エピソードまとめ
□レオ・フルカード
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ep.2 気高き者
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「が……は……」
レオがトドメをさし、裏切り者の連邦兵が倒れた。
「本当に……、死ぬまで戦うだなんて……。沢山人を殺すために頑張るなんて」
セリアは胸の前で右手の拳を握りしめる。
「こんなの……絶対おかしいよ……」
「セリア……」
ユーゴも複雑そうな顔でセリアを見つめた。
「これが、帝国の奴らの考え方か。人の命を……なんだと思ってやがる……」
レオは刀を握る手をぎゅうと強めた。
「おばあちゃん……やだよ……」
思い返すのは炎の中、横たわる祖母と、泣くことしか出来なかった自分。
「なんで………こんな……」
「レオ……」
息絶え絶えの祖母に名を呼ばれ幼きレオは、覆い被さるように顔を近づける。
「フルカードたるもの……。気高く……生きなさい」
「うわああああ!」
最期の言葉を聞きながら、ただただ泣くことしかできなかった。
「……帝国のじゃなくて、一部の兵士のだと思うけどね」
ユーゴの言葉に現実へ戻される。
「……だといいけどな」
「なんにせよ、一件落着ね。地爆石も取り戻せたし、報告に戻らないと」
「ああ、そうだな……」
三人は放置された荷車を1台引いて、ポワトゥー駐屯地へと来た道を戻って行くのだった。
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998Y.C. 森国シルヴェーア ポワトゥー駐屯地
「さて、報告に行くか。えーっと、さっきの人はどこだ?」
ポワトゥー駐屯地まで戻ってきたレオ達は、兵長を探しに歩いた。
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〔駐屯地内会話 牢屋前〕
「捕虜の者達も愚かですよね。連邦にいれば法王カナン様の名のもとに、どんな人間の人権でも尊重されるというのに……」
「確かに……そう伝えてあげられれば、良かったんですけどね……」
「法王様による人権の尊重……ね………」
〔駐屯地内会話 倒れている兵士〕
「おい、大丈夫か?まさか、また誰かにやられて……」
「いや……このところ不眠不休で働いてたから、こうして休んでるんだ。だからそっとしておいてくれ………」
「わ、わかりました……」
〔駐屯地内会話 連邦槍術士〕
「あ、あなた達は先ほどの………。上官でしたら牢の隣にある司令部に戻られましたよ」
〔駐屯地内会話 消火活動を行っていた兵士〕
「ふう……鎮火は終わったか………。延焼は免れたしこれで仕事が再開できるよ。……誰かに代わってもらって、少し休みたいところだが、その誰かがいないんだよな………」
〔駐屯地内 兵站〕
「おや、地爆石を取り戻してきてくれたのかい?ありがとな、これで一安心だよ」
「なら良かったです」
「ただ……荷車もう一台分くらいあった気もするんだが………いや気のせいか?人手が足りなきゃ、管理するのもままならないよな」
「そうっすね……」
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「脱走兵の方はいかがでしたか?」
司令室の前にいた兵長は、三人に気がつくなりそう尋ねた。
「はい。もうリュンヌに被害は出ないと思います」
「そうですか……。ありがとうございました」
レオの報告に兵長はホッと息を吐いた。
「いえ、気高き者として、当然のことをしたまでっすよ」
「けだか……?」
「気にしないでください」
困惑する兵長にセリアがそう言ってフォローする。
「……あの、一ついいですか?」
「なんでしょう?」
「駐屯地の地爆石なんですが、いったいなにに使われる予定で?」
「……さあ、上の人間が運び込んだものを保管していただけなので詳しくは……。まだ、しばらく置いておくよう言われていますが………」
「砦の制圧も終わったのにですか?」
「そういうお達しなので……」
「ま、どう使うにしろ、帝国の奴らに奪われなきゃ大丈夫だろ」
「そ、それはもう。同じ過ちは犯しません!」
「えっと、それじゃあ私達はこれで……」
「はい、ご武運を!」
事件を解決した三人は、本来の任務へと戻るのだった。
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【CHAPTER3 取り越し苦労】
998Y.C. 森国シルヴェーア ディランブレ戦傷地帯
〔道中会話〕
「バイヌセット砦は、この荒野の先にあるはずだよ」
「寄り道に時間割いちゃったけど、本来の調査任務に戻りましょ」
「そうだね。気持ちを切り替えていこう」
「ああ……」
「レオ?」
「………本題が様子見で、寄り道が帝国兵追撃っておかしくねえか?」
「確かに」
「まあきっと教官には深い意図が……」
「ある気もするけどない可能性もあるわよね」
「ははは……。教官の意図はわからないけど、少し気になることはあるな」
「んだよそれ?」
「んー、今はまだなんとも」
「でた、ユーゴのもったいつけ」
「お前は昔っから考えを胸に秘めがちだよな」
「二人に余計な不安を与えても仕方ないだろう?」
「ま、そうなんだけどね」
「ただ、そういうユーゴの態度自体、俺達を不安にさせるとこあるよな」
「それね。わかるわー」
「う」