エピソードまとめ

□マクシム・アセルマン
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ep.2 恋をしたって本当ですか?
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「あれは……レオくん達!?」

西門の前へ行けば見知った顔がいくつもあった。

「先輩!お嬢様を連れてきましたよ!」

近づけばレオがそう言った。彼の隣には先程野暮用と言っていなくなったリュシアンが居て、その後ろにはヴァネッサとセリア、そしてオルタンスが居た。

「なぜキミ達がこんな所に……それにレディまで……」

「リュッシー先輩の"野暮用"だよ」

「へ?」

意味が分からずマクシムは首を傾げてリュシアンを見つめる。

「駆け落ちの成功率を高めるを用意しました。差し出がましいとは思いましたが……、友人の男気を無駄にしたくはないので」

「リュシアン……」

リュシアンの言葉に感銘していると、ヴァネッサがセリアとオルタンスと共に近寄ってきた。

「彼女の"誘拐"……、クロワゼール伯に気取られています」

「なんだって!?」

「伯直属の精鋭から追跡されてるみたいで……」

困ったようにセリアが眉を下げた。

「くっ……すぐに動かねばなるまいな……。だが……どうしたものか………」

「大丈夫ですわ!作戦がありますもの!」

悩むマクシムにオルタンスがそう声を掛ける。

「そうっす!任せて下さい!スィナンさんも俺達と一緒に!」

「わ、わかりました!」

「ではオルタンスさん達は彼らに任せて、ここからは私もマクシムさんと同行します」

「ああ、頼む!だ、だが……作戦というのは……」

「マクシム様もどうかお怪我のないよう!」

レオ達と一足先に行く前にオルタンスがそう声をかけてくれた。

「お気遣いありがとうございます!」

マクシムは食い気味にそう返事をした。

「それでは我々は駅に向かいましょう」

「りょー!このまま道なりでしたよね」

「駅への道もいいが……作戦の詳細僕にも教えてよね!?」

「もーマッキ先輩、せっかちだなあ」

「そりゃそうでしょ!もう結構、修羅場な感じだし!?」

「では端的にお話ししましょうか。スィナンさん達には、普通に逃げていただきます。予定通り、駆け落ちという体で」

「ほう」

「それを追いかけるのは無論、伯の直属の精鋭と……私達です」

「ど……どういうことだ!?」

リュシアンの言っていることの意味が分からずマクシムは混乱した。

「私達は構鋭の味方を演じて、スィナンさん達を追いかけます。そして、信頼を得たのち……スィナンさんを追い詰めたら、マクシムさんの出番です」

「僕の!?」

「マッキ先輩の弓で、スィナンさんをバシッと射って、死んじゃったように見せかけるってわけ!」

「な…それは、とんでもない大役だぞ!?」

きちんと当たったように見せなくては怪しまれるし、かと言ってスィナンに当たってしまえば彼が死んでしまう。相当なコントロールを必要とする。

「ですから、マクシムさんにお任せしたいんです」

「いいとこ見せてねー!」

「か、軽く言ってくれるなあ……」

とんでもない大役を任されたマクシムは緊張を抱えたまま、彼らと共に駅の方へと向かった。


「さて、もうすぐ駅です。例の精鋭がいるはず……段取り通りいきましょう」


駅の前に到着すると、1人の兵士を見つけた。

「伯爵令嬢の誘拐事件を追われている方ですね?」

「ああ。クロワゼール伯直属隊のモルトだ。キミ達は?」

モルトと名乗った兵は怪しむように3人を見た。

「流れの傭兵でーす!」

事前の打ち合わせ通り、イェルシィがそう答える。

「お困りなら我々が手を貸そう!」

「……なるほど。伯が賭けた懸賞金目当てか。目的は一致するが協力は不要だ。キミのような若者に助けを求めては私の名が廃る」

「若者だから弱く使えないと?」

「……気持ちはありがたいが」

モルトは、気まずそうに視線を逸らす。

「ハッハァ!しつこいヤツらだぜ!」

不意に上からそんな、聞き覚えのある声が聞こえた。

「誘拐犯の一味か!?」

駅舎の上を見れば、そこに腕を組偉そうな雰囲気を醸し出したスィナンと彼の前に立つレオが居た。

「お嬢様は俺達が気高くさらった!」

「おのれ……!」

モルトは腰の剣の柄に手をかけるが、あの高さにいたのでは剣は届かない。

「どいていたまえ、キミ。ここは僕に任せるといい」

弓使いである自分の出番だと言うようにマクシムが言った、その直後、駅舎の上から矢が飛んできて、モルトに当たって彼は倒れた。

死んでないよね?とイェルシィがしゃがんで確認すると、エンブリオ持ちの弓の威力で、倒れはしたが鎧のおかげで無事のようだった。

「あらあら〜?間抜け面が増えたわねえ?」

駅舎の上から矢を放ったセリアがノリノリでそう言いながらヴァネッサと共に現れる。

「ま、まぬっ……!?先輩に向かってよくも……」

「マクシムさん」

芝居だと言うことを忘れて怒るマクシムをリュシアンが止める。

「おっと」

そうだった、と思いだして、マクシムは弓を構えた。

「さあ、かかってこい。悪党め!」

そう叫べは、レオ達は一斉に下へ飛び降りてきた。

「オラオラ〜行くぞ〜っ!」

そう言ってレオが刀を振り回し、セリアが弓を引き、ヴァネッサが双剣と共に舞う。

「ちょっ……本気で来てるよこれ!」

「まあ、中途半端にやるのも怪しまれますから」

「それにヴァネッさんが言ってたよ。これはレオレオ達にとって、いい鍛錬になるから全力でやれって♪」

「……無駄がなくていいことだな……」

ヴァネッサらしい発想に、ため息を吐きつつ、先輩としての意地と威厳を見せるため、マクシムは弓を引くのだった。
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