エピソードまとめ

□ミシェル・ブーケ
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ep.2 理解の縁
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998Y.C. 森国シルヴェーア 寂光丘陵

〔道中会話〕
「……村でのこと、少し意外でした。特に武器屋での話は。もっと明るくマルクくんのやる気を肯定するのかと」

「確かに、その方が俺っぽいよな。けど……ミシェルちゃんと同じさ。実は俺もそこまで見た目通りじゃねえのかも」

「そうなんですか?たとえばそれはどういう?」

「そうだなあ……。その…ここだけの話な。子どもの頃の俺は、読書好きで泣き虫のひ弱でさ……。よく、ばあちゃんに叱られてたんだ。だからマルクの気持ちが凄えわかるっつーか……。……って今の話秘密だからな!誰にも言わないでくれよ!」

「別にいいじゃないですか、カワイイ話だと思いますよ?」

「ぐ……その評価が一番ダメージデカいんだよ……」

「……だけど不思議ですね。そんな方がどうして騎士学校に?」

「……それは。気高く生きるため…かな」

「それ、いつも言われてますけど、なにか理由が……」

「ほ、ほら、ミシェルちゃん。任務に集中しないと、転んで怪我しちゃうかもしれないぜ?」

「……わかりました」



〔イベント 検問所 獣の群れ〕※オタイエ、バンス、ワービー
「……また獣の群れ?」

「じゃあ、こいつらが討伐対象の?」

「いえ、違うと思います。でもこの獣達を倒さないと……」

「先に進めねえよな……」

「それもありますが、ここは各地域を繋ぐ検問所です。こんな場所に獣がいたら……」

「他の人達の迷惑になっちまうし、やるしかねえな!」

「はい!」


〔道中会話 検問所の先〕
「これで大丈夫そうですね」

「ああ!でもさっきの奴らも違うってなると、俺達の倒すべき獣はどういう奴なんだ?」

「なんで教官の指示を、ちゃんと聞いてないんですか?」

「わ、わりい……」

「本来この辺りにはいない悪食種だったかと」

「悪食種?」

「他の獣が食べない物も好んで食べてしまうそうです。悪食種は貪欲で凶暴な上に群れで行動するらしいので、早く除しないと大変なことになるかもしれません」

「そうだな。マルク達の村もヤバそうだ」

「はい。エミル草も大事ですが討伐も急ぎましょう」


〔道中会話〕
「そういや、ミシェルちゃんは、じいさんと暮らしてたんだっけ?」

「はい。この丘を越えた先にある故郷の村で、二人で診療所を営んでいました」

「そっか。俺もばあちゃんと二人暮らしだったんだよ」

「さっき、おっしゃってた"よく叱られた"、お婆さんですよね?」

「そ、それは忘れてくれ……」

「でもその方の話なら、セリアからも聞いたことがあります。凄く厳しい人だったとか」

「ああ、なにせ口癖が、"フルカードたるもの"だからな」

「それを言ったらうちの祖父も酷いですよ。わしの知識を全部叩き込んでやるって、五歳の私に危険薬物を調合させたほどですから」

「そ、そりゃ凄えな」


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「あ……見て下さい、あそこに……」

寂光丘陵の細い崖の道をを登っていくと、その先に滝つぼがあり、草木が自生していた。
二人は、その滝つぼに近寄って見る。

「エミル草ですよ!良かった……見つかって」

「へえ、これが……。薬草のこと全然わからねえから、ミシェルちゃんがいてくれて本当に助かるぜ」

「なに言ってるんですか。足りない部分を補い合ってこそでしょう?」

「そうだよな……」

「でも良かった。これでマルクくんのお爺さんを助けられますね」

「ああ、人命を助けられるなんてブレイズ冥利に尽きるよな」

「ええ……本当に」

「ミシェルちゃん?」

「いえ、その…………実は私祖父を目の前で、亡くしていまして……」

「そうだったのか……」

「はい。だからこそ私………お爺さんを助けられることが、凄く嬉しいんです。騎士を志して本当に良かった……」

「……ミシェルちゃん。実は……俺もさ……」

「ばあちゃんをガキの頃に目の前で…………。……その時ばあちゃんが最後に還した言葉、それこそが……」

「もしかして……」

「ああ、"気高く生きなさい"……だ」

「……だからそこまで気高さにこだわって……。フルカードさん、私……」

「はっ……!」

レオは頭上の二つの影に気づいて刀を抜いた。

「これってまさか……!悪食種?」

大きな羽を羽ばたかせながら、飛行竜型の獣が二匹降りてきた。

「……そうか。確かにさっきまでの獣と全然雰囲気違うな」

「ただフルカードさん……討伐対象は"群れ"……でしたよね」

「ああ、そうだな」

「この程度の数を、人は"群れ"と呼ぶでしょうか?」

「言われてみりゃ確かに。じゃあ問題の群れは別にいるってことか?」

「その可能性は大いにあるかと」

「でも一匹でも減らしとけば、それだけ村が安心ってことだろ?」

「そうですね。ここで倒しておきましょう!」

そう言って二人は、自分の何倍もある獣に立ち向かった。
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