エピソードまとめ

□マクシム・アセルマン
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ep.2 恋をしたって本当ですか?
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〔道中会話〕
「でもマッキ先輩の恋は、秒で玉砕しちゃったね〜」

「身も蓋もない言い方するねキミ。だがそれはいいんだ。恋する彼女もまた美しいからな!」

「すっごいポジティブ……」

「ごめん。やっぱちょっと泣きそう」

「よしよし」

「ま、まあ、それはともかく!問題はレディが置かれている状況だ!オルタンス殿には、父君に決められた婚約者がいる。80歳に手が届こうかという老人だそうだ」

「なにそれ、ひっどい話……!」


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居住区のとある家の前でマクシムは立ち止まった。

「フレデリックの調べによると……この家だな」

フレデリックからもらったメモを確認し、マクシムはその家の戸を叩いた。

「手紙をくれた方達ですね?私は……あれ?」

家から出てきた男は、マクシムとイェルシィの顔を見て驚いた。そして、反対にイェルシィも男の顔を見て驚いていた。

「あーっ、この前助けた商人のお兄さんじゃん!」

マクシムとオルタンスのデートの日に助けたあの商人だった。

「スィナンさん……だよね!」

「はい!その節はお世話になりました」

「レディから想い人の名を聞いた時は驚いたよ。これも源獣のお導きだろう」

「……ねぇ、これはちゃんと聞きたいって思ってたんだけど、駆け落ちってことは全部を捨てるわけじゃん。それって超重い決断だよね。……マジでいいの?」

「お、おい、イエルシィくん……」

「…私は、なにを捨ててもオルタンスと共に生きたい」

スィナンは真っ直ぐイェルシィの目を見て答えた。

「なので、私と彼女が逃げる手伝いをどうかお願いいたします!」

そう言ってスィナンは頭を下げた。

「ん!それが聞けて満足です!じゃ、マッキ先輩、西門へ行きますよ!」

「えっ?なぜだ?」

「とにかく!スィナンさんも一緒について来て!」

そう言って西門へ向かっていくイェルシィの後を二人は追いかけて行くのであった。

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〔道中会話 スィナンと1〕
「西門にはどう行ったらいいんだ?」

「この先にある、オアシスを越えてテル・テペ大通りを左に抜ければ見えてきます」

「なるほど。さすがはワースバードの商人だな!」

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〔街中会話 母子〕
「ねえ、お母さん!あっちの方見てきていい?」

「一人で行っちゃ駄目よ。用事が終わるまで待ってて」

「もう子どもじゃないんだから、一人で大丈夫だよお……」

「そんなこと言ってると怖い人に誘拐されちゃうかもよ?」

「……やっぱり待ってる………」


〔街中会話 商人達〕
「お前ちゃんと金用意できたか?」

「当たり前だ!ここで商売できなくなるだろ。ヤバいから必死でかき集めたよ」

「そ、そうか……」

「……お前、まさか」

「商会が提示してくる金額、どんどん上がってくだろ。うちの店の売上じゃ……もう……厳しいんだ……」

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〔道中会話 スィナンと2〕
「あっ、もう一つ肝心なコト聞いてなかった!」

「なんですか?」

「お嬢様との馴れ初め教えて♪」

「仕事で彼女の家に出入りする内、親密になったんです。世界各地の事柄を知りたいとせがまれまして。言葉を交わす度……心惹かれるようになりました。彼女も私の話を砂が水を吸収するように学んでいき、実に聡明な人だなと……」

「なるほどな。なるほどなー!……ああ、いいなあ〜!」

「マ、マクシムさん?」

「あはは、気にしないで下さーい」

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〔街中会話 青年2人組〕
「最近、なーんか刺激が足りないんだよな……」

「んじゃ、久しぶりに行っちゃう!?マーボーカレー飯店のマーボーカレー!」

「おおっ、いいね!あの辛さ、クセになるんだよなー」

「で、今日は何辛にするんだ?まさか10……」

「うーん……3辛だな!」

「いや、刺激欲しいんじゃなかったのかよ!」


〔街中会話 ガラの悪い男性〕
「最近、てめえらみたいなのがこの辺ウロつきやがる。大通りと違ってここは観光所じゃねえんだ。財布取られたくなきゃとっとと帰んな」

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〔道中会話〕
「しかし……皆さんはなぜ私達を、支援して下さるんですか?」

「あたしはお嬢様のお父さんに、一泡吹かせたいなって」

「クロワゼール伯か……。数多くの愛人を抱えているらしいな。伯にとって生まれた子どもは政略結婚の道具で、これまでも多くの実子を苦しめてきたようだ」

「例の80歳近い婚約者も、有益な相手ってことだよね」

「ああ。財力において国内有数の貴族だ……。クソッ!クロワゼールめ!どれだけ欲が深い!そんなのは家と領地……一族や民を守る貴族の行いじゃない!ただ自分がより大きくなるため子どもを利用しているだけだ!」

「むっかつくー!あたしもマッキ先輩と同じ気持ちっ。そりゃーウチの故郷だって、結婚はだいたい親が決めますけどー。でも夫婦どっちかが泣くような結婚は、一族の大問題だよっ!」

「ああ。だから僕は…レディに頼み込んだんだ。あなたの恋を成就させる、お手伝いをさせて下さい……と」

「そうだったのですね……。本当にありがたいお話です」

「ぜーったい、成功させようね!」

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〔街中会話 宿屋前女性〕
「んー、思ってたよりいい宿だったわね。長旅で疲弊した体力もすっかり回復したし……。念願のバザールで思う存分、買い物するわよー!」


〔街中会話 酒場前おじいさん〕
「ういっく……。ここは昼から飲めるから最高だ。ハザールは貿易の中心地で各地からいい物が集まる。つまりいい酒も手に入りやすいんじゃよ」


〔街中会話 商人〕
「いらっしゃい!ハザールの大地で育ったおいしいスパイスはどうだい?いっぱい買ってくれたらサービスするよ!」
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