エピソードまとめ

□レオ・フルカード
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ep.1英雄の卵
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〔道中会話〕

「レオ、確認だけど。今日の任務の内容は覚えているわよね?」

「お、おう……当然だ。あれだろ。あれ……ほら……世界の平和を守る的な?」

「僕達はどこに所属する何者なんだよ。はあ、セリア。レオを現実に戻してあげて」

「了解。レオ私達3人は昔っからの幼馴染だけど、それと同時に今年から晴れて連邦のイーディス騎士学校"ブレイズ"に所属する生徒なのよ。ここまではオーケー?」

「ああもちろんだぜ。先を続けろよセリア」

「なんで無駄に偉そうなんだよ」

「はあ…いいわ。続けるわよ。で、学生とはいっても私達ブレイズは少し特別。即戦力として軍からの要請を受けては任務に駆り出されたりすることが多いわけ」

「ああそれもこれも……俺たちが特別勇者だからだよな!すでにエンブリオだって授かってるわけだし!」

「まあね。流石に世界平和は担わされてないけど」

「ぐっ…」


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〔道中会話〕

「でも実際エンブリオって凄いよな。だってマナを操れちゃうんだぜ?」

「……それまでの訓練は思い出したくもないけどね…」

「どんな強大な力を手にしても結局は使う人次第なんだ。慎重に扱うべきだよ」

「まあそうだよな」


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〔道中会話〕

「はあ……。それでレオ、私達は今日、リゼット教官からどんな任務を仰せつかってクラス総動員で外に出たのかしら?」

「ああ…そうか。思い出したぞ。確か……帝国軍の諜報員が逃亡しているからどうとか……」

「おお、よく思い出せたねレオ。で、その逃亡犯捜索任務って、僕らすでに果たせていたっけ?」

「いや、逃亡犯本人どころかその尻尾さえ掴めてねえだろ。つまり収穫ゼロだ」

「そうだよね。あれ?でもおかしいな。もう学校を出てから結構時間が経過してるよセリア」

「あらそうね。それになぜかしらユーゴ。まだ捜索活動もしてないのに…私達不思議と満身創痍だわ」

「そ、それは……」


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〔五叉路風車イベント〕

キトルール草原にある大きな風車の前を3人は歩いていた。

「さて、レオ。これらの状況を受けて僕らになにか言うことはないかい?」

ユーゴの言葉に、うぐ、とレオは言葉を詰まらせた。

「……わ」

「わ?」

「っ〜!悪かったよ、二人とも!」

そう言ってレオは足を揃え、手のひらを合わせた後左手の指先を前に向けるように動かした。

「イーディス騎士学校ブレイズ所属第18期生レオ・フルカード。現時刻をもって逃亡犯捜索任務へと戻るぜ!」

「でもその前に……」

ユーゴとセリアが武器に手をかける。

「こいつらを倒さないとね!」


そういった彼らの周りをたくさんの獣達が囲っていた。

「うわっ!こいつらいつの間に!」

「これはまた団体さんね…」

「二人ともやれるかい?」

「ええ!」

「当たり前だ!」

真っ直ぐに長剣を構えたユーゴが問えば、弓を引くセリアも、刀を構えたレオも力強く返事をしたのだった。





「っしゃあ!セリアより多く倒したぜ!」

最後の1匹を斬り伏せたレオが、そう叫べばセリアは目を丸くした。

「え……私、いつの間に競わされてたのよ?」

子供っぽいレオの言動にやれやれと呆れた顔をしたセリアとユーゴが風車から五叉路に伸びた道の中から北に向かう道を選んで、再びデュシー村に向かって歩いていくのであった。


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〔道中会話〕

「なあー、村はまだかよー」

「おや?世界平和を守るはずのレオがもう泣き言かい?」

「そ、そういうわけじゃねえよ」

「ほらほら頑張って世界の平和まであと少しだから」

「そうそう世界がレオを心待ちにしてるよ」

「お前らなあ」


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目の前に集落を囲う柵と門が見えてきた。

「おお、ようやく村だぜ!これで助かっ……」

「きゃあああああ!」

一息つけると思った矢先、甲高い悲鳴が聞こえた。

「あれは!」

村の門の前に群がるオタオタの真ん中に女性が腰を抜かした状態でいた。

「だあっ!はっ!」

女性に襲いかかろうとしたオタオタをレオが駆けつけて切り伏せる。

「あ、あなた達は…!?」

「自己紹介はあとです!」

「とにかく貴女は早く逃げて下さい!」

「セリア、頼む」

「了解!」

そう言ってセリアは倒れたままの女性に手を差し伸べる。

「ほら、立って下さい行きますよ!」

セリアが女性を連れて村までかけていく。
それを追いかけようとするオタオタ達の前へレオとユーゴが立ち塞がった。


「んだよ、結局おまえらだって俺と大差ねえじゃねえか。損得勘定抜きで人助けしやがってよ」

「返す言葉もないね。……さて、とはいえ、どうしたものだろうね、この状況」

「……やれるだけやるしかねえだろうな」

そう言いながらオタオタを斬り伏せていく2人の後ろから、ウリドンとゴウリドンの群れが現れる。
ウリドン達は猪突猛進に突っ込んできて、2人は慌ててそれを避ける。
そんな彼らの体を緑の光が包み込んだ。

「これは……?」

光が消えると、傷や連戦で疲れていたはずの体力が回復していた。

「大丈夫ですかお二人とも!」

その声に振り返ると、村の門の前にミディアムヘアの茶髪の少女が杖を構えて立っていた。

「ミシェルちゃん!?どうしてここに?」

「話は後です!来ますよ!セリアに変わって私が掩護(えんご)しますので二人は前衛をお願いします!」

「ミシェル!キミの回復創術があれば心強いよ!」

「任せて下さい。私だって騎士学校で学ぶ者ですから!」

彼女の力強い言葉を聞いて、レオもユーゴもウリドンたちに向かって駆け出した。

「てかミシェルちゃんもこっち来てたんだな!」

そう言ってレオは後ろのミシェルを気にかけた。

「はい、リゼット教官のサポートで……って、ちゃんと前見て戦って下さい!」

「わ、わりぃ……」

ミシェルに怒られ、レオは慌てて前を向き、しっかりと剣を握り直すのであった。






「ふぅ……何とか乗り切ったか」

何とか全ての獣達を倒し終わり、レオは深く息を吐いた。

「だね。いや改めて本当に助かったよミシェル。キミの援護がなければ今頃どうなってたことか……」

「いえ、そんなことは……」

ユーゴの言葉にミシェルは謙遜し、とりあえず村に入ろうと、3人は門を潜るのだった。
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