エピソードまとめ

□ユーゴ・シモン
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ep.1 裏切り者
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【CHAPTER2 ロランス隊がゆく】
999Y.C. ジルドラ帝国 レインツ荒涼地帯


「さあて、じゃあ出発だよ!今日はいよいよ新生ロランス隊の初任務だからね!」

「よろしくお願いします」

「今回の任務は……じゃじゃん!アムル天将領方面に展開する、とあるキャンプの援護だよ!」

「アムル天将領……」

「広大な沼地の広がる方面ですね。帝国が攻めあぐねているという」

「うん。なんかずっとキャンプで足止めされているんだって。なのでまずは、そこへの合流を目指します!この三人で!ふぁいとおー!」

「は、はい!」


3人は荒涼地帯を進んでいく。

〔道中会話〕
「ほらほら駄目だよ二人とも。任務は楽しく、仲良くね?」

「できればそうしたいのですが……」

「ハッ、裏切り野郎と仲良くなんざ、反吐が出るぜ」

「……だそうです。実際、裏切りは事実なので無理もないことですが」

「そっかなあ?私は気にしてないけど?」

「ありがとうございます。ロランス隊長は優しいですね」

「えへへえ」


〔道中会話〕
「あ、そうだユーゴくん」

「私のことはアメリーでいいよ?」

「しかし上官にそのような……」

「じゃ、その"上官"命令」

「了解しました、アメリー隊長」

「うんうん!これでこそ仲間って感じだよね!」

「ありがとうございます。……ファルクもよろし……」

「あ?見てんじゃねえよ裏切り野郎。やんのか?」

「……すみません。アメリー隊長。すでに別の意味でファイトが始まりそうです」

「もうクロードくんったら、相変わらず照れ屋さんだなあ」

「あん?っぜえなあ、相変わらず」


〔道中会話〕
「……あの、少し気になっているのですが。アメリー隊長はどうして彼のことをクロードと?」

「だってクロードくんはクロードくんだからね。一緒に養護院にいた頃から、ずっとそうだもん」

「二人は護院に……」

「うん。でも軍ではファルクって名乗ってるから……。公の場では私もそう呼ぶけど。それ以外ならクロードくん」

「なるほどそういうことでしたか。では僕も今後は彼のことを……」

「ファルクだ」

「でも……」

「おい裏切り野郎。もし"クロード"とか呼んでみろ。即座にバラバラにしてやるからな」

「…………アメリー隊長。僕、彼と仲良くなれる気がしないのですが」

「うん!ふぁいとあるのみだよ、ユーゴくん!」

「……確かに。"ファイトあるのみ"にはなりそうですね」


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荒涼地帯を進んでいるとガルル、ネヴァム、ガルグランの群れに遭遇した。

「な、なんだ!?」

「獣さん達、お腹減ってるみたいだね」

「腹が空いている?だったらなんでこんな人が行き交うような場所に」

「ハッ、おめでたい野郎だな!マナに恵まれた連邦領と一緒にしてんじゃねえよ。帝国領じゃ人喰い獣の襲撃なんざ、日常茶飯事だぜ」

「……そうなのか」

「ごめんね、獣さん達。私達も食べられちゃうわけには、いかないんだ!」

「ですね」

「オレを喰おうなんざ、百年早えんだよ獣どもオ!」

3人はそれぞれ武器を構え獣を討伐して行った。


「逃がすかよっ!人喰い獣が!」

逃げていくガルグランの背をファルクが追いかけようとする。

「待て、ファルク!」

ユーゴは彼に手を伸ばす。

「手負いの獣に深追いは禁物……」

「っせえよ、裏切り野郎!ここで狩らなきゃ、また被害が出るだけだろうが!」

そういうファルクの言葉に、ユーゴは自分に食いかかってきたときの幼馴染の事を思い返した。

「はっ!」

意識を戻した次の瞬間にはもうファルクは駆け出していて背が遠くなっていた。

「ファルク!」

「あちゃー、一人で行っちゃった」

「困ったさんだねえ、もう」

「アメリー隊長その……任務外の行動にはなりますが。僕はできれば彼を助けに……」

「ん?どしたの?早く行くよクロードくん助けに」

「……え?」

「なあに?」

「いえ、なんでも。行きましょう隊長、彼を助けに!」

「うん!」

2人は急いで彼の後を追った。


999Y.C. ジルドラ帝国 寂光丘陵

「ねえ、ユーゴくん軍は楽しい?」

「え、いや、まだ入隊したばかりなので……」

「そっかそうだったね。じゃあこれから楽しくなるといいね」

「……そうですね。……ですが、ファルクに限らず他の兵にも、すでにいい印象は持たれてないようですが」

「大丈夫大丈夫!ユーゴくんいい人っぽいから!」

「あ、ありがとうございます。……でも彼らの気持ちもわかりますよ。連邦と帝国が戦争しているご時世に、僕のような者を受け入れるのは、なかなか難しいことかと……」

「そっかな。全然気にしなくてもいいのにねー」

「そう言ってくれるのは隊長くらいですよ。僕が連邦を裏切った身であることは事実です。ですから仲間としての信頼は、自分の力で少しずつ……着実に勝ち取っていきますよ」

「うんうん!その調子だよユーゴくん!ふぁいと!」

「頑張ります」

「でも嬉しいなー。ユーゴくんの悩みを聞けて」

「……どうしてです?」

「だって部下から相談されるのって、なんだか隊長みたいでしょ?」

「みたい……というか隊長なのかと…………」

「あはは、そうだったね!じゃ、今度また、クロードくんや他の人達にちょっかい出されたら、私に言うんだよ?」

「いえ、それくらい自分でなんとかしますよ」

「えー!まさか、みんな、こてんぱんにしちゃう気?」

「ユーゴくんって意外と喧嘩っぱやいのかな?」

「そんなことあるのかな?」
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