み隊長に任命するね!」

「は、はあ……そうですか……」



〔道中会話〕
「兵がいないからといって、なにが待ち受けているかわかりません」

「そうだね!ここは慎重に行こう!」

「…なので、声量は控えめな方が…………」
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