エピソードまとめ

□レオ・フルカード
10ページ/16ページ

ep.2 気高き者
─────────♢────────


キトルール草原を進んでいると、ドゴンと言う爆発音とともに地面が揺れた。

「な、なんだ!?」

「見て!駐屯地の方から煙が……!」

セリアが指した方向からもくもくと煙が上がっているのが見える。

「ただことじゃなさそうだね」

「ああ、見に行くぞ!」

先に進もうと、三人が踏み出す前に、ワラワラと獣達が現れた。

「なっ…!獣の群れ?」

「爆発音に驚いて飛び出てきたか……」

「明らかに気が立ってるわね」

「このままだと街道を通る他の人に被害が出ちまう。なら……やるしかねえよな!」

三人はそれぞれ武器を構えた。






「……わりぃな」

マナに還る獣を見つめレオはそう呟いた。

「レオ?」

ユーゴとセリアが心配そうに近づいてくる。

「なんでもねえ。それより、さっきの爆発音はなんだ?」

「わからない。どうやら駐屯地でなにかあったようだけど……」

「急いで向かいましょう」

「だな!」

セリアの言葉にレオは頷いた。


だってけものさん、かわいそうだよ。

幼き自分が心中でそう呟いた。


……今も本質は変わってない……か…。
見ててくれよ……。ばあちゃん。


レオは、二人と共に駐屯地へ向けて掛け出すのだった。

────────────────────


〔道中会話〕
「……もしかして帝国と交戦中か?」

「どうだろう。早く確認しないとね」


〔道中会話〕
「そろそろ駐屯地に着きそうね」

「はあ……、いろんな意味で長い道のりだったぜ」


────────────────────

【CHAPTER2 英雄へ至る道】
998Y.C. 森国シルヴェーア ポワトゥー駐屯地

駐屯地の扉を開けると、入口付近に兵士たちが集まっていた。

「爆発の原因はわかったのか!?」

「それがまだ難航中でして……」

「失礼します!」

レオが話に割り込むと、兵士たちは顔を一斉にこちらへ向けた。

「なんだ、お前らは」

「イーディス騎士学校、ブレイズ所属、レオ・フルカードです!」

所属を名乗ると兵士たちは驚いた。

「ブレイズ……!こ、これは失礼しました」

そう言って慌てて敬礼をした。

「なにがあったんですか?」

「突然のことだったので、現在、究明中です」

「ただ、調査する人でも足りないため……」

「なら、俺達も協力しますよ」

「えっ……しかし、他に任務があるのでは?」

「バイヌセット砦を目指していたのですが、その周辺調査が任務なので、これもその内ということで」

ユーゴが代わりにそう答えた。

「そうね」

「ということで、任せて下さい。なにかわかったら報告します」

そう言って三人は、兵士たちから離れる。

「まずは駐屯地の人に話を聞いてみるか」

そう思い、1番近くにいた創術士のローブを着た兵士に近づく。

「駐屯地のど真ん中で爆破とは……。しかもなんであいつが急に……」

「どういうことですか?」

声をかけるとローブの兵は、びくりと肩を揺らした。

「……いや、なんでもない。ここと同時にどこかで爆発があったようだ。お前達はそっちの援護に回ってくれ!」

「りょ、了解です!」

凄い勢いで捲し立てるように言われ、レオは少し驚いたが、言われた通り別の場所を見に行くことにした。


「くそっ……火の回りが早い……」

セリアは燃え盛る炎を前に消火活動を行ってる兵に話しかける。

「ブレイズ所属、セリア・アルヴィエです。爆発の原因は特定できましたか?」

「ああ、恐らく地爆石に引火したんだろう」

「地爆石?」

なんだそれ、とレオは首を傾げる。

「衝撃や火気で爆発する性質をもった、自然の鉱石のことだよ」

「そんなもんがなんでこの駐屯地に?」

「確かに。兵器としての信頼性や有用性はかなり低いはずです。それこそ"不幸な事故"の原因になるイメージしか……」

「そうなんだよ……。まだ物資置き場にいくつかあったはずだが、あれも処分した方が良さそうだな……」

「それ、どこにあるんですか?」

「敷地の右側だ。行くなら気を付けろよ」


三人は教えてもらった敷地の右側に進んでいく。

「この辺りは被害が少なそうだね」

「ってことは爆発源じゃねえのか」

「はあ……困ったな……」

そんな声が聞こえて三人はそこへ向かう。

「ブレイズ所属ユーゴ・シモンです。ここに保管されていた地爆石が爆発したと聞き、調査に来ました」

「…もうブレイズの耳に届いてるのかい?」

「……まあ、たまたまですけどね。なんでそんな危険な物があるんですか?」

「いやあ……俺は管理してるだけで理由までは……。それよりも今問題なのが……さっき爆発した数より多くの地爆石が、持ち出されたようなんだよ」

「なんですって!?」

「どうやら牢屋の方でも爆発があったみたいだが……あそこにはバイヌセット砦で捕らえた帝国兵の捕虜達がいるからな……。なにかあったら軍法会議ものだぞ……」



その話を聞き3人は急いで駐屯地の牢屋を探す。

「俺達、爆発のことを調査していて牢屋に行きたいんですけど……」

「それならこの先さ。そこでも爆発があったらしいから気を付けろよ」

兵士が道を開けてくれて、三人は司令室の横の煙を上げている建物に向かった。

「貴方達は?」

「ブレイズの者です。怪我人はいますか?捕虜がいると聞きましたけど……」

セリアがそう声をかけると、兵は気まずそうな顔をした。

「それが……三名全員に逃げられてしまいました」

「えっ?」

「発火型リアクター装置を隠し持っていたようで、それで地爆石に引火させ爆発を起こし、牢をこじ開けたみたいです」

「つまり、この爆発騒ぎは……」

「帝国兵の仕業ってことか……」

「……ん?」

ユーゴは首を傾げた。

「でも捕虜三名は牢の中にいたんですよね?最初に牢をこじ開けた地爆石はいったいどこから調達を?」

「……それはわかりませんが、リアクターなら未起動の物が現場に残っていました。装置自体は多少の発火を起こす程度のようです。良ければ差し上げますよ」

「いいんですか?」

「ブレイズの皆様のお役に立てるなら」

ユーゴが発火リアクターを受け取って三人はその場を離れる。

「捕虜はどこに逃げたんだ?」

「私達が来た街道には来なかったから、向かったとしたら別の門じゃない?」


そう言って牢屋の右側の門へ向かった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