エピソードまとめ

□イェルシィ・トゥエルチュ・ハイナジン
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ep.2 あなたと共に食卓を
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〔道中会話〕
「わ、見て!湖だよ!」

「わあ……絶景ですね……」

「カルデラ湖か。こんなに綺麗に見えるとはな」

「ホントだね!トト!……って今トトに話しかけちゃった。この景色……見せたかったな〜」

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「なんだかこの辺……獣が出てきそうですね……」

「わかる………ちょっとイヤな感じ」

「はは、獣と戦い過ぎて野生の勘が働いてきたか?」

「そういうわけじゃ……」

そう話しながら歩いていると、イェルシィの後ろに、ドシンと大型の赤い顔した猿ような獣が降ってきた。
すぐさま槍の持ち手を前に向け、防御の構を取ったが、獣はアッパーをかまし、イェルシィを空高く放り投げた。

「ふぎゃーっ!?」

イェルシィはそのまま重力に従って落ちていき、地面に叩き付けられた。

「イェルシィ先輩!」

ミシェルが名を呼ぶが返事がない。
イェルシィの元に駆け寄ろうとすれば、獣の仲間が現れ、ミシェルとガスパルの周りを囲った。

「チッ……」

獣の1匹が倒れたままのイェルシィの所へ向かっていく。

「マズイな」

「イェルシィ先輩!起きて……起きて下さいっ!」

ミシェルが何度も声をかけるが起きる気配がない。

「駄目だな。完全に意識を失ってる」

「くっ……」

唇を噛んだ後、ミシェルはすぅっと大きく息を吸い込んだ。

「トトさんを助けるんでしょう!」

ミシェルの叫び声が響く。

「はっ………!」

ぱち、とイェルシィの目が開き、紫色のその瞳が鋭くなっていく。

「……トト。そう……だよ。やんなきゃ……ねえっ……!」

そう言ってイェルシィは起き上がる。

「倒れてられっか、こんちくしょーい!」

急いで槍を構え、目の前の獣、ガンテ三体とその親玉マドルガンテと対峙する。

「目覚めたかい、お姫様!」

「大丈夫ですか?

「ぜんぜんぜんかーい!任しとけっ!ってまではいかないけどさ。死角からあたしを、ふっ飛ばすなんて許せない。たっぷりお返ししちゃる!見とけー!」

そう言ってイェルシィは勇ましく槍振り回すのだった。




しばらく戦っていると急にマドルガンテが向きを変えて山の頂上の方へ走り出した。

「逃げた……!?」

「まだお返ししてないんですけどー!」

「それより気付いたか?あの獣、体に花びらのような物付いてたぞ。…虹色のな」

「それって……!」

ガスパルの言葉にミシェルは、ぱあっと顔を明るくしてイェルシィを見た。

「源獣の祝福!追いかけよう!」


マドルガンテを追いかけて、山道を進んでいく。


「こっち!早く行こ!」

そう言ってイェルシィは真っ直ぐと続く山道へ行こうとしたが、何故だかガスパルは立ち止まってその場にしゃがんだ。

「いや、ちょっと待て。ここに足跡がある」

その点々と続く足跡を辿ると……。

「これは……山を駆け上がっていますね……」

道の続く方ではなく高くそびえる断崖絶壁山の方に続いていた。

「ウソ……。そんな道のないとこ追いかけられないじゃん!」

絶望するイェルシィを前にガスパルはじっと辺りを見回した。

「そういうわけでもなさそうだ」

そう言って、ガスパルが見たのは、絶壁の隅。横向きになれば靴1足を縦に向けてどうにかはみ出さないほどの細さの崖っぷちだった。

「え……ここを通るんですか……?」

「安全は保証しないが……どうする?」

ガスパルの問にイェルシィは当然というような顔をして見せた。

「行くに決まってんじゃん!あと少し……待っててね、トト!」

そう言ってイェルシィは1番にその崖っぷちに挑んだ。

「これ、あたしデジャヴなんだけど!」

「い、意識が飛びそうです……」

イェルシィの後に続くミシェルは下を見ないように必死に、崖っぷちを渡っていく。

3人がどうにか、渡りきると先は広い道が続いていた。


〔道中会話〕
「そういやそのトトっての、ミシェルくんは見たことあるのか?」

「いいえ、声も姿もあいにく……」

「そりゃまあ信じる奴は少ねえな」

「……ガスパっちもやっぱ疑ってます?」

「俺は疑うのが仕事だ。だが、お前さんの話を面白いって感じたのは事実だよ。つまらん仕事してるとな、面白味って奴が恋しくなるのさ」

「うーん。なんか誤魔化された感じ……」


〔行き止まり〕
「あれ……行き止まりでしょうか?」

「足跡はこっちに向かってた。逃したってことはないはずだが……」

「……なんか甘い匂いがする」

「えっ?」

「こっちの予感!付いてきて!」


〔行き止まりの山壁の穴〕
「こんな道があったなんて……!」

「匂いで見つけるとは……本気で野性味を帯びてきたんじゃないか?」

「もー、そんなんじゃないって!」


〔道中会話〕
「ん?この香り……」

「あ…私にもわかります!」

「でしょ!?お花畑でもあるのかな?」
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