エピソードまとめ
□ユーゴ・シモン
14ページ/19ページ
ep.2 決別の戦場
─────────♢────────
奥に進むと、先程の獣と同種の更に大きな個体─ディモナビスがいた。
「やはりまだいたのか!ただ、先ほどまでのとは雰囲気が違うようです!」
「ああそうだな。ではやるか……ユーゴ。二人で」
「……はい!」
2人はそう言って、ディモナビスと対峙するのであった。
────────────────────
「見事だ、ユーゴ」
ディモナビスを倒し終わると、バスチアンがそう言った。
「あ、ありがとうございます。バスチアンさん。この任務で、僕はまた一つ成長できたように思います」
「そうか。それは良かったな。では次は他の狼将に……」
「次の任務も張り切って帯同させていただきますね!よろしくお願いします!」
「……やれやれ」
この調子では当分付いて回りそうだと、バスチアンは諦めるのだった。
────────────────────
【CHAPTER3 狼将の役割】
999Y.C. ジルドラ帝国 帝城ガルデンブルク
「今日はバスチアンさんに稽古をつけてもらえる約束だ。待ち合わせは、この中庭のはずだけど……」
そう言ってユーゴは、城の庭を歩くのだった。
────────────────────
〔城内会話 帝国兵〕
「バスチアン様と手合わせするらしいな。俺も凄く楽しみにしてるぜ」
「どうしてですか?」
「だってよ。殺される……まではいかなくても、絶対、五体満足じゃいられねえだろお前。楽しみで楽しみでしょうがねえよ!」
「なるほどね……」
〔城内会話 2人組帝国兵〕
「聞いたか?例の十三人喰いの獣。黒狼村様と……裏切り者で退治したらしいぜ」
「ああ。あの獣に俺達の同僚もやられたからな……。これでアイツも浮かばれるだろうよ」
「だよな。黒狼将様と裏切り者には感謝を…………いや、どうせ連邦の奴は、なにもしてないのに、あたかも自分の手柄のように 触れ回ってるだけだぜ」
「そうだな……そうに違いないよな……」
────────────────────
バスチアンは中庭の噴水の前にいた。
「来たか、ユーゴ」
「本日は手合わせ、よろしくお願いします!」
「……自分と手合わせしたいなど妙な若者達だ。お前もファルクも」
「ファルクと同類扱いは少し気になりますが……。天下の黒将に稽古をつけてもらうなど光栄に決まっています」
「そうか。ならば……行くぞ」
「はい!」
ユーゴの返事を聞きバスチアンは刀を抜いた。
「器用な手加減は期待するなよ」
「う…そう言われると……」
「当然お前も遠慮はいらないからな」
「黒狼将相手にそんなことができるはずないですよ……。僕の全力で行かせてもらいます!」
そう言ってユーゴは長剣を構えるのだった。
「強い。これが黒狼将の力……」
「どうした?もう終わりか?」
「いえ!まだまだです!どんな強者が相手だとしても、少しでも足掻けるなら足掻きたいんで!」
「良い気構えだ」
────────────────────
「ぜえ……ぜえ……」
「やはりお前は強いな」
肩で息をするユーゴにバスチアンはそう伝えた。
「素晴らしく洗練された剣筋だ。ただ、それは同時に読みやすいということでもある。戦場ではもう少し荒々しく泥臭い方が……それこそ、ファルクと足して二で割るぐらいでちょうどいい」
「僕とファルクでなら貴方と渡り合えると?」
「いや……。それは難しいだろう」
「なぜです?」
「お前とあいつの息が合うのは何年後だろうな?」
「ははっ……絶望的ですよね……」
「そういうことだ」
「さて……お前と話している時間も悪くはないが、自分はこれから制圧任務に出なくてはならない」
「これからですか!?」
「ああ、お前はどうする?」
「わ、わかりました!補習授業だと思って 学ばせてもらいます!補習ってレベルじゃ なさそうだけど……」
ぼそっと、ユーゴは呟くのだった。
────────────────────
999Y.C. 森国シルヴェーア ディランブレ戦傷地帯
《前線拠点 制圧任務》
〔道中会話〕
「……では、この一帯を一気に落とすぞ。……我々二人で」
「相変わらず、無茶苦茶な話ですね」
「だが慣れただろう?」
「……まあ、恐ろしいことに」
「ではゆくぞ、ユーゴ」
「はい!」
〔道中会話〕
「でも良かったです」
「なにがだ?」
「あ、いえ……。バスチアンさんが僕のことを、だいぶ受け入れてくれていると感じたので……」
「受け入れる?自分がお前をか?」
「え……違うんですか?初めてお会いした時なんかは僕に無関心……を越えて、認識されていないのかな、と思ったりもしましたが。最近はそういった空気を感じないので……勘違いだったでしょうか?」
「ふむ……。どうだろうな。自分は元々、そのような態度を、とったつもりはないのだが………」
「あ、あれでですか?」
「ただ……、それこそ慣れたのかもしれないな。お前という存在に」
「そ、そうですか……」