エピソードまとめ

□イェルシィ・トゥエルチュ・ハイナジン
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ep.1キミに花があるように
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【CHAPTER4 イェルシィ】
998Y.C. オズガルド嶺峰国 ノルバ鉱山

「……と、まあこんな感じ?」

「いーい話だなあ!見上げた心がけだ!キミは!」

「マクシムさん声が響きますよ」

「すっ、すまない。つい」

「ありがとうございます、イェルシィさん。騎士学校で過ごす日々が、あなた達の幸福となりますように、私も力を尽くしますよ」

「ありがと、リュッシー先輩っ。……あ、なんか時間取らせちゃったね。そろそろ先に行きましょー!」

3人は花畑から鉱山の奥へ向かっていった。


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〔道中会話〕

「この辺りの壁面は、溶けた岩が固まった物に見えますね」

「ではここは鉱山である前に、火山だということか?」

「そうかもしれません。火山の地の奥には熱と炎の力が、渦巻いているという学説があります。それは人の寿命より長いスケールで脈動するとか……」

「……ってことはもしここが火山だったら、ふっ噴火するのか!?」

「そこまでは、なんとも言えませんねえ」

「ちょっ……ちょっと待って!もし今ここで噴火したらあたし達……」

「イ、イ、イェルシィくん!恐ろしい想像はやめたまえ!」

「ははは、お二人は面白いですねえ」

「リュッシーは怖くないの!?あたし達、炎のお風呂に沈んじゃうかもしれないんだよ!」

「そうだ!僕も土風呂、薬草風呂……様々な風呂に入ってきたが炎のそれだけはごめんだ!」

「まあまあ、お二人とも落ち着いて下さい。噴火する可能性があったとしても、今ここで起きることはないと思いますよ。……もし本当にそうなったら、相当運が悪いということ。潔く諦めましょう」

「潔すぎ!」

「ああでも、ある意味、運はいいかもしれません。一応今の任務は達成できるでしょうから。……獣もろとも散ることにはなりますが」

「いやいやいや!そんなのごめんだぞっ!」


〔道中会話〕
「む、線路が途切れている……。まさかこの先で炭鉱夫達が噴火に巻き込まれ……」

「ははは」

「もお〜!やめましょーよ〜!はいっ、もう怖い話すんの終わりっ!マッキ先輩、なんかおもしろい話して!」

「無茶振りにもほどがあるよ!?」

「いーからいーから!なんでもいーから!」

「なんでもいいってねえキミ……。例えばどんな話が好きなの?」

「んー、そうですねえ……。恋バナとか!?」

「濃い……バナナ?」

「恋愛の話ですよマクシムさん」

「ああ、そうかそうか。恋愛の……。って恋愛ッ!?」

「マッキ先輩は好きな人とかいないの?」

「な、なぜそんなことを僕に……」

「えーいいじゃん恋バナなんだから♪」

「攻めますねえ、イェルシィさん」

「はー……任務中に何を話すんだか」

「マッキ先輩的には恋バナNG?」

「僕達は騎士候補だぞ。浮つくんじゃありませんっ」

「うん。知ってるよだからこそのブレイズ♪でも騎士だからこそ、ロマンスって大事じゃないです?」

「うーん……僕はロマンスより武勲を大事にしたいな。あ、これは僕がモテないとか、そういうことではないぞっ!」

「わかってますよー。いいトコいっぱいありますし。ふむ……恥ずかしがり屋と見た。そのうち聞き出そーっと」


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〔イベント〕

「ここ、岩が邪魔してて通れない……」

通路を塞ぐように大岩があった。しかし、道中にこの先を回り道出来そうな所もなかった。

「ふむ……。どうしましょうかね」

そう言ってリュシアンはぐるりと辺りを見回した。

「おや、あの上の部分、かなり深い亀裂が走っていますね」

リュシアンが指したのは、道を塞ぐ岩の間上の天井だった。元々鉱山として掘り起こされた穴だからか、脆くなっている部分があるようだ。

「あそこを壊せばもしかしたら……。イェルシィさん、どう思います?」

「確かにヤバイ感じですね。……うん、イケるかも!」

「では計算していだけますか?」

「りょー」

返事をしてイェルシィは道を塞ぐ岩の前に立ち、そこから天井を見つめた。

「なんの話だ?」

2人のやり取りがよく分かっていなかったマクシムがリュシアンに尋ねた。

「あそこの天井部分くなっているでしょう?意図的に陥落させて、そこの岩を破壊できないかと思いまして、実行可能か計算してもらってます」

「けい……さん……?イェルシィくんに?」

「彼女、かなり優秀です。この手の試算はまず外さない。勉強意欲もさることながら、研究の霊感……学問的閃きが鋭いんです」

「えっ、意外……。そういうの苦手そうに見えるのに」

「マッキ先輩、聞こえてんぞー」

「ご、ごめんなさいっ!」

謝るマクシムを背にイェルシィはブツブツと呟きながら天井と岩を見比べた。

「傾斜を考慮して支持部分を崩せば、あとは自重で……イケる!」

よし、と顔を上げたイェルシィは、マクシムの傍に駆け寄った。

「ねえ、マッキ先輩の弓ってすっごい強いよね?」

「当然だ!」

と、マクシムは誇った。

「キミも見ただろう。アセルマン家秘伝の弓術と源獣の加護が合わさり!その破壊力は!攻城弓すらも凌駕する!」

「さっすが!じゃあ、あそこ。ババーンと撃っちゃって下さい♪」

イェルシィは、どうぞ、というように天井に向かって手を広げる。

「……え?」

ぽかん、とマクシムは口を開ける。

「ちょ、ちょっと!本気で言ってます?弓は点を貫く物であって……」

「お願い。マッキ先輩が頼りなんだ。リュッシリーダーもそう思いますよねっ?」

「はい。マクシムさんにはそれが可能だと私は知っています」

「う……あ……あ」

マクシムはうめき声のようなものをあげた後、キリッと前を向いた。

「当たり前じゃないか!僕はマクシム・アセルマン!常人凡夫の不可能など、たやすく超えていく者だ!はっはっは!」

高笑いをしながらマクシムは弓を構えた。

「では、イェルシィさん。戦うとしましょうか」

リュシアンも長剣を構える。この場を動かない3人をちょうど良い餌だと思ったのか、獣達が群がっていた。

「りょー。……じゃなかった」

「うん?」

「心得ました!」

「なるほど。イェルシィさんもヴァネッサさんの言葉遣い、気に入っているようですね」

「ほのぼのしたやり取りしてるとこ悪いけど、岩を射ってる時の僕は無防備だからな!
守れよ!絶対守り抜けよ!うおおおー源獣よ!我に力を与えたまえーっ!」

「マッキ先輩カッコいーっ!」

イェルシィは、きゃー、とわざとらしい黄色い声を上げる。

「応援はいいから!ちゃんと僕のこと守ってよね!?もし逃げたりしたら……」

※セリフ途中でムービーに入ったのでまだあるかも
※この最中に離れると、「」っていう


「これでどうだ!」

そう言ってマクシムが矢を放つ。
矢が亀裂に刺さるとそこからピシピシと亀裂が更に深まり地盤が緩くなったことで、天井が剥がれ落ちた。

「ひゅー!マッキ先輩カッコいーっ!」

「フッ……僕にかかればこのくらい……あっ手!痛いっ!矢の打ちすぎで手が痛いいい……」

「あとで薬塗ってあげます!薬草、山道で見つけといたんだ」

「お願いしまずう………。ギミ色々でぎる子、なのねえ……」

「プリンセスのたしなみさー」
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