エピソードまとめ

□セリア・アルヴィエ
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ep.1選抜試験
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【CHAPTER3 奥に待つもの】

998Y.C. 森国シルヴェーア 風笛洞

アンスワン森林を抜け、洞窟の中に足を踏み入れる。

「それにしてもここまで来ると、もう残っているのは上位陣ばかりみたいですね」

「ええ、三回戦まで進めているだけで奇跡よ……。ミシェルのおかげね」

「いえいえ。セリアこそ、大活躍じゃないですか」

「あはは、いいよお世辞は。私なんてレオ達のおまけ、みたいなものなんだからさ」

「いやそんなことは……」

「ほら、先急ぐよミシェル!」

「……はあ。私セリアの成績が31位に甘んじている理由が少しだけわかった気がします……。確かに私から見てもあの人達は私達世代の中で別格にお強いです」

「そうだね」

「もしも……もしもこのまま私達が勝ち続ければ、最後に戦うのはきっとあのお二人です」

「……うん」

「そうなったとき、セリアは、幼馴染みと戦うことにためらいがありますか?」

「……どうだろう。わかんないや。私はずっと二人の背中を追いかけて、二人を支えてあげられたらって、ずっとそれだけだったから……」

「セリア……」


「正直ね、二人が優勝してブレイズに入ってくれたら、それだけで充分って思ってる私がいるの。……でも、本当に私はそれでいいのかなって。私が目指す場所ってそこなのかなって、思ったりもするのよね」

「セリア……」

「だからといって私が、あのとんでもなく強い二人に追いつけるかといえば、そんなわけはないし。この試験だってきっと……って。な、なんか暗い話しちゃってごめん!ミシェルだってプレイズになるために試験受けてるのに、ペアの私がこんなこと言い出したら不安だよね!」

「いえ、私は……」

「さて!私達は私達でやれることをやらなきゃね!」

「………そうですね」




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〔道中会話〕

「それにしてもこの洞窟……なんかやな感じだね」

「ですね。どうも今までの場所とは毛色の違う圧を感じます」

「うん。倒木地帯も大変だったけど、ここはなんか……あそこより怖いかも」

「はい、同感です」

「早く抜けてしまいましょう」


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〔道中獣の群れ〕フローン、ジャフラ、ザルーゴ

「っ!?獣がこんなにたくさん!?」

「今までのとは雰囲気が違うわね。ようやく 「試験」っぽくなってきたじゃない!」



群れを倒し終える。

「ふう……これで進めそうね」

「行きましょう」

「レオとユーゴはもう決勝戦進出、決めてそうだなあ」

「成績トップで、幼馴染みが故に息も合ったチームですか。まさに最強チームですね」

「だね。……うん。私なんかいなくても二人は強いよ……」

「あっ……そういう意味で言ったわけではなく………」

「あーごめん!はあ……駄目ね私。今あの二人のこと考えるとちょっとおかしくなっちゃうっていうか……。もー、やめやめ!せっかくミシェルとここまでこれたんだもの。目の前のことに全力で取り組まないとね」

「……はい」


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〔道中会話〕

「どこまで行っても駄だらけね。いったいどこから湧いてるのかしら」

「お母さんの体からですよ」

「え」

「群れで生活する種は、親子の仲がいいと聞きます」

「……ミシェル。倒しにくくなったわ」

「えっ?」


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〔群れ遭遇〕

「またこの獣……。そろそろいい加減にして欲しいわね」

「本当ですね。体力が尽きる前にさっさと片付けちゃいましょう!」

戦闘後。

「さすがにこれで、終わりだといいけど」

「この試験は本当に先が読めないですからね……。この後100匹くらい一気に獣がくる場所もあるかもしれません」

「そうなったら、そこが私たちのお墓ね……」

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〔イベント会話〕

「もうすぐ次の試験会場に着くはずですよね?」

「そうね……って」

グルグルグチュグチュという異様な音が鳴り響いた。

「な、なにいまの?獣の声?会場の方から聞こえてきたけど」

「いまの大きさからすると 大型の獣かもしれません」

「はあ……これも絶対想定外の事態よ。今日はホントに運が悪いわね」

「急ぎましょう。対戦相手さん達が心配です!」


「こんな状況でも対戦相手の心配って……。……凄いわね貴女は」


二人は真っ直ぐ洞窟の奥へと駆けていく。
試験会場であったはずの場所に大型の獣が陣取っていた。

「……キミ達は!」

1人で獣と応戦していた金髪の男子生徒が、二人を見て声を上げた。

「加勢します!」

セリアがそう言えば、男子生徒はいや、と首を振った。

「それよりも、この子達を安全な場所に異動させてくれ」

そう言った男子生徒の足元には、恐らく試験の相手であったであろう二人の生徒が倒れていた。

「時間稼ぎは俺がする!」

「っ…!」

先輩である彼の言葉に、セリアは構えようとしていた弓を下ろした。


そうだ。レオやユーゴにも、いつも、そう言われてた。
……わかってる。私なんかが戦わなくても強い二人が……。

「いいえ!退きません!」

ざり、と地面を踏み、ミシェルが一方前に出た。

「ミシェル…?」

「やれますか?一緒に戦ってくれると嬉しいのですが」

「……一緒に」

ミシェルの言葉に、セリアは胸の前に置いた右手をギュッと握った。

「当然よ!」

力強く頷いて、セリアは弓を構え直す。

「と、いうかそこの先輩!満身創痍の貴方こそ、カッコつけてないで素直に下がってください!」

「は、はい…!すいません!」

そう言って先輩である男子生徒はいそいそと自分の足元に倒れている二人の生徒を抱え、後ろに避難していく。


「レオのこととか、ユーゴのこととか、今はどうだっていい。こんな私でも一緒に戦って欲しいってミシェルが言ってくれた。…それだけで十分だわ!」





大きな獣、カイザルーゴを打ち倒す。

「やった!倒したわ!」

「……ふふっ。大活躍でしたねセリア!」

倒し終えた二人は、後ろに避難した先輩の元へ向かい、倒れた状態から意識を取り戻していた生徒に声をかける。

「体は大丈夫ですか?」

「応急処置ですが、回復の創術をかけておきますね」

そう言ってミシェルが創術を使う合間にセリアは先輩の方を見た。

「対戦相手がこの状態だと、試合はもうできないですね。どうしましょうか?」

「どうするかなんて決まってるだろ?キミ達は決勝へ進むべきだ」

「え、でも……」

治癒を終えたミシェルも、いいんでしょうか?と首を傾げる。

「……どうしましょう、セリア」

「そうね……。……うん。お言葉に甘えて決勝に進ませてもらおう」

「……でも、そうすると次はきっと幼馴染のお二人と……」

「ありがとうミシェル。だけど、私は大丈夫」

「セリア…!」

「とにかく決勝に進むということでいいんだね?」

「はい!」

「よし承った。栄えある決勝の舞台は、我らがイーディス騎士学校………!」




私が……。

「レオとユーゴと戦う……か」

キリッとセリアは前を向いた。
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