エピソードまとめ

□アレクサンドラ・フォン・ゾンネ
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ep.1太陽
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蒼天の中、キンキンッと剣のぶつかる音、弓を引き矢が走る音、爆発音、人の雄叫び、悲鳴、様々な音が轟いていた。


「ぐあ…!」

帝国軍の鎧を来た男が地に伏した。

「お、おい、しっかりしろ!」

同じ鎧を来た他の男が、その兵に駆け寄った。

「傭兵風情が帝国側に付いたのが、運の尽きだったな」

そう言ってガシャンガシャンと鎧を鳴らしながら連邦兵が剣を握り歩み寄って来た。

「恨むなら……この戦乱の時代を恨めよ!」

そう言って連邦兵は剣を振りかぶった。

「く……」

帝国兵の男が倒れた同胞を抱きしめる。
その後ろから、青いマナを花びらのように撒き散らしながら白い閃光が走り、ぎゃあ!と人々の悲鳴が上がる。

「な、なんだ……!」

連邦兵は急に倒れていく仲間に驚き、剣を振りかざしていた手を止めた。
その彼の背後に、いつの間にか白い衣装を翻した長いブロントヘアーの女性が剣を携えていた。

「ひ、ひい……や、やめ……」

そんな言葉も虚しく、女は連邦兵の背を斬りつけた。

ばたり、と連邦兵はその場に転がった。

「すまないな。恨むなら……」

女は剣を鞘に戻す。

「……私を恨んでくれ」

「あ、ありがとうございます!助かりました!」

「礼には及ばないさ。私はただ、自分の責務を果たしたに過ぎない」

女は歩いて、倒れた帝国兵たちの傍に寄る。

「お前、名はなんという?」

「フ……フリッツです」

「そうか。ではフリッツ。お前は仲間を連れて戦場を去れ。その傷ではもう戦えないだろう」

そう言って女は踵を返した。

「あの……貴女はいったい……」

「ああ。すまない。申し遅れた」

女は立ち止まり振り返った。

「私は白狼将……。アレクサンドラ・フォン・ゾンネだ」


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【CHAPTER1 電光石火】
998Y.C. 森国シルヴェーア ディランブレ戦傷地帯
《 ユール連邦軍 連邦砦攻略 前哨戦 》


「このまま進軍して、連邦軍の拠点を叩いておくか。じき、味方も到着するだろうし、敵の数を減らしておくのも悪くないだろう」

そう言ってアレクサンドラは単身で進軍を始めた。

「……いつ来ても、戦場という舞台には独特な空気がある……。敵も…味方も…傭兵も……、皆生き抜くのに必死だ……。かくいう私も我が帝国のため……。そして私自身の信念に従って進むしか道はない。……ならばこのまま、真っ直ぐ正義を貫くまでだ」



〔道中台詞〕
「しかし……、また単独で先行してしまったな……。私は普通に駆けているつもりなのだが……、いつもこうなるのはなぜだろうな?ただそのおかげで救えた命もある。それだけでも甲斐があったというものだろう」

「それにしても次から次へと……まったく無茶な兵数だ……。ただ、その無茶を通すのが、私達"狼将"の日常か……。常勝こそが私に課された使命だな」

〔道中台詞 第1拠点前〕
「……あれが敵拠点か。拠点を攻略する最良の方法は……。……やはり正面突破しかないな!」

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〔連邦 第1拠点〕

「なっ!こいつ一人で!?」

「確かに私一人だが……、各個が一騎当千の能力を持つ狼将の力を侮るなよ!」

〔拠点兵長登場〕
「貴様……ただで済むと思うなよ!」

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「……良し、これで拠点を一つ落とせたな」

そう言ってアレクサンドラは剣に着いた血を払った。
そんな彼女の後ろから足音がする。

「……なにも良くないですよ」

そう言って長い白髪に黒い毛の少し混じった男が現れた。

「アウグストか。遅かったな」

「貴女が速すぎるんです。まったくどうしてそういつも勝手に……」

「待て、小言ならあとで聞く。今はこのままの勢いにのって、迅速に敵拠点を制圧した方が得策ではないのか?」

「…それはそうですが」

「あらあら」

そんな声と共にアウグストのマントの後ろから、ピンクの縦ロールを揺らした女が顔を覗かした。

「やんちゃな部下を持って可哀想なアウグストちゃん」

女はその辺にあった木箱の上に乗りそして、

「よーしよし」

とアウグストの頭を撫で出した。

「やめてください、ラプラス」

アウグストが身を引けば、女──ラプラスはつまんないと言うような顔をして箱から降りた。
それを見ながらアレクサンドラはため息を吐いた。

「そういえば、今回の作戦にはお前もいたな」

「ええ。どこかの気取った貴族令嬢ちゃんだけでは、心もとないからね」

そう言ってラプラスはアレクサンドラを指さした。

「貴様…」

「なによ」

2人は睨み合いを始める。

「はいはい。そういうのはいいですから、作戦に戻りましょう」

そう言ってアウグストが歩き始めると、睨み合っていた2人は、ぷい、と顔を背けた。

「…そうだな」

アレクサンドラは髪を払い、それからアウグストの後を追う。
ぷい、とむくれたままのラプラスも少ししてから2人の後について行くのだった。
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