エピソードまとめ

□レオ・フルカード
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ep.1英雄の卵達
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998Y.C. 森国シルヴェーア アンスワン森林

〔道中会話〕

「さあ、また森に帰ってきたな」

「先輩たちはもう先に行ってるんだよね」

「そうだね」

「後輩だからといって、俺達も負けてられないよな」



「っつーかさ。そもそも俺達って具体的にどんな奴探せばいいんだ?」

「あ、あんたねえ。最初に教室で逃亡犯のその時判明していた限りの外見的特徴を教えられたでしょ?」

「そ、そうだっけか?」

「確か、連邦研究員のコートを羽織った大荷物の青年…だったかな」

「はあ、なんだそりゃ?研究員のコートって……」

「なんか元々は、連邦軍の研究施設に潜り込んでたらしいわよ。その帝国軍スパイ。で、それが発覚したと同時に慌てて逃げ出したみたいで」

「よっぽど切羽詰まった状況だったんだろうね。しばらくは研究員の制服であるコートを着たまま逃亡犯していたみたいだ」

「ああ、それで目撃証言はそこそこあったのか」

「ええ、あのコート、結構目立つものね」

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〔道標の看板を調べるイベント〕

「えっーと。俺達はこのまま真っ直ぐ進めばいいんだよな?」

「そうね。左側の道はコルテン村に続いてるみたいだし」

「はあ……地理を覚えるのって難しいよな……」

「今回は行かない場所でも、別の任務で行く機会があるかもしれないから頑張って覚えていこう」

「ああ…わかったよ」

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〔道中会話〕

「でも流石にもう目立つコートは脱いでるだろうけど」

「は?んだよ。じゃあ結局、何を探せばいいのか、よくわかんないじゃねーかよ」

「…でもまあ、外見なんか関係なしにこんな危険な場所を、無闇に1人で徘徊していた時点で、もう十分有力容疑者だけどね」

「確かに」

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〔道中会話〕

「なあ、リゼット教官ってホントおっかないよな」

「源獣ジェムズレイに睨まれたオタオタ状態になるぜ」

「それはいつもあんたに、やましいところがあるからでしよ」

「う……」

「教官が厳しく指導してくれたおかげで、今の僕達があるんだ。むしろ感謝しないと」

「…それはそうなんだけどよ……」

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〔道標の看板イベント2〕

「……ねえ。この左向きの看板に書いてあるのって……」

「ル・サント村……」

「ああ……僕達の故郷に繋がっているね……」

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〔道中会話〕

「あと、なんだっけ?リゼット教官に軽くあしらわれてた人」

「ああ、ガスパルさん?」

「法王様直属の諜報機関の人と言ってたね。確かに読めない人ではあったけど、実際は相当優秀な人なんだろうね」

「そうは見えないけどな。どちらかといえば、裏でヤバイことしてそうな……」

「見かけ通りの判断をされたくないのは、レオが1番わかってるんじゃないか?」

「ん?どうしてだ?」



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アンスワン森林奥地。


「お、なんか開けた場所が見えてきたぞ」

「ここまで、逃亡犯の手がかりどころか、先輩達の背中すら見えないわね」

「まあ、とにかく前に進むしかないよな」


獣避けに設置された門を抜けて開けた場所にでる。

「二人とも、あれ見て!」

そう言ってセリアがある一辺を指さした。
二人は目を凝らして見るが何かあるようには見えない。

駆けるセリアを追って近づいて行くとやっと地に落ちた白い布切れが目に入った。ただ、その白は赤い染みがついていた。

