エピソードまとめ

□セリア・アルヴィエ
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ep.1選抜試験
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【CHAPTER4 セリアの決意】

998Y.C. 森国シルヴェーア イーディス騎士学校

「いよいよですね、大丈夫ですか?」

学校まで戻ってきて、校門を潜りながらミシェルが問う。

「うん、たぶん……」

「セリア……」

「だ、大丈夫!ちょっと緊張してるだけだから。なんとかなるよきっと……」



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〔校庭にいる先輩生徒〕
「あら新入生?学校にはもう慣れた?向かって左が私達が暮らす寮。そして右手には訓練場があるわ。今日はブレイズ選抜試験の最終戦の会場になってるわね。……まあもう知ってると思うけど」


〔校歌を歌う生徒〕
「シルヴェーアの深緑に 剣磨きていざともに~♪
アグライアの膝下で 獅子然として吠え叫ばん~♪
イーディス イーディス イーディス
イーディス騎士学校~♪

……我が校の校歌ちゃんと覚えたか?」


〔噂話をする男子生徒達〕
「ブレイズ選抜の最終試験。最後に残ったのは……、やっぱりフルカードとシモンらしい。もう一組はまだ到着してないみたいだけど……正直決着はついてるようなものだよな」




〔マクシム先輩〕
「むっ、君達は……もしかして最終戦まで勝ち残ったのか!?」

「ええ」

「おかげさまで」

「そうかそうか。さすがは逆境ペア。僕は先輩として君達を応援するぞ!さあ、正々堂々最後の勝負に挑みたまえ!」

「言ってることは普通なんだけど。少しに障るのはなぜなのかしら……」

〔最終戦を待つ生徒〕
「最終戦、一向に始まらねえな。勝ち残ったもう一組はまだかよ?」

「あの……、実は私達が……」

「え?君達が…?またまた!そういう冗談はいいって。たぶんもうすぐ来るだろうし、お互い楽しみに待とうぜ!」

「はあ……」



〔研究中の生徒〕
「フルカードの戦闘スタイルは刀。派手な立ち回りで敵を一掃するのが得意。
対してシモンは長剣の使い手。刀身を生かし攻守両方を兼ね備えた戦術で……」

「ふーん……」

「おおい!俺の研究ノートを覗くなよ!」



〔リュシアン先輩〕
「おや?もしかしてあなた達が……。なるほど……。最終試験、頑張ってくださいね」


〔訓練場前で覗き見る女性達〕
「はあ……いいわよね。健康的な小麦色の肌……。線が細いのに逞しい剣捌き。はああ……かっこいいわ、ユーゴ様……」

「ユーゴって意外にモテるのね……」


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〔最終戦〕


「レオ……ユーゴ……。……もう逃げられない。覚悟を決めなくちゃ」

「……遅かったな。対戦相手は既に到着している。貴様らも早く位置に付け」

リゼット教官に促され、レオとユーゴの前に対峙する。

「セリア……」

近寄れば、レオが小さく名を呼んだ。

「……あはは、なんか凄く久し振りな感じだね」

まだ1日も経っていないというのに。

「あ、ああ……」

「あ、あの改めまして!私、セリアとチームを組ませてもらっています、ミシェル・ブーケと言います!」

「え、あ、ああよろしく」

勢い良く挨拶してきたミシェルに驚きながらもレオは挨拶を返した。

「……でもキミも見たとこ前衛タイプじゃなさそうだし……やっぱこの面子で試合はその…………良くないんじゃないか?」

「よ、良くないって……なんですか?」

意味が分からないとミシェルは聞き返す。

「だだからそれはそのなんつーか……」

「もしかして……私達に試合を放棄しろと、そう促していらっしゃるんですか?」

「そ、それは……」

怒った様子のミシェルの言葉を聞いたレオは困ったように押し黙った。

「ごめん。レオの言い方が悪かったのは謝るよ。だけどその提案自体には僕も賛成だ。だってほら、このままじゃキミ達に怪我を……」

「馬鹿にしないでください!」

拳をギュッと握りしめてミシェルが叫ぶ。
大人しそうな彼女が怒る様子に二人はビックリした様子で何も言わない。

「貴方達の言っていることは最低の侮辱です!ここまで来たセリアや私への……」

いいえ、とミシェルは首を振った振る。

「この選抜に真剣に挑んで散った行った皆さんに対する侮辱も甚だしいです!」

「ミシェル……」

「セリア……」

ミシェルは振り返てセリアに声をかける。

「貴女のこの二人の背中を守りたいという気持ちはとても尊いものだと思います。でも、貴女の真に目指す場所って、本当に"そこ"だったんですか?」

「……わかってる」

セリアは握りしめた拳を胸元に当てた。

「32人中31位の成績の私なんかが、最強の二人を追ってブレイズになろうなんて、絶対無理って思ってた……」

そう言ってセリア、目の前に向かって歩きだした。

「でも……、ミシェルが気づかせてくれたの」

ピタリ、とセリアはミシェルの横で足を止めた。

「私は…私の目的は、二人の背中を追うことでも守ることでもない……」

「セリア?」

「私が本当に求める場所。それは……貴方達の手を引いて、連れ出せる!そんな、"一歩先"の日だまりよ!」

「どうやら覚悟は決まっているようだな」

教官はセリアとミシェル、レオとユーゴの間に立つ。

「では、ブレイズ選抜試験。最終戦……開始だ」

教官が腕を上げると同時に、セリア、ミシェル、ユーゴは武器を手に取った。

「ちょ、待つ……」

レオは1人だけ慌てた様子で武器を取り、1度後ろに下がって距離を取った。

「さあっ、本気でかかってきなさい!少しでも手を抜いたりしたら許さないわよ!」

「セリア……」

「……ふふっ」

セリアの勢いに、レオは戸惑いミシェルは笑った。

「レオっ、行け!」

戸惑っているレオの背を押すようにユーゴが叫ぶ。

「ああっ!」

頷いて、レオは駆け出した。
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