エピソードまとめ

□ミシェル・ブーケ
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ep.1 トリアージ
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〔エピローグ〕


小さな墓標に花を供えミシェルは祈る。

「……私が憎いか?」

ミシェルの背にグレースが問い掛ける。

「いえ、むしろ今は感謝しています。祖父のこと……楽にしてくれてありがとうございました」

「……本当に"いい子"だな。だからこそ……、彼が最期に危惧していたことも分かる気がするがね」

「どういう意味ですか?」

「それは……。いや、やめておこう。遺志を代弁するのはおこがましい。ただ一つだけ言わせてもらえば……戦場では、善き人であらんとする者から先に壊れていく」

「…そうですか。でも、私は兵士ではないので……。そういえば、蝕魔病患者さんへの対応はとう終わったのですか?」

「ああ、この地における蝕魔病の封じ込めには成功したよ。ミシェル、キミの協力に深く感謝する」

「協力なんて……。……私はただ、身内を助けたい一心で……」

「……キミはこれからも村で診療所を続けるのかい?」

「そうですね……そのつもりなんですけど……」

「もし良ければだが……、知り合いが教官をやっている……騎士学校に入学してみる気はないかい?」

「騎士学校……ですか?私は戦うのはあまり……」

「まあ、紹介状だけ渡しておくから考えてみてくれ」

そう言ってグレースは手紙を渡してきた。

「じゃあ私は行くよ。縁があればまたどこかで」

軽く片手を上げてグレースは踵を返しあるきだす。

「はい……お達者で」

ミシェルの言葉にグレースは一瞬、足を止めた。

「祖父を殺した最も憎むべき人間に"お達者で"か。まったくキミは本当に"いい子"なんだな」

そう告げてグレースは去っていった。

「……いい子……か。大事な人が苦しんでいる時に治療してあげる技術もなければ、自らの手で楽にしてあげる決断もできなかった。……そんな不甲斐ない"いい子"に、いったいなんの価値があるって言うんですか」

ミシェルはギュッと左の拳を握る。

「……お爺ちゃん私は……私は……!」

右手にもった紹介状を見つめる。

「騎士学校……か……」




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〔次回予告〕

次回、テイルズオブルミナリア
エピソード ミシェル

ep.2 理解の縁

苦手なあの人と二人きり……
うう……どうしよう……
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