エピソードまとめ
□ミシェル・ブーケ
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ep.2 理解の縁
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朝、イーディス騎士学校の寮からゾロゾロと生徒達が校舎へと向かっていく。
ミシェル・ブーケ、彼女もまたそうだった。
「ミーちゃん、おっはよー!」
元気の良い声と共に、ミシェルの傍に金髪のツインテールの少女が駆け寄ってきた。
「おはようございます、イェルシィ先輩。それにトトさんも」
ミシェルは隣に来たイェルシィと、見えないが彼女のそばに居るはずの生き物に挨拶をした。
「トトにも挨拶してくれるなんてやるねえ」
そう言ってイェルシィは自身の左肩の方を見た。どうやらあの辺に居るようだ。
「姿は見えなくても、大切な、お友達ですから」
「うっわ、マジ天使。学内人気が高いわけだ」
「や……やめてくださいよ」
「でも、みんながミーちゃんを頼りにしてるのは間違いないよ。ブレイズとしてもすっかり馴染んたしねえ。あー……でも、そういえば一人だけ……」
話をしながら歩く二人の後ろを長い赤髪をポニーテールにした男子生徒が駆けてくる。
「あ、おはようございます!イェルシィ先輩!」
「レオレオ、おっはよー!」
「えっと……ミシェル…ちゃんも」
イェルシィの横でスピードを落とした、レオレオこと、レオは気まずそうに顔を逸らしながらそういった。
「おはよう……ございます。フルカード……さん」
「じゃ、じゃあ俺、先に行ってるわ」
そう言って、レオは走り出す。
「そ……それでは、授業で」
そんな気まずそうな二人を見てイェルシィは首を傾げた。
「……前から思ってたんだけどさ。どうしてレオレオとはあんな感じなの?」
「えっと……あの方には、どうも苦手意識があって……」
「そうなの?でも、いい子だよ」
「それは……、わかっているんですか……」
キンコンと鐘の音が鳴る。
「あ……そろそろ時間ですね。では、先輩。私はこれで」
「うん。じゃあね!」
イェルシィは駆け出して、校舎へ向かっていくミシェルの背中を眺める。
「……これは、思ったより根が深そうだねえ、トト」
そう呟いて、ふわふわと浮くトトを見上げた。
【CHAPTER1 守られる者】
998Y.C. 森国シルヴェーア イーディス騎士学校
「はあ……。今日は朝から模擬戦か……頑張らないとね。中庭の先にある訓練場に急がなきゃ」
ため息を吐きつつ、ミシェルは急いで訓練所へ向かった。
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〔校内会話 寮から中庭への道 女子生徒〕
「ふぁ〜眠〜い。なんで授業って朝からあるのかしら……。先生も生徒もゆっくり目に行動すれば、みんなハッピーだと思わない?」
「朝早ければ夜寝るのも早くなるので、その方が健康にいいからだと思いますよ」
「なるほど……。つまり、朝早い方がハッピーってことか!」
〔校内会話 中庭 男子生徒2人〕
「ブレイズの1年生達は、朝から模擬戦なんだっけ?」
「こんな時間から、よくやるよな」
「そうですね……。でも任務や帝国との戦闘は、いつ起こるかわからないので、どんな時でも戦えるよう慣れておく必要があるのかと」
「確かにな……まあ頑張れよ!」
〔校内会話 中庭 男子生徒〕
「おおっ!ブーケさんじゃないか!朝から君に会えるなんてツイてるなあ。良かったら一緒にモーニングでも……」
「食堂でしたら校舎に入ってすぐの所にあるので、私が同行しなくてもわかると思いますよ」
「い、いや……そういうことじゃなくて……」
〔校内会話 中庭 女子生徒〕
「今日、初めての学外訓練があるんだけど、私、ルディロームから出たことないし緊張するな……。迷子になったりしないかしら……」
「初めてのことは不安ですよね。ただ森に生えている草などは場所ごとに違うので、それを目印にすれば迷わずに済むかもしれませんよ」
「そうなんだ。なら、安心ね。……でも草なんて、どれも一緒に思えるけどな……」
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訓練所へ入ると既に、ブレイズ1年生は全員集まっており、教官も来ていた。
「すみません、遅くなりました!」
「……良し。これで全員揃ったな。ではこれより模擬戦を行う。本日の対戦組み合わせは……、ブーケ対フルカード。アルヴィエ対シモンだ」
「え……?」
「そ……それはちょっと……」
ミシェルとレオはそれぞれ声を上げた。
「なんだ不満か?」
「その……模擬戦なら近接同士とか……」
「ほう……。お前は戦場で弓兵や術使いとは戦わないと?」
「いえ……そういうわけでは……」
「……早く構えて下さい」
ミシェルは杖を構えてレオに向けた。
「ミシェルちゃん……だけど俺……」
「……私など戦うに値しませんか?」
「わ……わかったよ」
レオは渋々、というように刀を抜いた。
「では……始め!」
教官が開始を告げる。
「……俺やっぱりミシェルちゃんとは……」
そう言ってレオは攻めに来ない。
「真剣にやって下さい!」
「わ、わかってるさ!けど……俺は……。俺の力は……キミを傷つけるためのものじゃない」
「もういいです!私は全力であたるのみですから!」
レオの言い訳に、ミシェルは腹を立て、思いっきり創術をぶつけた。