エピソードまとめ

□Cross roads
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ep.1 波々斬ノ国の乱
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「この国の……」

そう呟いて、レオとユーゴに敗れたクゼは地に倒れた。


「あの力は……」

遠目からでも見えていた、2人の肩から溢れていた力の事をアウグストは懸念した。


「はは……負けましたよ。僕が命のすべてを燃やしても敵わないとは……」

「クゼのおっさん……、なんでこんなことを……」

レオは倒れた彼の傍により、その背に手を添え、抱えた。

「……言ったでしょう?この国を愛しているからですよ」

「わかんねえ……。わかんねえよ……おっさん」

「……レオくん、少しだけ耳を貸していただけますか?僕の最後の頼みです。どうか……」

「ああ……」

頷いて、レオは耳を近づけると、クゼは小声で何かを伝えた。


「……クゼのおっさん。それって……」

レオは凄く驚いた顔をしてクゼを見つめた。

「今はわからなくて構いません。ですが、覚えておいて下さい。キミならば……、僕とはまた違う答えに到れるかもしれませんから……」

クゼは優しい笑みを浮かべて、沈む夕陽を見つめた。

「……ああ、この国は本当に…………なによりも、綺麗だ………」

そう言って、クゼは静かに事切れた。
レオは彼を、彼が愛した波々斬ノ国の地に寝かし、立ち上がった。

「……やっぱ、俺にはわかんねえよ……」

そう呟いて、レオは夕陽を眺めるのだった。


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数日後。

「あ、見て見て!」

浅瀬にしゃがんだセリアが、楽しそうな声を上げた。

「どこだ、どこだ!?おお、凄え!」

セリアの隣に立ちレオも騒いでいる。

「あんな事件のあとだというのに、相変わらずだな」

リゼットは優しい声色でそう言いながら、二人を少し離れた砂浜の上から見つめた。

「ホントですね……」

リゼットの横で同じようにユーゴも二人を見つめた。

「これから波々斬ノ国はどうなるのでしょうか?」

「どうもならんさ。確かに大事件ではあったが、実被害はそう大きくもないからな」

「……計画が失敗した際の、被害や影響の少なさも、クゼは想定していたんでしょうか?」

「……どうだろうな。クゼはフルカードに何かを言い残したらしいが、内容は聞いたか?」

「いえ。……レオがはぐらかすので。でも彼がそう判断したなら、きっとそれが正しいのでしょう」

「信頼しているんだな」

「はい。なによりも、誰よりも……」

「おーい、二人とも、早く帰ろうぜー!」

そう言ってレオとセリアが駆け寄ってきた。

「学校のみんなに、俺の気高い武勇伝を語ってやはねえと!」

「ははは……」

「……まあ、なんにせよ。本当に良くやったよ、お前達。これからも期待しているぞ。次代を担う灯火として」

リゼットは三人をまっすぐ見つめてそう告げるのであった。


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一方。
アウグストとアレクサンドラ、ラプラスは帝都ハイガルデンへと戻ってきていた。


「もう、最悪よ。全然ハバキリ堪能できなかったあ」

「いいじゃないですか。収穫は十分にありましたし」

「収穫ねえ?アタシはセリアちゃんで遊べたことぐらいかしら」

「私も前途有望な青年と知り合えたぞ」

「でもお、こんなのが収穫って言えるわけえ?」

「確かに、当初の目論見は外れたわけだしな」

「もしかして外交の話ですか?でしたら、本物のジャハナ氏、及び、新連邦派とやらも、手紙のやり取りの時点で、完全に俗物でしたので、ハナから期待はしていなかったですね」

「そ、そうなのか。……ならば、お前の言う収穫とは……」

「大きくは二つですね。一つは私がワタムスビに直接、接近できたこと。それと、近く我が国にもう一人、狼将を迎えることになるでしょう。……戦争集結の鍵ともなりうる。至高にして、最悪の狼将を……ね」

そう言ってアウグストは、明後日の方を眺めるのだった。


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〔エピローグ〕

薄暗い部屋に月明かりが差し込み、3つの影があった。


「……以上が、波々斬ノ国で起こった事象の全容となります」

「……ふふっ、報告ご苦労。下がれ」

「ハッ」

影のひとつが瞬時に消える。

「さて?如何なされますか?」

長い白髪で大きな黒い帽子を被った男が、もう一人にそう尋ねる。

「そうだな……。レオ・フルカードにユーゴ・シモン……。イーディス騎士学校に在籍する今年度のブレイズ……。彼らには大変興味が湧いてきた。是非、この身で直接、接見してみたいものだ」

「……そうですか。では、実現できるよう取り計らっておきましょう」

「苦労をかけるな」

「なにを仰ります。すべては貴女の御心のままに……」

ブルーグリーンの髪を大きく煌びやかな装飾でまとめた少女のような姿の人に、男──パストは頭を垂れる。

「……法王カナン聖下」



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〔次回予告〕※CV.ファルク

次回、テイルズオブルミナリア
クロスロード

ep.2 連邦帝国共同作戦

ファ「こりゃあ、デケエ手柄になりそうだぜえ!」

リゼ「つべこべ言ってないで、さっさと歩け!」

ファ「は、はいっ!」
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