エピソードまとめ

□リュシアン・デュフォール
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ep.1 知慧の刃は密やかに
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「ああ、いらっしゃいましたね。フレデリックさんも……さすが支度が早い」

訓練所に入ると煌びやかな制服に身を包んだ生徒が待っており、その横にはフレデリックもいた。……リュシアンの方が先にあの場を離れたはずなのに。

「臆せず来たか!その勇気称賛に値するぞ!リュシアン・デュフォール!我がライバルよ!」

「こんにちはマクシムさん。今日はよろしくお願いします」

「ふん……小癪な。ブレイズ筆頭の余裕か?だが!それも今日までのこと!"筆頭"の座を賭け、僕はお前に決闘を申し込む!」

「決闘ですか……」

「リュシアン様どうか、お手は抜かずに願います」

フレデリックが小声で耳打ちしてきた。

「マクシム様は非常に誇り高い御方。もしも情けで勝利を得たと知れば、大変に傷付かれるでしょう……」

「……無論です。そもそも彼は強いですよ」

「なにをしているフレデリック!決闘の邪魔だぞ!」

「失礼いたしました。どうかご武運を」

「言われるまでもない!さあ、リュシアン剣を取り給え!」

「……仕方ありませんねえ」

弓を構える彼を見て、やれやれと腰の長剣を引き抜いた。

「では……行くぞ!」

「マクシムさん。私がブレイズ筆頭というのは教官達が決めた便宜上のもの……。そうこだわらずとも……」

「なればこそだ!我がアセルマン家は名も実も備えた名門中の名門!そして僕自身も優秀!実力はある!しかし筆頭の名はキミのものだ。ならば家名と誇りを賭け、勝負せねばなるまい!」

「……それほどおっしゃるのであれば。お望みに応えなければいけませんねえ」





〔マクシムを倒す〕
「み、見事だ!君の勝ちだリュシアン・デュフォール……!し、しかあし!僕は……諦めないぞ……。はうっ………」

「"家名と誇りを賭け"ですか……。背負うものがあると大変ですね。まあ、お茶でも淹れて、労ってあげましょう」




〔フレデリックと話す〕
「さすがです、リュシアン様」

「いえ、運に恵まれただけですよ」

「ご謙遜をなさいますな。互角に戦っていると見せつつ流れを作っておられる。マクシム様にお怪我がないよう配慮もしていただいて……。お心遣い重ね重ね感謝いたします」

「やめて下さい。買い被り過ぎですよ」


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マクシムにお茶でも淹れてあげようと、訓練所の出入口へ向かうと、ちょうど1人の男子生徒が駆け寄ってきた。

「リゼット教官より伝令です。ただちに部屋まで来るようにと」

「私ですか?……承知いたしました。また任務でしょうか。リゼット教官の部屋は教員室の隣でしたね」

急いで、校舎の方へ向かって歩いていく。



〔校庭 レオ〕
「あれっ、リュシアン先輩、どこ行くんですか?」

「リゼット教官から呼び出されましてね」

「えっ!?早く謝った方がいいですよ!」

「えっ?」

「下手に隠してると、バレた時もっと怒られますし!とりあえずなんか言われる前に頭下げた方がいいです!」

「……なにか勘違いされているようですが、用件はおそらく任務のことだと思いますよ」


〔校庭 ユーゴ〕
「リュシアン先輩、先ほどはごちそうさまでした」

「いえいえ、頑張っているご褒美です」

「そのお心遣いのおかげで、僕もレオも元気が出ます。いつか、お礼を……」

「私にお礼なんていりませんよ。皆さんが先輩になった時、後輩に良くしてあげて下さい」

「はい!」


〔校内 男子生徒〕
「あっ、リュシアン先輩どちらへ?」

「リゼット教官に呼び出されましてねえ」

「え……じゃあ、教官の部屋へ……?すごいなあ、俺なんか近寄ったこともないです。考えただけでも怖いなあ。頑張って下さい!」


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校内のロビーから右手側にある扉を開けその廊下の1番手前、左側の扉をノックし開けた。

「お待たせいたしました、リゼット教官」

「ああ。デュフォールか。早速要件だが、先程リュンヌから支援要請があった。あの城塞都市は重要拠点だ。帝国軍との衝突で落とされるわけにはいかない。そこで上層部は遊撃枠としてブレイズの派遣を決定した」

「……その一人が私ですか。他のメンバーはどうしますか?」

「二人、お前が好きに選んでいい」

「そうですか………。…ならばヴァネッサ・モラクス、マクシム・アセルマン。以上二名でお願いします」

「許可しよう。頼んだぞ筆頭」

「筆頭、ですか……。どうにも合わない肩書きですねえ」

「おとなしく着続けていれば、いずれ馴染む。誰だってな」

「仰せのままに。それでは……」

「ああ。我ら源獣とともに!」

「我ら源獣とともに!」
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