エピソードまとめ
□リゼット・レニエ
2ﾍﾟｰｼﾞ/18ﾍﾟｰｼﾞ
ep.1 補習授業
─────────♢────────
【CHAPTER2 スパルタ教育】
998C.Y. 森国シルヴェーア アンスワン森林
〔道中会話〕
「えーっとそれで……。これどこに向かってるんですか？」
「補習授業と言っただろう？貴様らを鍛える場所だ。ウォーミングアップも終わった今のお前達なら多少無理をさせても平気だろう」
「……本当になにをさせられるんだ、僕達……」
「……確認だが。……貴様ら二人とセリア・アルヴィエは、同郷の出身だったか？」
「はい。幼馴染みです」
「なるほどでは、普段は三人で連携しているというわけか」
「そうですね。レオが斬り込み、僕が守り、セリアが後方から援護する……というのが僕らのスタイルです」
「なるほどな。その分担を聞いて、お前達の敗因に合点がいった。要は日頃からセリア・アルヴィエに戦術面での思考や工夫を押し付けて来たわけだ」
「ぐ……！」
「分担を決めるのは悪いことじゃない。だが寄りかかり過ぎるのは問題だ。それでは欠員が出た際に潰しが効かない」
「欠員ですか……」
「その馬鹿みたいな過保護さが貴様の悪いところだ」
「え？」
「欠員という言葉だけで、いったいなにを考えている？」
「そ、それは……」
「で、でもそんなユーゴに俺は……俺達は、何度も何度も助けられてるんすよ。だから………」
「ああ、"だから"こうなったんだろうな、ユーゴ・シモンは」
「う……」
────────────────────
〔獣の群れ〕ワービー、ガルル、ガルグラン
「招かざる客のおでましだ」
「っしゃあ！死ぬ気で行くぜユーゴ！」
「ああ！こっちの敵は任せて！」
「そう気負うほどの敵ではないだろう。……手本を見せてやる」
獣討伐後。
「さすが教官……。攻撃に無駄がなさ過ぎる……」
「感心している場合じゃないぞ。この程度の立ち回り……貴様らにも習得してもらわねば困る」
「リ、リゼット教官みたいに、なれってことですか！？」
「できるんでしょうか？僕達にも……」
「それは貴様ら次第だ」
「うっ……！」
「頑張ります、僕達！」
「今の戦闘で得たものがあったのなら、すぐに次に活かしてみせろ」
「それって……見て覚えろってやつですか！？」
「なんだ、意外に貴様らは座学の方がお好みか？」
「いや……そっちのが何倍もわかりやすいです！」
「だろうな」
────────────────────
〔倒木地帯、獣の群れ〕ワービー、ガルル、オタオタ、ガルグラン
「言ってる側から現れたか。さあ貴様らの戦い方を見せてみろ。そして私から得るものがあれば見よう見まねで騎手に学べ」
「はいっ！」
獣討伐後。
「よしやったぞ……！」
「一つ言っておくが、補習授業はまだ始まってもいない。目的地までの戦闘は、ウォーミングアップの続きみたいなものだ。この程度で音をあげてくれるなよ」
「き、気を引き締めます……」
────────────────────
〔道中会話〕
「ところでレオ・フルカード。お前はミシェルブーケに気があるのか？」
「は、はい？なんすかそれ」
「最終試験ではブーケへの攻撃に、大きな躊躇いを見せただろう」
「い、いや、そりゃそうでしょう。あんな、か弱そうな女の子相手に、本気で攻撃なんて……」
「本気で攻撃なんて……」
「それで敗北していれば世話ないな」
「う……」
「教官。あまりレオをいじめないでやって下さい。彼のそういう優しさは悪いことではないはずです。少なくとも僕はそういう彼だからこそ、親友になれたんです」
「ユーゴ……」
「そうだな。"いい奴"だなこいつは。たとえ異性相手にまるで使い物にならず、戦場で味方に大きな被害を出す可能性が高くとも、
"いい奴"だな」
「……それは」
「……せめてこの補習授業中には、貴様なりの答えを見出すんだなレオ・フルカード」
「……はい。…確かに、騎士に優しさは必要ないのかもしれません。非情さは時に戦いで必要になるもの……。だから僕達に弱点があることは理解しています。でもそれでも……僕はレオの優しさを否定したくはありません。これまでも……これからも」
「ユーゴ……」
「……優しさを否定する気はないさ"甘さ"さえ捨てればな」
「…しかし、ユーゴ・シモン……。こいつを見ているとなにかが引っかかる。……誰かに似ているのか？でもいったい誰に……」
「教官？どうかしましたか？」
「……いやなんでもない」
────────────────────
〔獣の群れ〕ワービー、ガルル、ガルグラン
「くそ多いな！」
「よしここは僕が援護に回るから、レオは存分に暴れてくれ！」
「了解。背中は任せたぜユーゴ！」
「ああ頼りにしてるよ、レオ！」
「それがお前達の本来の動きか。……悪くないな」
獣討伐後。
「よしっ、抜けた！」
「よくやった二人とも。ではこのまま洞窟の方へ向かうぞ。息は切れてないか？」
「問題ありません」
「俺もです」
「さすがに身体能力は高いな。では行こうか」
「はい！」