エピソードまとめ

□アレクサンドラ・フォン・ゾンネ
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ep.2 正義の免罪符
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「ふう……なんとか制圧の目処が立ってきたな」

一息付きながら、長いブロンドヘアーの女性が部屋の中に入った。

「さすがの奮迅ぶり見事だったぞ、ユーゴ」

「ありがとうございます」

ユーゴと呼ばれた褐色の肌に金色の髪を持つ青年は礼を言った。

「でも、まだまだですよ。もっと力をつけないと……」

「その年で立派なものだな。連邦で高等な教育を受けていただけはある」

「いやいや、それを言ったら貴女の方が……。聞きましたよ、アレクサンドラさんって帝国の士官学校を首席で卒業されたんですよね?」

「……どうだったかな」

アレクサンドラは視線を逸らす。

「また、ご謙遜を」

「その頃の華やかなエピソードとか、あるでしょう?」

「そんなものはないぞ。……ただ、卒業直後なら少し印象的な出来事があったな」

「へえ、興味深いですね。恋や友情の話ですか?」

「そんな麗しいものではないさ。だが………あれも青春の1ページと表現できるだろうか」

そう呟いてアレクサンドラは6年前の事を思い返すのであった。

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【CHAPTER1 首席卒業者】
993Y.C. ジルドラ帝国 帝都内帝国軍兵舍


「上官。私の配属は、まだ決まらないのでしょうか?」

胸までの長さの髪をポニーテールにし青いリボンで結び、短パンスタイルの戦闘服に身を包んだ15歳のアレクサンドラはデスクを挟んだ目の前の男に尋ねる。

「すまない、キミを欲しがる部署が多くてな。半ば内乱状態だ」

「そ、それほどのことに……」

「一番楽なのは上がスパッと決めてくれることだが……」

「上とは?」

「皇帝陛下……だろうか」

「ご冗談を」

「それぐらい停滞しているということさ」

「そういうことであれば了解いたしました」


そう言ってアレクサンドラは上官の部屋を出た。


「仕方ない……今日も帝都の見回りと行くか」

所属が決まらなければ任務もないので、アレクサンドラは自主的に活動を決め兵舎の階段を降りていく。

「えこひいき令嬢様は今日も香気にお散歩か?」

「相変わらずいい気なもんだよなあ」

2人の男性の声がそう聞こえて、アレクサンドラは訓練所を見た。

「同期のミュラー兄弟じゃないか。久し振りだな」

そう言ってアレクサンドラは2人に駆け寄る。

「士官学校を卒業してから会う機会も減ってしまったが、二人とも元気そうでなによりだ」

「はあ?それ嫌味かよ」

ミュラー兄弟と呼ばれた剣士のほうがアレクサンドラを睨む。

「俺達は前線で地べた這いずり回ってるのによ」

「前線で?それは羨ましいな」

アレクサンドラは素直な気持ちを伝えたのだが、ミュラー兄弟の帝国兵のローブを着た創術士の方が怒りを顕にした。

「喧嘩売ってんのか?貴族だからって調子乗ってると……」

「と……すまない、これから自主らなんだ」

「はあ!?」

「私もお前達に負けないよう頑張るとするよ。ではな」

そう言ってマイペースに踵を返したアレクサンドラの背に創術士の方が手を伸ばす。

「おい、ちょ、待っ…!」

しかしその手は何も掴むことなく、アレクサンドラは去っていった

「くそっ……苦労を知らない貴族が……。みてろ……今に本物の戦場の恐怖を味わわせてやるからよ」

そう言ってミュラー兄弟はアレクサンドラの背を睨むのだった。

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〔兵舎内会話 帝国兵1〕
「俺……この前ようやく配属が決まったんだけど、物資の管理班ってなんだよ……。まあ、直接戦わなくていいから楽は楽なんだけどさ……」


〔兵舎内会話 帝国兵2〕
「士官学校時代は来る日も来る日も、ここで訓練してたから地獄のような場所だと思ってたが、前線に出るようになってからは、ここに戻ってくるとほっとするんだよな」


〔兵舎内会話 食堂前帝国兵〕
「おう、アレクサンドラ。まだ配属は決まらないのか?」

「ああ……困ったことにな……」

「まあ、そう焦るなよ。物事ってのはそのことばかり考えてると進みが遅く感じるもんだ だから、どーんと構えとけ」

「なるほど……心得た」


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993Y.C. ジルドラ帝国 帝都ハイガルデン

「晴天の帝都はいっそう輝いて見えるな」

兵舎からハイガルデンの街へ出たアレクサンドラは、晴れた空を仰いだ。

「では早速らを開始するとしよう。まずは武器屋に行くか」

そう言って街の中を歩き始める。

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〔街中会話 噴水広場 おばさん〕
「帝国がまだジルドラ荒国と言われていた頃に、リアクター技術の開発が始まったって聞いたけど、おかげで凄く暮らしやすい国になったわよねえ」


〔街中会話 大通り おじさん〕
「皇帝ジギスムント陛下は素晴らしい御方だ。初代皇帝が崩御された時は、正直、国の行く末に不安を抱いたものだが。今やここまでの発展を遂げさせたんだからな」


〔街中会話 帝国兵〕
「先日マイシュ氷涯国が傘下に入ったことで帝国の領土は一気に広がった。この勢いでシルヴェーアや、アルコニスに攻め入れば、戦争が終結する日も近いぞ」


〔街中会話 武器屋前 男性〕
「そこの武器屋、相当儲かってるらしいぞ。やっぱ戦争ほど儲かる商売はないってことかね」
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