エピソードまとめ

□ユーゴ・シモン
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ep.2 決別の戦場
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「シモン、よく来てくれた」

部屋へ入ると、上官はそう言ってユーゴを出迎えた。

「いえ。任務でしょうか?」

「その通り。それも"狼将補"としてのな」

「狼将補……。その……具体的には、なにをする役職なのでしょう?」

「基本的には狼将達に付き 次期狼将として学んでもらう。任務はその時により様々だ。付く狼将に合わせてくれ」

「……了解です。それで今回は?」

「まずキミには、黒狼将に付いてもらう」

「帝国最強と名高い将、バスチアン閣下ですね」

連邦にいたユーゴの耳にも入るほどに。

「ああ。ちょうどこれから彼の単独任務がある。キミは、それに同行してくれ」

「単独任務ということは……偵察などですよね?それならば僕にも補佐できることがあるかと……」

「…いや」

ユーゴの言葉を上官は笑いを含んだ声で、否定した。

「黒狼将と二人だけで、一個中隊を撃破して来ること。それが"狼将補"としての最初の任務だ」

上官はそうユーゴに告げるのだった。

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999Y.C. 森国シルヴェーア ディランブレ戦傷地帯

「バスチアン閣下は。この辺りで戦闘中と聞いたけど。本当に単独でそんなことが……」

疑念に思うユーゴの元に金属と金属がぶつかり合う音が聞こえて来て、ユーゴは音の方へ走った。

「あれは……!」

先に黒い鎧の剣士が、連邦軍と戦っているのが見えた。

「お待たせして申し訳ありません!」

ユーゴは長剣を握って、戦場へ飛び込んだ。

「自分はこの度、"狼将補"に任命されました。ユーゴ・シモンです!すでにご存じかもしれませんが、元は連邦のブレイズに所属を……」

「黙って戦え」

「は、はい!」

ユーゴは、慌てて返事をし、剣を構えて連邦兵と対峙するのだった。


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「やりましたね……」

全ての連邦兵を倒し終わり、ユーゴは長剣を下ろした。

「では改めて自己紹介を……」

「ユーゴ・シモンだろう、充分だ。今日はこのまま、ここ一帯に陣を構えている連邦兵達を討ちに行く。先に進むぞ」

そう言って、黒狼将バスチアンは歩き出した

「わ、わかりました」

ユーゴは慌てて返事をして彼の跡に続くのだった。


〔道中台詞〕
「……ただ、任務に就くにあたり、あらかじめ自分の能力等を貴方にお伝えしておきたいのですが……」

「必要ない」

「え?」

「そのような情報は必要ない。そう言っている」

「で、ですが、このあとも多くの兵を相手にするんですよね?部下の能力を把握すれば組める戦術の幅も広がると思うのですが……」

「ああ。だから言っている。お前の能力は関係ないと」

「なにを……」

「今は黙って進め」

「は、はい………」


〔道中会話〕
「しかし……このまま進めば、連邦の拠点に二人だけで突っ込むことになりますけど……」

「そうだな」

「一応上官からも、そのような任務とは聞いていますが、なにか策はあるのですか?」

「……ある」

「そうなんですか?いったいどんな……」

「正面突破だ」

「それを策とは言わないです!馬鹿ですか!」

「ふむ……」

「ハッ!す、すみません。つい……。なぜかレオを相手しているような気持ちに…!」


〔道中会話〕
「……ユーゴ・シモン」

「は、はい……」

「……面白い。覚えておこう」

「な、なんですかそれ」

「そのままの意味だ」

「……よくわかりませんが、光栄です。バスチアン閣下」

「自分のことはバスチアンでいい」

「そういうわけには……」

「自分はバスチアンでいいと言っている」

「わ、わかりました。バスチアン……さん」

「いいだろう」

「……この人とやっていけるか、不安になってきたよ……」


〔道中会話〕
「まもなく連邦兵達のいる地点に到達する」

「了解です……って、いやいや!正面突破の件、なにも解決していませんよ?」

「問題ない。ゆくぞ」


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〔連邦軍 第1拠点〕
「帝国が攻めて来たぞ!囲めえ!」

「だから言ったじゃないですか。………仕方ない。僕が攻撃を防ぐので、バスチアンさんはその隙に……」

「ああ。活路を切り開こう」

「お願いします!……ん、活路?退路ではなくて?まさか………」

「ユーゴ・シモン。お前は見ているだけでも構わない」

「ああもう!そんなわけにはいかないので、やりますよ!」

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「か……勝てた……」

たった2人で軍勢に勝てたことにユーゴは呆然としていた。

「ここは制圧した次へ向かおう」

「次って言っても……」

入ってきた入口以外に、拠点から繋がる出入り口は見つからない。

「問題ない」

そう言ってバスチアンは刀片手に、拠点に建てられた石塀の前に立った。

「……ハアッ!」

バスチアンが気合いを入れて刀を振るえば、塀は真っ二つに斬られ、上側がバラバラと崩れ落ちた。

「嘘でしょう……」

「さて行くぞ、ユーゴ・シモン」

簡単に跨いで通れるようになったその塀をバスチアンが進んでいくのを、ユーゴは唖然としながらもついて行くのだった。
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