エピソードまとめ

□イェルシィ・トゥエルチュ・ハイナジン
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ep.1キミに花があるように
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〔道中会話〕
「すまないな。私と二人きりだと退屈させてしまう」

「ええっ、なにそれ!?ヴァネッさんと一緒に歩くの楽しいし、あたしは不真面目でフニャ〜。ヴァネッさんは真面目でビシッ!ワリといい凸凹コンビだと思うけど!」

「不揃い故の名コンビ……か。フフッ、そうなれたら楽しいな。ありがとう、イェルシィ」

「ほら!トトもあたし達のコンビイイ感じだって!」

「トトか…。やはり私には"見えない"ようだ。せっかく褒めてもらっているのに、すまないなトト」

「気にしてないってー。トトも可愛くびょんぴょん跳ねてるし!」

「ありがとうトト。気持ちは確かに受け取った」

「えっ!?や、やっぱ見えてんじゃん!?」

「いいや、一向に見えん。だがお前の視線や動きであたりを付けた。………よかったこの位置にいるんだな。感触はないけれど……、感謝の気持ちは相手を見て伝えたい」

「や、優しいなあもう。惚れるじゃんかよ……」

「フフッ、大げさだ」

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「この先が山都ドルガノーアだ。リュシアンとマクシムとは、そこで合流する手筈になっている」

