エピソードまとめ
□ユーゴ・シモン
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ep.2 決別の戦場
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「さすがは自慢の教え子だ……。厄介なことこの上ない」
膝を着いたリゼットがそう呟く。
「黙れ……。僕はもうブレイズじゃ……貴女の教え子じゃない。僕は……帝国軍人の、ユーゴ・シモンだ」
「……そうか」
リゼットは静かにそう言って立ち上がり、真っ直ぐにユーゴを見た。
「シモン……お前には確かに、私を恨み殺す権利がある。だが……今しばし時間をくれ。落とし前をつける時間を」
「ふざけたことを……!今更なにができると……!」
「……すまない」
そう言ってリゼットは煙幕弾を地面に投げつけた。
「ま、待て!」
ユーゴが叫ぶが、待つはずも無く。煙幕が晴れた時には彼女はもういなかった。
「くっ……」
ユーゴの横でバスチアンが急に膝をついた。
「バスチアンさん…!」
今までは敵がいることで気を張っていたが、それもいなくなって、耐えていた分の疲労がどっと出たのだろう。
「……本陣は押さえました。退きましょう」
「すまない。お前の因縁の相手を……」
「なにを言っているんですか。狼将を補佐するのが……」
「狼将補……だったな」
そう言って、バスチアンはゆっくりと立ち上がった。
「そういうことです」
ユーゴは少しだけ笑みを浮かべ、満足そうに頷くのだった。
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〔エピローグ〕
「それにしても」
バスチアンが刀を仕舞いながらユーゴに話しかける。
「よく、自分の全力に合わせられたものだ」
感心したようにバスチアンはそういう。
「まるで、長年連れ添った戦友のような動きだったぞ」
「僕も同じような気持ちになりました。たぶん、貴方の戦い方が、彼によく似ているから……」
そう言ってユーゴは、少し目を細めた。
「ん…?」
「とにかく……、貴方に合わせるという意味では、僕の右に出る者はそういないかと」
「ほう……。お前にしては珍しく自信ありげだな」
「ええ。これに関してだけは誰にも譲る気がないんです」
そう言ってユーゴは空を見上げた。
「貴方のように気高い人の背中を守ることにかけては……ね」
輝く太陽の先に、気高い幼なじみを思い浮かべながら……。
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〔次回予告〕
次回、テイルズオブルミナリア
エピソード ユーゴ
ep.3 帝国の守護者
この帝国で僕は強くなる