エピソードまとめ

□ミシェル・ブーケ
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ep.2 理解の縁
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咆哮を上げながら獣が倒れる。

「フルカードさん!」

「ああ、やったな、ミシェルちゃん!」

そう言って二人は向き合って片手を上げる。
ハイタッチ、直前で二人はハッとして、動きを止めて互いに恥ずかしそうにそっぽを向いた。

「……え、えーと」

「こ、こほん!なんにせよ、これで一段落だな。じゃあ、エミル草を摘んで村に……」

レオが、滝つぼの方を指さす最中、ミシェルは何かに気がついて、倒れた獣の元に駆け寄った。

「……これはっ!」

獣の頭の前にしゃがんで驚くミシェルの後ろからレオも覗き込む。

「どうした、ミシェルちゃん」

「大変です!獣の口元に花が!」

ミシェルは獣の口の中にあった花の花弁をちぎってレオに見せた。

「しかも、これは……、ブレス草のものです!」

「……それって、ドロテさんが今、森へ採りに行ってるやつか!」

「フルカードさん!」

「ああ!急いで村に戻ろう!」

そう言って二人は急いで丘を下るのだった。



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【CHAPTER4 戦友】
998Y.C. 森国シルヴェーア コルテン村

村に戻って来た頃には日が降り始めていた。
二人は一直線に薬屋へ向かう。

「あ、お帰りなさい、お姉ちゃん達!」

「マルクくん!ドロテさんは今どこに!?」

「え、どこにって……ブレス草を採りに森に……」

「まずい!急がねえと!」

「おばあちゃんがどうしたの……?」

「ごめんなさい!今は説明している時間はないの」

「とにかく森には、誰も近づくなって伝えてくれ」

「ドロテさんは私達が必ず助けるから!」

「う、うん。森は右側の門から行けるよ」

マルクは困惑したようすで頷いたあと、行き方を教えてくれた。

「ああ、わかった!森へ急ごう!」

「はい!」

二人は薬屋の右側へ走った。

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〔村内会話 川傍男性〕
「この川から湖に行けるんだけど、マルクんとこのじいさんの具合が良くなったら、またみんなで釣りにでも行きたいねえ」


〔村内会話 門前おばさん〕
「ドロテさんかい……?そういやなんだか張り切ってたねえ。もうすぐじいさんが元気になる……とか言ってさ!」

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998Y.C. 森国シルヴェーア アンスワン森林


〔道中会話〕
「ドロテさん、無事でいてくれよ……!」

「私が悪食種について、早く気付いていれば……!」

「ミシェルちゃんはよくやってるさ。俺だけならドロテさんの危機に気付けてもいなかった。だから反省すべきは俺だ。不甲斐ねえよな」

「そんなこと……」

「でもそんなのはあとだ。今はドロテさんを助けることに集中しよう!」

「……そうですね!」



〔倒木 獣の群れ〕※ガルル、オタオタ、ガルグラン、ワービー
「おいおい獣がうろついてるじゃねえか!」

「悪食種がブレス草の花を食べてしまってる証拠です!」

「くっそ……早くドロテさんを見つけねえと!」

「ええ……!ここは通してもらいます!」


獣の群れ討伐後。
「先に進むぞ!」

「はい!」


〔這って進む倒木の下〕
「ミシェルちゃん通れるか?」

「大丈夫……です。あ、あの……できれば前を見ないでいただけると……」

「わ、わかってるよ!」


〔道中会話〕
「ドロテさんはこの状況下でも、避難などはしていないのでしょうか。獣を目撃すればすぐに、異変に気付くはずですが……」

「気付いたからこそ引き返せないのかもな」

「どういうことですか?」

「ブレス草が食われて獣が徘徊してるとなりゃ、あの芯の強そうなばあさんなら、じいさんのために逆に必死で、まだ食われてない薬草を確保しに行くだろうな」

「そんな……!それでもしご自身の身になにかあったら……」

「そんなことは考えてねえんだろ。誰かを守るために命をかける。今、俺達がしてることと一緒だろ?」

「……それはそうですが。どうしても祖父のことを思い出してしまって……。……あの時私は結局なにもできなくて……。今度もそうなるかもって考えたら、つい不安に……」

「その気持ち痛いほどわかるぜ。でもだからこそ、こんな想い他のヤツにまでさせたくはない。それがマルクのような子どもならなおさらだ。だから頑張ろうぜ、ミシェルちゃん」

「……はい!」



〔獣の群れ 川の先〕※ガルル、ガルグラン、ワービー、オタオタ
「くそっ・・・またか!こう連戦続きだと、いい加減、体力の限界が近いぜ!」

「それでも立ち止まるわけにはいきません!」

「……だな!」

「押し通ります!」

獣の群れ討伐後。
「よし!抜けたな!」

「そう……ですね……」


〔道中会話〕
「それにしてもなかなか見つからねえな……。もっと奥ってことか?あのばあさん、どんだけタフなんだよ。もしかしたらもう自力で帰還してたり……。そうだったら、俺達の出る幕ねえかも……。なあ?ミシェルちゃ……」

「はあ……はあ……」

「おい、ミシェルちゃん。大丈夫か?」

「甘く見ないで下さい。……と言いたいところですが、正直、さすがに辛いです」

「だよな。俺もだいぶやべえもんな。場合によってはこの後に、例の悪食種達の群れが控えてるかもしれねえし……」

「ですね……」

〔道中会話〕
「……なあ、ミシェルちゃん。あとは俺に任せてキミがここで引き返す選択肢は……」

「あるはずもないです」

「……だよな。そう言うと思ったぜ。さすがにわかってきたよ」

「でも、フルカードさんだって同じ意見でしょう?」

「ま、そうなんだけどな」


〔道中会話〕
「……私達って、案外似た者同士だったのかもしれませんね」

「ははっ。確かにな。この任務に就く前は考えもしなかったな」

「ですね」

「でも今は……よくわかる」

「……はい。私もです」


〔獣の群れ 大きな倒木エリア〕※オタオタ、ワービー、ガルル、ガルグラン
「まだいんのかよ……」

「急いでるのに……!」

「とっとと蹴散らすぞ!」

「はい!全力を尽くしましょう!」


獣の群れ討伐後。
「倒せたは倒せたが……これ以上はマジでヤベえかもな……」

「でも……行かなきゃ………」

「……だよな!」
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