エピソードまとめ
□リゼット・レニエ
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ep.2 絡みつく過去
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998Y.C. 森国シルヴェーア ポワトゥー駐屯地
〔砦内会話 武器屋〕
「バイヌセット砦……。あそこは守りが固く、内部も想像以上の広さらしい」
「随分詳しいんだな」
「長いことこの仕事してりゃ、多少の噂は入ってくるさ。それに……あそこには妙な話もあってな。キャサ……なんとかっていう怪物が出るらしいんだ」
「……キャサ?なんだそれは」
「……まあ、それはさすがに。連邦をビビらせるために帝国が流した与太話だと思うが……用心することに越したことはねえだろう。武器は手入れしてけよ!」
〔砦内会話 道具屋前 連邦兵〕
「あんたらも作戦に駆り出されたのか?俺は偵察兵だからもう役目は終わったんだ。あとのことはよろしく頼むぜ」
「偵察兵まで出しているのに、この準備不足はいったい………」
「それに関しては俺にも謎なんだよ。実は偵察期間は、もっと先まで取られてたんだが、先日急に作戦を決行することになってな。あんたらは大変だろうが頑張ってくれ。しかし……ここにはパンもないのか。偵察が終わったら絶対食べようと思ってたのに……」
「なぜパンなんかを……?」
〔砦内会話 道具屋〕※補給缶詰め肉のポテトガレット
「補給物資が届いてないから、今ここには缶詰一個しかないぞ」
「……なぜその一つだけ残しているんだ?」
「こいつはちょっと古くてな……兵隊さんに些末なモンはやれねえから、俺が持ち帰って食べることにしたのさ。こんな肉でもガレットにするとうまいんだぜ。レシピを教えてやるから作ってみな」
〔砦内会話 西門 門番2人組〕
「今回の作戦って砦落としだろ?それなのにこんな急に招集されるなんて……準備不足もいいところだ」
「物資も届いてないって噂だし……。……この作戦自体、帝国の異ってことはないよな?」
「さすがにそれはないだろ」
〔砦内会話 訓練場 寝転ぶ兵士〕
「昨日別の任務で徹夜したのに、動ける兵が足りないって、作戦に駆り出されてさあ……正直……もう限界なんだよ……。戦う体力なんて残ってないから今すぐ寝させて欲しい……」
〔砦内会話 救護室前〕
「今回の作戦、大丈夫なのかね。大きな任務の割に兵士も急ごしらえだし、怪我人が増えるだけの作戦は御免なんだがな」
「それだけ例の砦が、手薄ってことじゃないのか?」
「侮るなよどんなものでも、帝国の拠点の一つだぞ。それに、少将クラスの奴も、いるって情報がある」
「なるほど……兵士達には気を付けて欲しいもんだな」
〔砦内会話 兵站兵〕
「おかしいな……。もう物資が到着しても良い時間なんだけど、まだ届いてないみたいなんだよな……」
〔砦内会話 井戸前〕
「あなた達も砦の制圧に参加されるんですか?」
「ああ、そのつもりだ」
「ではまず、司令部へ顔を出した方が良さそうですね。ここから正面に見える大きな建物がそれですよ」
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「皆様が獣の討伐支援をして下さった方々ですね」
司令部へ到着してすぐに、兵長に声をかけられた。
「補給の件については大変申し訳ないのですが……、どうも物流ルートで問題が発生しているらしく、いくつかの物資がまだ届いてないんですよ」
「獣の群れの襲撃にでも、あっているのでしょうか」
ヴァネッサがそう言い、リゼットはため息を吐く。
「まったく、このシルヴェーアで軍事行動を取る以上は……獣に襲撃されることなど想定しておくべきだろう」
「すみません。本作戦は行き当たりばったりでして……砦への侵攻が決まったのも突然でしたし……」
「……相変わらず、下の人間のことなどなにも考えない…か……」
「教官?」
小さく呟いたリゼットを見てリュシアンが首を傾げる。
「まあ文句を言っていても仕方あるまい。我々で物流ルートの確認をするとしよう。ひとまずその辺りの兵士に事情を聞いてみるか。なにが原因かわかるかもしれない」
そう言って、三人は、砦内で話を聞いて回ることにした。
〔イベント会話 兵站〕
「さすがにこの数じゃ全然足りないぜ」
「ここで物資の管理をしているのか?」
「ああ。この仕事は長いが、こんな状況は久々だな。ったくリュンヌ方面の運搬班は、ポンコツか?他のルートからは、ちゃんと届いてるっていうのによ」
「……なるほど。リュンヌからのルートになにかあるらしいな」
〔イベント会話 宿舎前兵士〕
「物流が滞っていると聞いたが、なにか知っているか?」
「原因はわからないが……ルディロームからの物資はすべて届いてるよ。この手でちゃんと検収したから確かだ」
「物流ルートは複数あるということでしょうか?」
「ああそうだ。他のルートのことはよく知らないけどな」
〔イベント会話 訓練所兵士2人組〕
「どうやらディランブレの方に獣の群れが出てるらしいぞ」
「ああその話か。ここに集まった兵の中でも、ちょっとした話題になってるよ」
「そっちの方に故郷がある奴なんか気が気じゃないらしい」
「そんなに強いのか?」
「さあそこまでは知らないが、群れで現れてることもあって、なかなか厄介なようだ。あの辺りは商人の通り道でもあるからな」
「なるほど……リュンヌ方面に行く時は気をつけないとな」
砦内話を聞き終え、三人は話をまとめた。
「どうやら面倒なことになっているようだな」
「ルディロームからの物資は届いている。そして……」
「リュンヌ方面からの物資がなく、運搬ルートになっている、ディランブレ戦傷地帯に獣の群れの目撃情報……」
「問題が起こっているのはそこと見て間違いないだろう」
「その群れが私達の手に負えるならばいいのですが……」
「兵達が噂するほど、厄介な群れのようですからね……」
「用心するに越したことはないな。少し休んだら向かうとするか」
リゼットがそう言ってとりあえず、三人はひと休憩挟むのであった。