エピソードまとめ

□リュシアン・デュフォール
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ep.1 知慧の刃は密やかに
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998.Y.C. 森国シルヴェーア ポワトゥー駐屯地

「ふうー、やっと到着か。まずは作戦本部に挨拶だな」

「ええ。確か正面の建物でしたね」



〔入口付近の連邦兵〕
「おお若者達よ!ポワトゥー駐屯地へようこそ!」

「な、なんだあ?まるで観光地みたいなノリだな」

「帝国と緊張状態だからって、怖い顔してても仕方ないだろ?規律は守る!でもしかめっ面はしない!そんな兵士がいたっていいと思わないかい?」

「なるほど……。ええ、いいと思います。あえて周りの空気を緩ませる。それは大切なことでしょう」

「ヴァネッサさん。なぜ私を見て言うんですか」


〔道具屋〕
「いらっしゃいどうだい。色々揃えてるよ」

「ご主人こちらでは茶葉は扱っていますか?」

「ああ。そんなに種類はないけどな。ほらこいつがリストだ」

「……ほう。これは良いですね。嬉しくなる品揃えです。あとで一通り駐屯地に届けてもらいましょう。ふふふ………」

「完全に趣味の顔になってるな……」



〔奥で訓練している兵を監視する兵長〕
「おお!諸君はブレイズの学生だな。いやあ見るからに立派な若者だ!いずれ名のある聖痕騎士になるんだろうな」

「そ、そう?そうかー!わかる人にはわかるんだなあ!」

「マクシム、絶好調ですね」

「はっはっは。いや、本当に彼の言う通りだよ」

「期待に沿えるよう頑張ります」


〔兵站〕
「任務、お疲れさまです」

「いやあ、俺は物の出入りを見てるだけさ。前線で戦う仲間に比べれば気楽なもんだよ」

「そんなことはありませんよ。皆さんが物資を管理して下さるからこそ、前線の人達は命を懸けて戦えるのです」

「へへっ、嬉しいこと言ってくれるね」



〔奥にいる創術士〕
「この駐屯地は森都とリュンヌの間にある。最近は物資や人の往来も盛んになってきたようだな」

「リュンヌで大きな戦が始まりそうだと感じることは?」

「いやどうだろうな。そうなったらもう少し実戦部隊の姿も増えそうだが」

「なるほどそれならまだ、大規模な戦闘はないか」

「その前に動けることをするのが、私達の役割ですね」


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〔イベント 作戦本部〕
「……異常に興奮した獣か。実はここ最近同様の報告が多数寄せられているのだ」

「なるほど……。彼らの胃にはこのような残留物がありました」

「ふむ……?これは私の専門外だな。隣の医療施設に薬師がいるから、そいつに見てもらってくれ」

「はい、わかりました」



〔イベント 薬師〕
「……これは、興奮剤ですな。原料はイモーテルフラワーですが」

「ただの香辛料が興奮剤に?」

「何事も使い方一つで毒にも薬にもなるのです。イモーテルフラワーも量と使い方によっては、人間も獣のように興奮させるでしょうな」

「むむ……恐ろしいな」

「なるほど……。では、その効果を打ち消す薬はありますか?」

「左手の門の先に薬草が自生しています。それを材料に鎮静剤を作れますよ」

「なるほど。では植物採取といきましょう」



「薬草は左手の門の先でしたね」

「ええ、行きましょう」



〔イベント 左の門の前の兵士〕
「そこの者達、どこへ行くつもりだ?」

「この先に薬草があると聞き、それを取りに」

「……ああ、もしかして派遣されてきたブレイズか。この先は獣が出るから気をつけるといい」

「お気遣いありがとうございます。行ってまいります」




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998.Y.C. 森国シルヴェーア ディランブレ戦傷地帯

〔道中会話〕
「しかし、これは遊撃隊の任務か?」

「獣を興奮させたのは誰だと思いますか?」

「それは……そうか帝国の仕業か!だが帝国兵の侵入は報告されていないぞ……?」

「きっと旅人の姿で工作をしたのでしょう。おそらくはリュンヌを抜けて……」

「うぬぬ……。なんと卑劣な!」


〔道中会話〕
「なるほど、鎮静剤があれば、ヤツらの工作を妨害できるか……」

「しかし、ただの獣を暴れさせる……あまり意味がないように思えます」

「ええ。ですが、きっと裏に大きな企みがあります。まだ推測に過ぎませんがね。さあまずは薬草を探しましょう」


〔道中会話〕
「でも一つ収穫ですよ。敵には薬学に通じた人がいるとわかりました」

「薬と言うより毒を使う者だがな」

「……毒使いは厄介ですね」

「毒は人知れず効果を発揮しますからねえ。
気付いた時には手遅れということもあります」

「ああ、その怖さはよくわかるよ」

「毒殺の脅威は貴族の方々は、痛いほどご存知でしょうね」

「そうさ。だからこそ過敏になる。匂いや色の僅かな違和感……」

「その通りです。故にこれからはより注意深く行きましょう。僅かな違和感にも気付けるように」

「そうだな、気を付けるとしよう」




〔道中会話〕
「リュシアンは獣の口に残っていた薬で、ここまでのことにすぐ気が付いたのですか?」

「おおよその想像という程度ですが」

「ふっ、ふははははっ!」

「どうしました、マクシム。なにか愉快なことでも?」

「いやいや、我がライバルの聡明さに感服したんだ。リュシアン・デュフォール!」

「あ、はい」

「凡百の生徒はお前を昼行灯だの、綺麗な置物だのと侮っている。だが僕は出会った当初から、お前が只者ではないと見抜いていたぞ。英雄は英雄を知るというヤツだな。はっはは!」

「……はあ。私はそんな大した人間では、ないんですがねえ……」

「ふふっ」

「ヴァネッサさん?」

「そう思っているのはリュシアンだけですよ」

「ふーむ……?」



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〔薬草自生エリアの獣の群れ〕バンス、ガルル

「むむっ!?ここにも獣か!」

「リュシアン!」

「薬草を探す前にまず猛獣退治ですね。さっさと討伐しましょう」



獣討伐後。
「僕らの勝利だ!どうだ諸君、ここらでまたジビエを……」

「マクシム。今は薬草が先です」

「ええ、すぐに見つかればいいのですが」


奥に自生している薬草を見つける。
「薬草と言うのはこれですね。さあ、薬師さんの所へ戻りましょう」
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