「りょー!早く会いに行こー!」



2人はやっとドルガノーアの門の前へ到着した。

「あれっ?あそこ誰か戦ってね?」

「……リュシアンだ!」

獣の群がる中にいるリュシアンの元に駆け寄る。その傍には子供たちが一緒にいた。

「リュッシー、これは!?」

「説明はあとです!この子を守りますよ!」


獣討伐後。
「よっしゃー大勝利っ!」

「よく頑張りましたね」

「リュッシー最強!子ども守りながら一人で戦ってたなんてすごい!さすがブレイズ!ステキ!」

「ははは、ありがとうございます」

「しかし……マクシムはどこです?」

「彼には獣の被害について、街の方に聞き取りをお願いしているんです。私は周辺を確認する途中で、この子に会いまして」

「じゃあ…街の近くまで獣が出てるってことですか?」

「そうなりますねえ……。一刻も早く対応をしなくては。まずは私とヴァネッサさんで この子達を送り届けましょう」

「じゃ、あたしはマッキ先輩探してくる!あとで街の広場に集合ねー」

「心得ました」


〔子供たちに話しかける〕
「怖かったねえ。もう大丈夫だよ」

「うう……早く……早くおうち帰りたい……」

「でも……また獣が出てきたら……!」

「だーいじょうぶっ!お姉さん達がちゃーんとバッチリ、あなたをおうちまで連れてってあげるぜい!……ね、ヴァネッさん♪」

「その通りだ。安心するんだ、子ども」

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998Y.C. オズガルド嶺峰国 山都ドルガノーア

「さてとマッキ先輩どこかな〜。迷子になってたりして」

そう言いながら一足先にドルガノーアに入る。

「えっ?なにトト?」

トトはピューと街の階段を登った左側に飛んでいってしまった。

「またなんか見つけたん?どこどこ〜?」

トトの後をついて行くと、武器屋の前に見覚えのある帽子があった。トトはその帽子をかぶった少年にピタッと寄り添っていた。

「ふむふむ。なかなかの品揃えだな」

「どうもありがとうございます」

「だが諸君が武装して、自衛する必要性は皆無だ!それはなぜか!このマクシム・アセルマンが来たからだ!我が家名と騎士の誇りにかけて諸君は僕が守るぞ!」

「はあ……」

武器屋の店主が彼の扱いに困っているようなので、見かねたイェルシィは声をかけた。

「ちゃーす、マッキ先輩」

「僕をマッキなどと呼ぶ無礼な声は……」

そう言ってマクシムは振り返った。

「やはりキミかイェルシィくん!キミが来たということは、ヴァネッサくんも到着したんだな」

「そうでーす。獣なんですけどこの辺りまで出てますよ」

「な、なんと!」

「さっきも街の入り口でリュッシーが戦ってたんです。あたしらも合流して、一緒にやっつけちゃったけど」

「うぐぐ……僕としたことが、仲間の危機に駆け付けられないとは!」

「ひとまず広場に集合だって」

「ああ、わかった!」


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〔街中会話 コリコリ手羽串焼き屋さん〕

「ええっ、街の入り口にが!?こんなとこで串焼き売ってる場合じゃねえ!早く帰んないと俺がコリコリになっちまう!」

「コリコリ……ってここの名物だっけ?」

「ああそうさ!正確にはコリコリ手羽串焼きだ!まあ、今度食べに来てくれよ。獣問題を解決してくれたら、ごちそうするぜ!」

「ホント!?俄然やる気出ちゃったぜい!」


〔街中会話 屋台付近の老人〕
「うまいっ!この一本のために生きている!」

「……お食事中、申し訳ないんですけど、獣が出てるから家に帰ったほうがいいですよ」

「なにっ!?そうなのか!?食べ終わったあとで良かった……週1の楽しみが奪われたら、生きている意味がないからな」

「そんなに美味しいなんて……、なに食べてたんだろ……」



〔街中会話 民家前にいる女の子〕
「キミ、危ないないから、おうちに帰ったほうがいいよ。ここは獣が出るからね」

「え、街に獣が出たの?でも大丈夫だよ!だってすぐそこに兵隊さん達のおうちあるし、なにかあったらやっつけてくれるんだよ!」

「あはは、確かに兵隊さんは強いね。じゃあその活躍を見たくない!?」

「えっ!見たい見たい!」

「それじゃ、やっぱ早く帰ったほうがいいよ。おうちの窓が一番の特等席かもしれないぞ?」

「そっか……わかった!」



〔街中会話 駐屯地内の兵士〕
「なんだと!?獣がそんな近くまで?……戦力の派遣を要請しておいてよかった。生憎今ここは手薄でな。多くの兵士達は戦線に駆り出されている」

「なるほど。だからあたし達が送られたんですねー」

「ひとまず、俺達は村の周辺を見回る。キミ達ブレイズは街の様子を見てくれ」

「あいあーい!」


〔街中会話 かくれんぼ鬼の子〕
「あいつどこ行ったんだろ?全然見つかんない……」

「かくれんぼなら、今は家の中がいいと思うな〜」

「え〜?そんなのつまんないじゃん!」

「そうかもしれないけど、ここにいると大変だよ。命がけのかくれんぼになっちゃうかも。ここは獣が出るからね」

「け、けもの!?今すぐ帰るよ!」


〔街中会話 隠れてる子〕
「キミかくれんぼ?」

「…え。ど、どうして僕が隠れてるってわかったの?」

「この子!トトが見つけてくれたんだ〜」

「え……?誰もいないけど……」

「……とりあえずここは獣が出るから、早くおうちに帰った方がいいよ」

「け、けもの……!?おかーさんに知らせなきゃ!」

〔街中会話 高いところにいるおじさん〕
「け、獣が出たって聞いたんですけど、だ、大丈夫……ですよね?」

「もっちろん!でも念のため家から出ないようにねー」

「た、頼りにしてますよ!」


〔街中会話 街の南西の吊り橋〕
「なんの用だ?ここはあんたみたいなのが、来る場所じゃねえぞ」

「……もしかしてここ危ないトコなのかな?」

「そういうことだ。わかったならさっさと帰れ」

「……いつもこうやって迷子になった人に助言してるの?」

「はあ?」

「すっごくいい人じゃん!なかなかできないよ!きっと助かった人たくさんいるって!話してくれてありがとね♪」

「そ、そんなんじゃねえ……!」


〔街中会話 女子達〕
「ねえ見た!?さっき通った人!」

「見た見た!イケメンだったわよねえ」

「でも良い仲になるのは、絶対に簡単じゃないわよ。だって見た?隣を歩いてた子!ものすごい眼差しで周囲を睨み付けてたわ。あれくらいの気迫がないと、イケメンとは付き合えないのよ」

「た、確かに……私には無理かも……」

「……その二人ってもしかして……」


〔街中会話 西側の吊り橋の老婆〕
「ああ、鳥主ハリーオウ様。どうか我らを獣からお守り下さい……」

「おばあちゃん、ここは危ないって!お祈りするならおうちの中でやろっ!」

「……なんと!ハリーオゥ様の遣いの兵隊さんが来なさった!ありがたや……ありがたや……」

「あ、あはは、困ったなあ……。……でも源獣の違いって意味じゃ、間違いでもないかもねー」
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