エピソードまとめ

□ミシェル・ブーケ
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ep.1 トリアージ
─────────♢────────


「さあ、お爺さんから離れるんだ、ミシェル。……彼を楽にしてやろう」

「楽に……?」

ミシェルはギュッと杖を握りしめる。

「でも……だって……こんなのってないですよ!違う。こんなの私が求める"正しさ"じゃない!絶対、間違ってる!」

そう言ってミシェルは杖を振り下ろし、突進獣を召喚しグレースにぶつけた。

「なっ、」

彼女は勢いよく壁に打ち付けられた。その隙にミシェルはオーリを背負う。

「こんな終わり方じゃ……、私はお爺ちゃんに胸を張れない!」

「待て!」

グレースの制しも聞かず、ミシェルはオーリを連れて診療所を出た。
そこから左の門へ向かって歩く途中で、ナマルを見つけた。


「ミシェルちゃん?」

「お爺ちゃんが……、連邦の人に殺されちゃう……」

「なんだって!?」

「その子達を止めろ!」

後ろからグレースの声がして、振り返れば、槍や剣をもった兵が駆け寄ってきていた。

「…ど、どういうことかわかんないけど、とにかくオーリさんがヤバいんだな?じゃあ俺に任せとけ!」

ナマルはミシェルからオーリを受け取り背に乗せて一目散に走り出した。

「駄目だ!行かせるな!」

「くっ、邪魔を………しないでよ!」

追いかけて来る兵を迎え撃つためミシェルは足を止めた。


「おい!無駄な抵抗はよせ!我々は君達善良な一般市民を守るためにこうして……!」

「ふざけないで!お爺ちゃんだって……。……ううん、お爺ちゃんこそ誰よりも善良な一般市民じゃない!そんな人を殺してまで……、……いったいなにを守るって言うんですか!?」


連邦兵達を迎撃し、ミシェルは駆け出す。

「お爺ちゃん……!早く村の外へ行かなきゃ……!」

「待てミシェル!」

グレースは先程壁にぶつけられたダメージが残っているのか追ってこない。

「……クソッ!お前達、彼女を追うんだ!」



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【CHAPTER4 正しい判断】

998C.Y. アムル天将領 パパラーシア湿地




〔道中台詞〕
「どうして……どうしてこんなことに………。お爺ちゃん………。やだよ、私。………なんで、お爺ちゃんが……あんまりだよ。こんなのってないよ……!私が……。…私が絶対にお爺ちゃんを助けてみせるから!」


「こんな時にも獣が邪魔してくるなんて……。でももう怖くなんかない。お爺ちゃんを失う方がよっぽど怖いもの!私の創術…!惜しみなく繰り出すわ!」


「グレースさんが言ってた……。体液を介した接触感染型の病気ということは、さっき診療所に現れた患者さん……あの人に噛まれたから、お爺ちゃんにもうつったってことだよね……」


「感染したら人を襲うようになるとも言ってた。……だとしたら、今、お爺ちゃんと一緒にいるナマルさんにお爺ちゃんが噛みついたりなんかしたら……。ナマルさんには症状を伝えられてないし……。ううん、お爺ちゃんはそんなことしない。そう信じなきゃ……。誰よりも厳しくて……優しい……お爺ちゃん」

「病気なんかに絶対負けないよね?そうだよ!もう自分で治しちゃってるかもしれないし!……でも、急がなきゃ……」

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〔途中1人で立ち止まっているナマルに遭遇する〕

「ナマルさん!」

「ああ……ミシェルちゃん」

「大丈夫ですか?どこか外傷は!?」

「いや、特にないよ」

「本当ですか?誰かに噛まれたりは?」

「だから大丈夫だって」

「そうですか……良かった……。………それで?祖父はどこへ?」

「オーリさんなら突然俺を突き飛ばしたかと思ったら、一人で塩取りの穴の方へ行っちまったよ」

「そうですか」

「なあ、いったいなにが起こってるんだ?」

「ごめんなさい。今は話してる時間がなくて。ナマルさんは先に村へ戻ってて下さい」

「あっ、ちょっとミシェルちゃん……!」


ナマルの制しを無視してミシェルは駆け出していった。



「……良かった。ひとまずナマルさんは無事だった。ちゃんとした説明とお礼は、村に戻ってからきちんとするとして。お爺ちゃんは洞窟へ向かったのか……。あそこにはサルーゴに受けた傷に効く薬草もあったし。なにか他に特効薬があるって気付いたのかも」

「触魔病患者はマナを暴走させ、爆発して……死に至る……か。それがなにをきっかけにしてそうなるのか、……まではわからないけど、うちに来た患者さんにも、そういう兆候は見られなかったし。お爺ちゃんもまだ大丈夫……だよね?」


「……でも、もしもこのまま病状が進行して。さっきの人みたいに暴れ出したりしたら、その時はお爺ちゃんを拘束して。その間に治療法を探して……。……ってまた野蛮な考えになってるな私。きっともっといい方法があるはず……!」


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〔道中に待つ連邦兵〕


「いたぞこの子だ!感染体と接触する前に拘束しろ!」

「お爺ちゃんには、オーリっていう立派な名前があるんです!感染体だなんて呼ばないで下さい!」


連邦兵を倒した後。
「……また連邦の兵隊さんを倒しちゃった……。お爺ちゃんのことが済んだら、うちの診療所に来てもらって、しっかり治してあげないと……。あれ?なんか私変なことしてる?自分で倒した相手を自分で治そうだなんて。お爺ちゃんを助けたい気持ちも、兵隊さん達を傷付けたくない気持ちも、どっちも本当だけど。でも今は状況が状況仕方ないよね」

「ただ……どんな理由であっても。私が兵隊さん達を攻撃しちゃったのは、あの人達からしたらとっても悪いこと。もし捕まったら、牢屋とかに入れられちゃうのかな……。……もう先のことを考えるのはやめよう。私がどうなったって構わないもの。今は少しでも早くお爺ちゃんの元へ行って、冷静に的確な診断をしないと!」
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