エピソードまとめ
□マクシム・アセルマン
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ep.2 恋をしたって本当ですか?
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「……いつ見ても、壮厳ですね」
「ええ。法王聖下がおわすに相応しいと感じますね」
創神オリジンを見上げるマクシムの言葉に、オルタンスは頷きそう返した。
「ここに来るのは、もう幾度目かになりますけれど……。その度に、おとぎ話の中のような場所だと思わされますわ」
「まったく同感です」
マクシムは頷き返す。
「でも今日……こうして歩いていて思いましたの。この街の向こうにも世界は広がっていて見たことのない物が、たくさんある……。行ってみたいものですわね、遠く……ずっと遠くに」
二人の様子を、少し離れた所から、イェルシィとリュシアンが見守っていた。
「レディはあまり、ご旅行はなさらないのですか?」
「私が外出することを父が好みませんの。アルコニスに来られたのも、パーティーという名目ゆえ……」
「大切にされておられるのですね……」
マクシムがそう言うと、オルタンスは何故か表情を曇らせた。
「……そう、なのでしょうね。父なりの理由で……」
暗い表情になったオルタンスを前に、マクシムは戸惑った。
「あの……レディ。今日はありがとうございました。僕の都合で連れ回してしまいましたが……」
「安心なさってマクシム様。とても楽しんでおります」
そう言ってオルタンスは微笑んだ。
「私、マクシム様の眼差しに心洗われましたの。"この方は私を大切に想って下さっている"、その心は……伝わります。たとえ言葉にせずとも」
「なんという、ありがたいお言葉……」
そう感動したように言って、姿勢を正してオルタンスに向き直った。
「ですがどうか……、この想いを口にさせて下さい」
マクシムは被っていた帽子を手に取り胸に置いた。
「レディ・オルタンス!僕は……僕はですね!あなたに……恋をしてしまったのです」
マクシムは真っ直ぐオルタンスを見て、真っ直ぐ気持ちを伝えた。
「マクシム様……。……お気持ち嬉しく思います。私は幸せ者です」
「おおっ!で、では……レディ……!」
マクシムは喜び勇んでそう口を開いた。
「マクシム様。けれど私は……私の心には……ずっと、ある方がいるのです」
「な……!」
オルタンスの言葉に、遠回しにフラれたマクシムは言葉を詰まらせた。
「ですが、その方と結ばれることはきっと……」
「な、なぜですか?レディの片想いなのでしょうか?」
「そういうわけではありません。ただ……」
オルタンスは静かに、彼女がそう思わざるおえない状況をマクシムに話した。
「な、なんと!そんなことが……」
話を聞き終えたマクシムは、考え、ひとつ、思いついた。
「ならばそうであれば、手は一つしかありますまい………」
マクシムはもう一度、オルタンスを真っ直ぐ見つめた。
「レディ。駆け落ちをいたしましょう」
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【CHAPTER3 砂の恋歌】
998Y.C. ハザール商盟領 商都ワースバード
「よし、ワースバード到着!駆け落ち大作戦、決行だ!」
列車を降り駅のホームに着いたマクシムはそう叫んだ。
「ってなんで、キミ達がいるの!?」
マクシムは目の前に立つイェルシィとリュシアンを見て驚いた。
「もー、マッキ先輩ったら、水臭いんですから〜」
「オルタンス嬢とその想い人の駆け落ちを手伝うんですね。協力しますよ」
「そ、それは、ありがたいが……大貴族に喧嘩を売る計画だ。キミ達を巻き込むのは気が引ける」
二人の申し出にマクシムがそう告げると、二人はニコッと笑って見せた。
「そんなん、今更っしょ」
「デートの時から、すでに関係者ですから」
「……恩に着る。我が友人達よ。ではレディの想い人の家に行く道すがら、状況を整理しよう」
マクシムが出発を提案すれば、リュシアンが口を開いた。
「ああ、その前に少し、野暮用を済ませてきますので、私のことは気にせず先に行って下さい」
「ん?なんだ、野暮用って」
「ま、ひとまず、あたし達だけでゴーゴー!」
何かを知っている様子のイェルシィが、そう言ってマクシムを急かし、駅前広場を出ていった。
「だいぶ駅から離れたが、賑やかなものだな」
噴水のある広場へと移動してきたが、砂漠の街の中だからか、噴水の周りには露店が並び賑わっていた。
「地図によると、この辺りに住んでいるはずだが……」
「あの人に話を聞いてみましょ!」
そう言ってイェルシィが指した、ハザールの伝統的な衣装を来た街人に声を掛けに行くのだった。
「すまない。この辺りに商人の家はないだろうか?」
「商人……というだけでは特定できませんが、ここを右に進むと居住区がありますのでそこで探してみてはいかがでしょうか?」
「なるほど、ありがとう」
礼を言い、マクシムはイェルシィと共に教えてもらった居住区へと歩いて行くのであった。
〔街中会話 噴水広場露店前カップル〕
「ねえねえ、これ買って!」
「しょうがないな一。……ってあれ!?財布がない!」
「ええ!?ひょっとして……スラれた?」
「ウソだろ!?スリが多いって聞いたから、警戒して財布をパンツの中に入れてたのに!」
「え………。それはそれで引く……」