「おいおい……これって……」

服の袖口にあたりそうなその布切れには研究施設のマークが入っている。

「潜伏中に野生の獣にやられた?いや、でも、だったら遺体は……」

じっと、手袋を観察するユーゴとレオの後ろで、セリアが1人、はっ、と気配を察知し顔を上げた。

「二人とも後退して!」

セリアの指示に従って、二人が飛び退くとドンッと巨大な獣が空から降ってきた。

ゴリラの様な見た目をした獣──ヴィルンガだ。


「まさか、こいつが逃亡犯をやったのか!?」

「わからない……でも、そうであってもなんらおかしくない獰猛な獣だ。気をつけて!」



〔ヴィルンガ討伐後〕

「やったか?」

「うん……なんとかね。危なかった……」

「ホント、一体で良かったわよ。もしあんなのが複数体で来てたら……」

ほっと、息つく彼らの背後に、ドン、ドン、ドン、と上から何かが落ち衝撃を与えた。

「なっ……」

振り返れば先程倒した獣と同じ、ヴィルンガが三体、うがあああと雄叫びを上げた。

3人が慌てて武器を構え直す。その瞬間、ザシュザシュ、と肉を斬る音と主に三体のヴィルンガが地に倒れた。

「無事か?新入生」

倒れたヴィルンガの後ろに現れたのは、双剣を鞘に仕舞う眼鏡をかけた女性だった。

「ヴァネッサさん……?」

「先輩、どうしてここに……」

「それはこちら台詞だレオ。この森の調査は私達に任されて居たはずだが?」

「えっと、僕達はそれの応援とでもいいますか……それにしても、相変わらず凄まじいですね、先輩は……」

ユーゴの言葉を聞いてヴァネッサは眼鏡の縁を軽く持ち上げた。

「エリートクラス生たるもの、この程度は出来て当然だ。ですよね、リュシアン」

そう言った彼女の視線の先、3人は自分達の後ろを振り返ってみれば、プラチナブロント髪を持つ美男子がしゃがみこんで地に落ちた布切れを見ていた。

「ははは。さすがに"当然"ではないですね。あなたの戦闘能力は、私たちの中でも群を抜いていますよ」

そう言って美男子─リュシアンは立ち上がった。

「だから気にしないで下さいね、三人とも」

微笑んだリュシアンに、三人は「…は、はい」と弱々しく声を揃えた。


それにしてもと、リュシアンは立ち上がる際に拾い上げていた布切れを見つめた。

「ふむ。血液の付着の仕方がちょっと不自然ですね…。明らかな作為を感じます」

「それは、罠ということですか?」

ヴァネッサの問に「恐らくは」とリュシアンは答えた。

「おおよそ、追っ手と獣を鉢合わせる為の餌……といったところでしょう。追われているにもかかわらず、冷静さを失っていない……これは厄介だな。あまり敵に回したくない相手です」

確かに、とレオが頷く。

「なんにせよ、やはりこの森は"ハズレ"だったわけだ」

「ですね。ただ、ああいう罠を仕掛けるということは、追い詰められている証拠でもありますので。いまだこの周辺に潜んでいる可能性はありますね」

「…なるほど」

「では、こうしましょう」

「私とヴァネッサさんは引き続きここに駐留しますから、君達の班は自由に他の場所を調査してきて下さい」

「それは確かに俺達的にも願ったり叶ったりですが……」

「ああ、構わない行け」

「恐れ入ります。では行って参ります」

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〔リュシアンと会話〕

「いやそれにしても、到着早々、この小さなコートの切れ端を見つけるとは。やりますね、キミ達」

「ああ、それはセリアが……」

そう言ってレオはセリアに視線を送る。

「こいつ昔っから目だけはいいんですよ」

「だけはって……」

「素晴らしいですね。セリアさん。それは戦場において実に有用な才能ですよ」

「あ、ありがとうございます」


〔ヴァネッサと会話〕

「そういえば、この先の洞窟には変わった獣も出るようだ」

「どう変わってるんですか?」

「ウーチルチル・グドゥフンと言ってな。なんでも人に化けるらしい」

「ウーチ…?」

「ウーチルチル・グドゥフンだ。もし、鉢合わせても惑わされないようにしろ」

「了解です!」
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