エピソードまとめ

□セリア・アルヴィエ
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ep.1選抜試験
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〔道中会話〕

「確認だけど。このあとは試合会場に赴いて、敵ペアと対戦を繰り返していく……。っていう流れでいいのよね?」

「確かトーナメント形式というのでしたっけ?それなら4回勝てば優勝ですね」

「……でも順当に考えたら1勝だって無理よね……」



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〔障壁障壁に閉じ込められるイベント〕



「ちょっと……!なんなのよこれ!」

「このままじゃ通れない……」

その地に足を踏み入れた瞬間、緑色の障壁が4方向から詰め寄ってきた。がっちりと四角く周囲を固めたその障壁に触れると弾かれて通ることが出来ない。

「もしかして対戦相手の仕業!?」

「……まずいですね。決められた時間までに試験会場に入らないと不戦敗になってしまいます」

「どうしよう……」

「まだ諦めるのは早いですよ。これくらいなら私一人でなんとかできるかもしれません」

「え…本当に!?」

「ひとまずやってみます」

そう言ってミシェルは杖を構えクルクルとその場で舞いだした。

「わかった。獣の方は私に任せて!」

内側からは出られないが外側から入れる性質の障壁の用で、同じように閉じ込められた獣が無防備なミシェルに寄ってくる。
それを得意の弓矢で撃ち落としていく。

「どうミシェル?うまくいきそう?」

「大丈夫です。きっと、あと少し………」

クルクルと回る彼女の杖の先から黄緑色の蝶々のようなものがふよふよと浮きあがり、それが上空へ飛んでいく。
その蝶々達は障壁の四隅に浮かんでいる障壁創術の発生源にぶつかりダメージを与えていく。
4つ全ての発生源が壊されると、辺りを囲んでいた障壁が一瞬にして消え去った。


「できました!解除成功です!」

「やったね、ミシェル!……私、ミシェルがいなかったら諦めてたかも。その機転の利かせ方もっと評価されて良さそうなものだけど……」

「ええとなんというか。評価試験のときはちょっと緊張してしまって、力をあまり出し切れなくて……」

「な、なによそれ。じゃあ貴女、本当ならもっと上の……」

「そんなことないですよ。えと、ほら、急ぎましょう、セリア!」

「え、あ、うん。やっぱり一番使えないのは……私かな」

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〔道中会話〕

「私、セリアとペアになれたこと、嬉しく思っていますよ」

「な、なによ突然……」

「だってセリアは素敵な人ですから」

「素敵って…………。全然そういうとこ 見せられてないと思うけど……」

「あ、ペアになってからのことじゃなくて、実はずっと気になっていたんです。この学校生活で目立つお二人………フルカードさんと シモンさん…でしたっけ?彼らの世話を焼いている姿をよくお見かけしていまして」


