エピソードまとめ

□ミシェル・ブーケ
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ep.2 理解の縁
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「やめ!」

リゼットに止められ、二人は武器をしまった。

「……フルカード言わなくてもわかるな」

「……はい。でも俺は……」

レオは終始この様子で、まともな模擬戦は出来なかった。

「貴方はどこまで私を馬鹿に……!」

「ストップ!レオもわかってる!」

煮え切らない態度を取り続けるレオに対し怒るミシェルに、セリアが慌てて止めに入る。

「すみません。つい……」

「ミシェルは悪くないよ」

ユーゴがフォローする。

「ただ……レオにはレオの信念もある。全部を理解しろとは言わないけど……」

「……やれやれ、実に前途多難なことだ」

リゼットは少し呆れたように言う。

「……次、アルヴィエとシモン。模擬戦を始めろ」

「は……はい!」


セリアとユーゴが試合を始めたので、ミシェルとレオは攻撃が当たらないように囲われた柵の中で、二人の模擬戦を見守る。


「……えっと、良ければですが……」

ミシェルは意を決して、レオに話しかける。

「今日の昼食、一緒にどうでしょうか?」

「え……?」

唐突な誘いにレオは驚く。

「……ちゃんと話したいんです。お互いのために……」

「……わかったよ」

静かにレオは頷いた。

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「終わったー!」

そう言ってセリアがミシェルの元に駆けてくる。

「ミシェル、ごはん食べに行こ!」

「あ……その、私、今日は……」

「レオ、昼食に行こうか」

しどろもどろになるミシェルの傍で、ユーゴがレオに声をかける。

「あ……いや、俺、今日は……」

「ほっほう……」

同じようにレオもしどろもどろになるのを見て、セリアは意味深に呟いた。

「これはこれは……」

ユーゴも生暖かい目を2人に向ける。

「な、なんだよ、やめろよ、それ!」

「……冗談よ。頑張ってね、ミシェル」

「……はい。い、行きましょうかフルカードさん」

ミシェルがぎこちなくそう言う。

「そ、そうだな、ミシェル……ちゃん」

レオもぎこちなく応え、二人は訓練場を出ていく。

「……えっと、食堂は」

「校舎内を真っ直ぐ行った所ですよ」

「そ、そうだよな!」

なんとも言えない距離感と空気感で二人は食堂を目指すのであった。

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〔校内会話 訓練場 セリア〕
「あれ?お昼に行くんじゃないの?」

「う……言ったはいいものの勇気が……」

「もう……そんなんで大丈夫?ほら、深呼吸!ちょっとは落ち着くでしょ?」

「は、はい……。ありがとうございます……」

「うん。なら良かった。ほら、レオ。あんたがしっかりリードしてあげてよね」

「な、なんだよリードって。別にそういうのじゃねえから!」


〔校内会話 訓練場 ユーゴ〕
「僕とセリアのことは気にしなくていいよ。キミ達の邪魔をしないように街に出るつもりだし……。だから行っておいで。たぶん……キミにとってもレオにとっても……必要なことだから」

「そう……ですね。お気遣いありがとうございます」


〔校内会話 訓練場 リゼット〕
「……フルカード」

「き、教官!あ、あの……」

「お前が今向き合うべきは私じゃないだろう。ただ一言言わせてもらうならば、優しさと遠慮は違うぞ」

「……すみません」

「あの時示した"覚悟"はなんだったのか。もう一度よく考えてみることだな」

「……はい」


〔校内会話 石碑ベンチ 横になる男子生徒〕
「う、動けない……」

「どうされたんですか?」

「昨日の訓練がハードだったから、筋肉痛がひどくて……」

「昨日の……ということは、もう熱っぽさはないですかね?」

「ああ……筋肉が硬い感じというか固まってるというか……」

「でしたらぬるま湯などで温めて、なるべく安静にしていて下さい」

「わ、わかった……。ひとまずここから動かないようにするよ……」



〔校内会話 中庭 男子生徒〕
「おおっ!ブーケさんじゃないか!それに……フルカード?どうして二人が一緒に?」

「ええっと……それは……」

「あ、あれだよ。俺が食堂の場所がわからなくなっちまってさ。それで案内を頼んだんだよ」

「そんなのブーケさんに、同行してもらわなくたって……」

「い、行きましょう。フルカードさん」

「お、おう」



〔校内会話 中庭階段 男子生徒〕
「ブレイズの選抜試験には落ちてしまったけど、一般生徒の僕らだって頑張れば卒業後に軍に入って、聖騎士団と肩を並べることだってできるんだ。毎日授業、頑張るぞ……」


〔校内会話 中庭階段 女子生徒〕
「はあ〜もうお昼か〜。午前中は座学だけだったのに、どうしてお腹って減るのかしら……」


〔校内会話 ホール 女子生徒2人組〕
「ねえ聞いた?寂光丘陵の獣の群れの話」

「聞いた聞いた!」

「またうちの学校から、誰か討伐に派遣されるのかな?」

「わかんないけど、私達に回ってくることはないわよ」

「だよね。私達じゃ力不足だもん……」

「それにしてもあの丘って色々起こるよね」

「確かに!」

「前もそこで帝国から来たスパイを捕まえたんだっけ?」

「あれ?私が聞いた話だと、捕まえたわけじゃなかった気が……」

「そうだっけ?でも、そういう事件を解決できる人って憧れるなー」

「わかるー。カッコいいよねー」


〔校内会話 ホール イェルシィ〕
「あのさ……。レオレオとミーちゃんって、最近別れた元夫婦じゃないよね?」

「な!?そんなわけないじゃないですか!」

「あはは……だよね〜」
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