エピソードまとめ
□リゼット・レニエ
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ep.1 補習授業
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〔道中会話〕
「そういやリゼット教官。ちょっと質問いいっすか?」
「どうした?」
「あ、単純な興味なんすけどね」
「……嫌な予感がする。レ、レオ。その質問ちょっと一旦先に僕にだけ……」
「教官って何歳なんですか?」
「馬鹿野郎!」
「え、なに?なんでそんな大声出して……」
「生きるか死ぬかの瀬戸際だからだよ!このままじゃ僕はキミを……守り切れない!」
「え、泣いてんの!?なんで!?」
「俺はただ、教官の歳を」
「レオオオオ!」
「おわっ、な、なに剣向けてんだよ。あっぶな!」
「……僕はキミを守るためにこそ剣を向けざるを得ないんだ!」
「なんなんだよ、その謎テンション!泣くなよ!怖えよおい!」
「僕はむしろキミのその軽さが怖いよ!なんでその質問を普通に続けられるんだ!」
「その質問って……。リゼット教官って何歳……」
「うおおおおお!命を燃やして煌めけ、僕のエンブリオオオオオ!」
「いやマジでなんなんだよそのテンション!」
「死ぬ!死ぬって俺!」
「……おい、貴様らいい加減にしろよ。もぐぞ」
「す、すみませんでした!」
「わかればよろしい」
「あそれで結局答えは……」
「あ?」
「……なんでもないです。……ごめん、ユーゴ。俺なんかちょっとだけわかったわ……」
「うん。キミが少しだけ大人になってくれたなら僕も報われるよ」
「………何気にフルカードより、貴様の方が失礼ではないか?」
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998C.Y. 森国シルヴェーア 風笛洞
〔道中会話〕
「なんか雰囲気ある洞窟だな……」
「神秘的で綺麗だけど……、景観に似合わず獣がわらわら出てくるね。ちょっと手強そうだ」
「ああ。この洞窟は獣の質が高く数も多い。要は貴様らの鍛錬場所としては、おあつらえ向きなわけだ」
「ってことはようやく……?」
「ああ。補習授業開始だ」
「よーし!やってやるぜ!」
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〔道中会話〕
「へーっくし!あ一寒っ!なんか冷えないかここ」
「洞窟の中だ。当然だろう」
「そ、そうっすね……。こんなに寒いとマーボーカレーが恋しくなりますよ!あのしびれ唐辛子のピリッとした辛さ……。あー、想像するだけで体が熱くなってきたぜ!」
「……冷えを忘れられたようでなによりだよ」
「単純な男だな貴様は」
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〔道中会話〕
「リゼット教官は好きな食べ物とかありますか?」
「先ほどと比べてえらく健全な質問だな」
「さ、先程のはお忘れ下さい……」
「……まあいいだろう。私は肴……、酒に合うものが好みだ」
「へー!なんか大人っすね!ますます、教官の歳が気にな……「三度目はないぞ、フルカード」
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〔獣の群れ〕オタパプ、ジャフラ
「さて準備はいいか?」
「もちろんです!」
「問題ありません」
「いい返事だ。ではお手並み拝見といこうか」
獣討伐後。
「よくやった。では奥に向かおうか」
「はい!」
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〔道中会話〕
「教官…。ここ鍛錬場所と言い切るには危険過ぎませんか?獣がたくさん出てくるうえに、それぞれが弱いってわけでもありませんし……」
「ああ。私の鍛錬の定義は、"命の危険を伴う行為"だからな」
「なんか今サラリと凄いこと言いましたね」
「ま、なんにせよ俺達は、気高く踏破してやるだけだぜ!」
「気高くの意味はよくわからんが、まあ頑張ってくれ」
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〔獣の群れ〕ザルーゴ、フローン、ジャフラ
「っと。今度はなんかデカいのがいるな……」
「見るからに厄介そうだね」
「さすがに疲れてきたか?」
「疲れていないと言ったら嘘になりますが、この程度の相手に遅れを取るほどではないですね」
「いい状況分析だ。では最後まで付いて来い」
「了解!」
獣討伐後。
「はあ……た、倒したぞ……」
「ふむ。及第点だな」
「こんなに頑張ったのに!?」
「貴様らの動きには無駄が多い。たかが雑魚一匹に時間をかけすぎだ。そんな愚鈍な動きでは、帰る頃には日が暮れるぞ」
「うっ……そ、それは……」
「確かに今の敵もほとんど、とどめを刺したのはリゼット教官でしたしね……」
「理解したなら次の戦闘ではもっと成果をあげろ。貴様らを短期間で成長させるためというのも、この場所を選んだ理由の一つなのだからな」
「が……頑張ります!」
「期待に添えるように!」
「……相変わらず返事だけは一人前だな」