「そそんなとこ見られてたの……」

「はい、それでセリアは……。凄く優しくて気の回る方なんだなって」

「そ、そんなことはないけど………でもあの、ありがとう」

「セリアは二人と、昔からのお友達なんですか?」

「そうだよ、同郷の幼馴染みだね」

「それが皆さん揃って、名門のイーディス騎士学校入学を果たした上、成績上位者に残るだなんて凄いですね!故郷の皆さんの誇りじゃないですか!」

「あーうん……そうだね。喜んでくれてたら嬉しいな………」

「セリア?」

「あーえっと……。ミシェルはどうなの?どうして騎士学校に?」

「簡単に言うなら、もっと強い自分になって 人を助けたかったから……ですかね」

「……レオみたいなこと言うのね、貴女」

「フルカードさんですか?」

「ああ、ごめんなさい。あんなのと一緒にしちゃって。けど、人を助けたいなら、診療所のお手伝いを続けても良かったんじゃ?」

「そうですね。でも、もう、それだけじゃ私は……」

「……うん。まあ、お互い色々あるよね」

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〔道中会話〕

「ペアがミシェルで良かったって思ってるけど、この組分けやっぱり理不尽ではあるわよね」

「でも教官言ってましたよね。英雄が欲しいとかなんとか………あれって私達の中から、突出した才能を見出したい、という意味かもしれませんね」

「つまり、バランス取れたペア同士の対戦が見たいんじゃなくて、成績最上位ペアによる活躍もしくは、それを凌駕する下剋上が見たいって話?」

「だと思います。そしてその煽りを一番受けたのが………」

「あ、あはは……。やれるだけやるしかないわね……」


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〔選抜試験1〕

「あ……ここが、最初の会場みたいですね」

「ふぅ………。波乱万丈の旅路だったわね」

柵で区切られた先の広い敷地に、男子生徒二人と、女子生徒が1人待っていた。

男子生徒二人は会場に入ってきたセリアとミシェルを見て驚いたような顔をしていた。

「遅かったですね、31番32番」

試験管役の先輩である女子生徒がそう声をかけた。

「すみません」

「あの……時間は……」

「大丈夫。間に合っています」

「良かった……」

セリアはホッと息を吐いたあと、ギロリと男子生徒を睨みつける。

「げげっ!?」

「あーら、どうかしたのかしら?私達が間に合って、とても驚いてるみたいだけど?」

「そ、それは……」

「あーあ。すーっごく通りやすい道だったなー。ねえ、ミシェル?」

セリアはわざとらしく試験管に聞こえるような大きな声でそう言った。

「そうですね。意地悪な誰かさんに邪魔されたとは思えないくらいに」

ミシェルも同じようにわざとそう言う。

「……どういうことですか?」

試験管が不審そうに男子生徒二人を見つめれば、彼らは更に慌てた。

「い、いえ、なんでも!」

怪しさ満点のその返しを不審に思いながら、とりあえずと試験管は切り出した。

「準備はよろしいですか?」

「ええ、問題ないです。…ね、ミシェル?」

「はい。それどころか私、今回ちょっとやるきですよ」

「奇遇ね、ミシェル。私も……いつも以上の力が出そうだわ!」

やるき満々の二人に男子生徒達は青い顔をしている。


「それでは、両者見合って……。第1回戦開始!」


試験管の合図で、武器を取り遠距離型のセリアとミシェルはまず二人から距離を取った。

「どうせこいつらは遥か格下なんだ!」

「だよな!こりゃ、いいクジ運だぜ!」

成績は確かに、最下位ペアである自分たちより上。さらに男子生徒達は弓使いと剣士のペア、チームバランスは向こうの方が取れていて圧倒的に不利だった。

「天は俺達に味方してる!」

「その格下を姑息な手段で邪魔するなんて、随分私達のことを恐れているようね」

「ぐっ……」

「怒りの格下パワーを見せつけてあげますよ!」

そう言ってミシェルが召喚創術の力を貯めるため舞を踊り始める。
セリアは彼女が攻撃されないよう、詰め寄っくる剣士の生徒を牽制するように弓を放つ。

向こうの弓使いが撃ってきた矢をバックステップで避けては、弓を打ち返す。

「いきます…!」

ミシェルが杖を前に向けると、ガルルのような姿をしたものが剣士の生徒へ突撃し、その身体をぶっと飛ばした。
相方がやられ驚いている弓使いにセリアがすかさず矢を放てば、彼は後ろに尻もち着くように倒れた。


「やめ!」

試験管の声に、セリアもミシェルの動きを止めた。

「か、勝った……」

「勝っちゃいましたね……」

「31番32番、貴女達は2回戦進出です。早速、次の会場へ向かってください」

二人は本当に自分達が勝ったの?と顔を見合わせたあと、試験管の言葉に手を取り合って喜んだ。


「く、くそ……念には念を入れて妨害しといたのに……」

「やめときゃ良かったんだよ。あれで体力使うから……」

「う、うっせ!大体お前がなあ…!」

「21番22番。どうやら貴方達には話を聞かねばいかないようですね」

倒れた身体を起こしながら醜くも敗北の原因の押し付け合いをしていた男子生徒たちは、試験管の言葉を聞いて、う……、と言葉を詰まらせるのだった。
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