エピソードまとめ
□リュシアン・デュフォール
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ep.1 知慧の刃は密やかに
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998Y.C. 森国シルヴェーア ポワトゥー駐屯地
「できました。これが、鎮静剤です」
「ありがとうございます。ではお一つだけ。残りはこの付近で、獣が暴れた時に使って下さい」
「なんと……お礼を言うのはこちらでしたな」
「いえ、お気になさらず。では私達はこれで」
「うむ!遊撃隊として務めは果たせたな」
「この先が本番ですよ、マクシム」
「では右手の門から、リュンヌへ向かいましょう」
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【CHAPTER3 リュンヌへの旅路】
998Y.C. 森国シルヴェーア ディランブレ戦傷地帯
〔道中会話〕
「獣を倒して、鎮静剤も手に入れて……、すでに一仕事終えた気分だな!はっはっはっ、我が武名もさらに高まるというものだ!」
「そうですね。ここから先も、この調子でいきたいものです。帝国側の動きも気になりますからね……」
「帝国の動きか……まったく困ったものだ。正々堂々真っ向から挑んでくれば良いものを
。そうすれば、僕が一騎討ちで、こらしめてやるというのになあ!キミもそう思わないかヴァネッサくん!」
「私はどのような敵であれ、リュシアンの指示で動くのみです」
「お、おう。そうか。クールよね、キミ……」
〔道中会話〕
「リュンヌに着いたら、まずは司令部に出頭ですね」
「ヴァネッサさんは、リュンヌには詳しいですか?」
「はい。何度か行っているので人並みには」
「そうですか。大きくていい街ですよねえ。リュンヌは確か、四つに区分けされていましたね」
「二つの居住区と、繁華街、商店街だな」
「さすがマクシムさん。詳しいですね。中央には軍施設やホテルなどが並び、その中心に城塞内を一望できる塔……リュンヌピラーがありましたね。時間があればご一緒したいものです」
「リュンヌに入るには確か、通行証が必要だったな」
「はい。普通はそうですね」
「……そういえば僕達は通行証を持っていないよな」
「そうですねえ」
「えっ、キミが代表として持ってたりしないの?」
「通行証はありません。ですが問題ありませんよ」
「そうなの?はっ、そうか!顔パスというやつだな!」
「マクシム、私達ブレイズの場合……」
「いやいや、わかった。説明不要だ」
「ヴァネッサさん」
「なんでしょう?」
「説明不要だそうですから良しとしましょう」
「はあ………。リュシアンがそう言うのならば」
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〔イベント 獣の群れに襲われる人〕
「あれは……!リュシアン」
「ええ。救援しましょう!」
「ひ、ひいぃ……!」
「大丈夫ですか、旅の方」
「え、ええ……あなた達は?」
「名乗るほどの者でもないことはないが、今はあえてこう名乗ろう。マクシム・アセルマンと!」
「ふふっ。名乗ってますよ。それはともかく……やりますか!」
「この獣達も、興奮剤を食わされたのか」
「そう考えるのが妥当ですね。私達を脅かすのならまだしも。旅の方まで牙にかけようとするとは。興奮剤のせいとはいえ許すことはできません」
獣討伐後。
「おかげで助かりました。旅の途中で盗賊に通行証を奪われて……さらには獣に襲われてともう散々ですよ」
「それは災難でしたねえ」
「はあ……私はこのまま、村に帰ることにします」
「そうですか……そういえばお名前は?」
「デュシー村のマルローと申します」
「マルローさん、お気を付けてお帰り下さいね」
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〔道中会話〕
「通行証を盛られたマルロー氏ですか……」
「怪しい点でも?」
「いえ、彼自身は特に。ただ妙な"盗賊"もいたものですねえ」
「……ん?」
〔道中会話〕
「獣が多くてなかなかハードな道だな……。みんなこんな道を行き来しているのか」
「それだけリュンヌに戦略的価値があるのですよ。マクシムさんが言う通り、ここはほとんど獣の棲家です。ただそのおかげで、天然の障害になっています」
「確かに軍が進むには不向きですね」
「なのでもし、リュンヌを取られてしまえば……」
「取り返すにはこの道を進むことになるのか……」
「ですから、ここより前に前線を敷く意味は大きいのです」
「まあ心配は無用だな。遊撃隊である、僕達がいるのだから!」
「そうですね。マクシムさんとヴァネッサさんがいるので、私は大船に乗った気分ですよ」
「うむ!キミに頼られるのは気分が良い!任せておけ!」
「私も最善は尽くします」
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〔イベント 廃村〕
「これは……」
「廃墟……のようだな。ここでなにかあったのだろうか?」
「さあ、どうでしょう。戦争の被害にあったのか、なにかの事故で村が滅んだのか。………あるいはそのどちらもなのか」
「……リュシアン?」
「いずれにせよこのような場所は、どこにでもあるものです。さして珍しくもありませんよ」
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〔道中会話〕
「ピラーが見えてきました」
「ええ、ここからも見えますねえ」
「前から気になっていたのですが。あの作りは帝国のリアクターですか?」
「ええ。市内の動力の一部を担っているそうですよ」
「土地柄、リュンヌは奪い奪われの歴史だ。あそこが帝国のものだった頃の名残だな。小瀬な話だが、便利なのは事実だからな」
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〔獣の群れ〕バンス、ガルル
「うわっ!い、いきなりだな!もしかしてまた興奮剤を食べたヤツか」
「リュシアン、鎮静剤を使いますか?」
「いえ、あれは切り札というものです。ここは力押しで片付けましょう」
獣討伐後。
「無事打ち払えましたね」
「ええ、さあもう少しでリュンヌです」