エピソードまとめ
□ラプラス
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ep.1 魔女の気まぐれ
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【CHAPTER4 魔女の慈悲】
997Y.C. ジルドラ帝国 石鳴りの道
「ところで今回、貴女が欲してるものとは具体的になんなのだ?」
「ああ、宝石よ、宝石。この洞窟って元々、希少な石が取れるんだけど、中でも特に珍しいのが出たって報告を受けてね」
「それを直接採取に?誰かに運ばせればよかろう?」
「それが扱いがデリケートなシロモノでね。下手に触ると死人が出かねないっていうかあ」
「……なんだその物騒なモノは。とてもオシャレのためとは……」
「な〜に?疑うわけえ?いいでしょ別に。とにかくアタシは宝石が欲しいだけよ」
「……了解した」
先程の事もあるのでバスチアンはそれ以上追求せず、大人しくラプラスの後に続き、洞窟内を進んで行った。
少し進むと岩々の間から緑色に光るマナは吹き出していた。
「……む。ここはなんだ?」
初めて見る光景にバスチアンは尋ねた。
「マナの濃度が異常に濃いわね……」
「そしてまたしても異常な数だ………」
マナが吹き出している岩の周りにはオタパプやジャフラが群がっていた。
「…無軌道な力の放置も考えものね。やはりそろそろ彼の中に……」
ブツブツと呟きラプラスは何やら考える。
「いえ、でも、まだ準備が…………って、なに!?」
グラグラと地面が揺れ、上からはパラパラと崩れた天井が砂や小石となって落ちてくる。
「……また地鳴りだな」
「はあ……もうやんなるわあ。やれやれ……バスチアンちゃん。アタシのために、もうちょっとだけ働いてくれる?」
「承知した」
そう言って2人は武器を構え、地鳴りで興奮し襲いかかってくる獣を迎え撃った。
「あの地鳴り……絶対、暴走した獣の仕業よ。この洞窟の力にあてられて無駄にみなぎっちゃたのね」
「こいつらのことか?」
「これもだけど、もっと大きいのが奥にいるわよ。だってビンビン感じるもの、あり余るほどの圧を」
「そうか、ならば地鳴りで洞窟が崩落する前に……」
「ええ。こいつら掃除して先に進まないとね」
「心得た」
獣討伐後。
「さ、早く奥に行きましょ」
そう言って先の扉を開けたラプラスにバスチアンは続く。
「この先に巨大な獣が控えているのか?」
「ほぼ確実にね。もう面倒なことこの上ないわ」
「それなら自分一人で駆除しても構わないが」
「あー、いいわよ。そういうのアタシもやるから」
「……ふむ。珍しいな。貴女がやる気を出すとは」
……あっ、とラプラスは慌てて声を零した。
「ふ、二人でやった方が早いし、気持ちいいわよお?」
「今なにか、無理して"らしい"言葉を付け足さなかったか?」
「そ、そんなことないわよ。アタシはあまねく男を惑わす魔女ラプラス様よお?」
「…そうか」
「……その無表情、本当にやめて」
「すまない。次は鼻の下を伸ばせるよう精進する」
「……なにそれ」
〔道中会話〕
「奥には貴女の求める宝石もあるわけだな」
「そうよ。まあ宝石というよりは原石といった方が正確だけど」
「原石……。確かにこの洞窟には、様々な鉱石が見られるな」
「ええ。だからこそ採掘も進むし、だからこそ脆くなるの。結果、ちょっとの揺れで落盤事故も起こるわけね。あはっ人間の欲望っていつだって命取りよねえ」
「そうだな」
「でもあなたは、装飾品とか興味なさそうよね?」
「ああ。鉱石には多少興味があるが……」
「そうなの?」
「武器や防具の材料としてな」
「そういうことか。バスチアンちゃんらしいわね」
「その意味でこの洞窟も実に興味深い。強い力が充ちている場所にある鉱石なら尚更だ」
「そう。さすがはバスチアンちゃんね」
「どういう意味だ?」
「大した意味はないわ」
〔道中会話〕
「そうそう、バスチアンちゃん」
「なんだ?」
「今日のデートは二人だけの内緒にしてね♪」
「……ふむ。別に構わないが、アウグストには報告しなくていいのか?」
「なんでわざわざそんなことするのよ。これはアタシ達の秘め事なんだからあ」
「そうかわかった」
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〔獣の大軍〕
「構えろ、ラプラス」
「あは。こんな雑魚に本気出すことないのに」
〔獣討伐後〕
「ふふっ、なんてことなかったわね」
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〔道中会話〕
「貴女はよくこのような行動をしているのか?」
「どういうこと?」
「貴女の言う、デートというものだ」
「あら、やだもしかして嫉妬してるの?かっわいい〜」
「嫉妬か……よくわからないが、しているのかもしれないな」
「えええ!?な、なに急に……」
「………任務がない時でも自らに負荷をかけ、本番さながらの戦いに身を投じる……そんな鍛錬に勤しむ狼将に羨望を覚えずにはいられぬな」
「あなた…デートをなんだと思ってるのよ……」
「ん?苦手な状況に身を置くことではないのか?」
「あーそうね。今の状況はそんな感じね……」
〔道中会話〕
「……ラプラス」
「な〜にい?」
「……貴女の本当の目的はなんなのだ?」
「だからあ、アタシのオシャレよ。綺麗な宝石が欲しいだけ」
「違う。自分は知っている」
「なにを?」
「貴女はそう見えて我欲で動かない。自分と同じだ」
「は?」
「いや、元より感情と呼べるものがない自分より酷い。貴女は意志がありながら……」
「バスチアンちゃん……そろそろ怒るわよぉ?」
「ぬっ……!」
「な〜んて。じゃ、張り切って採掘しましょ、バスチアンちゃん」
「……了解した」