エピソードまとめ

□イェルシィ・トゥエルチュ・ハイナジン
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ep.2 あなたと共に食卓を
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「景気づけにあたしからおすそ分け〜」

そう言ってイェルシィは2人に白い固形物の中に乾燥した果物が入った菓子を手渡した。

「わ……懐かしい」

イェルシィと同郷のミシェルはそう呟いた。

「ほお、アーロウか」

「すごーい正解!ウチの故郷の郷土菓子でーす」

「故郷にいる時は意識していませんでしたが、栄養価、携行性、保存性を兼ね備えた完全行動食ですよね」

「この状況にちょうどいい菓子だな」

「ホント!?持ってきてよかった〜。一休みしたら出発しましょー!」

こうして、暫し3人は休息を取った。


【CHAPTER4 いっぱいすき】
998Y.C. 森国シルヴェーア オルクス山脈


「よし二人に声かけて出発しよ!」

アーロゥも食べ終わってイェルシィは立ち上がりガスパルに声をかけた。

「さっきのアーロゥだが、俺の知ってる味と少し違った。もしかしてお前さんのアレンジか?」

「うん!発酵させたミルクを煮詰めるとこまでは、普通のアーロッと一緒なんだけど……そのあとすり潰した甘いハーブや干したフルーツとかを混ぜるの。んで、しっかり干しあげて水分を飛ばしきったら完成!」

「なるほどねえ。たいしたもんだ」

2人がそう話していると、ミシェルが近寄ってきた。

「もう出発できそうですか?」

「うん!ここに来るまでに結構時間かけちゃったね……。早く源獣の祝福見つけて、トトの所に戻らなきゃ!」

そう言って、イェルシィは再出発した。


〔道中会話〕
「報告書によるとこれまでに見つかっているのは、この先すぐの場所で一輪、それより少し奥の場所で三輪だそうです」

「……たった四輪しか発見されてないんだな」

「それは……」

「大丈夫っしょ!そもそもここまで立ってこれる人のが稀だし!そう考えると確率高い方なんじゃない?」

「……そういうことにしとくか」


〔道中会話〕
「いよいよですね」

「気を引き締めてゴー!」


〔道中会話〕
「どこかな、どこかな一。この辺りで一輪見つかってるんだよね?」

「そのはずですが……」

「この岩肌に虹色の花は相当目立つはずだ。だがそれらしい物は見当たらない……この辺にはなさそうだな」

「そっか…。うん、大丈夫まだある!どんどん進もー!」

「イェルシィ先輩……」

「お前さん……大丈夫か?」

「えー、なんのことです?」

「いや……」

「マイナスなことは考えないの!ホントになったらイヤだしね」



〔獣の群れ〕ガンザリ、ワービー、クランチャ
「おっと……お出ましか」

「この獣達、心なしか活き活きしてますね。生気が強いというか……」

「まあ、わからなくもないな。ここは空気が澄んでいて見晴らしもいい。俺もなんだかこう……心が癒やされていく気がする。このまま鬼畜上司のことも忘れられそうだ」

「この状況で……?」

「諜報員って大変なんですね………」


獣討伐後。
「はー、スッキリした」

「上司への鬱憤を獣にぶつけるのはどうかと……」


〔道中会話〕
「あっ、報告書の二つ目のポイント…!?この辺りです。でも見たところ、やっぱりそれらしい物は……」

「……報告書にあるのって、本当にさっきのとことこの辺りだけ?」

「……はい」

「そう……で、でも問題なし!だってこの先は調べてないのかもしれないし!あたし達が第一発見者になれるかもしれないじゃん!?どんどん行こ!ガンガン進もー!」


〔道中会話〕
「大丈夫……きっと大丈夫……」

「……イェルシィくん」

「絶対見つかる……だってそうじゃないとトトが………」

「おい、イェルシィくん」

「ひゃあっ!?あ、ごめん。なにかな!」

「……やれやれ。気持ちはわかるがそんな調子で戦えるのか?心配するのと心を恐れに囚われるのは違う」

「あう……。そうだよね……。ここであたしが死んだらトトも救われないもんね」

「そういうこった」

「……うん。ありがとガスパっち」

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源獣の祝福を探しながら山道を登っていくが一向に見つかる気配はない。
それどころか標高が上がるに連れて、草木も少なくなって来ている。

「えっ、あそこ……」

イェルシィは、ふと足を止めた。

「人影……!?」

人が倒れていて、3人はそっと近づく。

「ひどい怪我……!獣にやられたのかな?」

「早く手当を……」

ミシェルが杖を構えるが、ガスパルが止めた。

「いや……もう間に合わない」

「………せめて安らかに眠れますように」

そう言ってミシェルは祈る。

「でもどうしてこんな所にいたんだろ……」

「……恐らく、俺を追ってる連中の一味だ」

「ええ!?」

「ここで張ってたのか、迷い込んだのかは知らないが……。目下、俺達にとって問題なのは大怪我を負わせた獣の方だな」

「まだこの辺に潜んでいるかもしれませんね」

「うん……気を付けなきゃ」

そう言って3人は、遺体を置いて先へ進むのだった。
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