エピソードまとめ

□リディ・ドラクロワ
6ページ/6ページ

ep.1 天災となる天才
─────────♢────────


「くう……。はあ……はあ……」


肩で息するリディの足元には、追手の男たちが転がっていた。

「体力が底をついてきた。特別栄養携行ドリンクの効果も、もう……。けど、やるしかなさそうね!」

息巻いてリディが銃を向けたのは、先程までの追手とは違う、黒ずくめでフードで顔を隠した男だった。

「あなた。他の連中とは違うでしょ?あなただけは、あたしのことを本気で殺そうとしてきてた。暗部の人間ね」

「なんの話だ?」

「とぼけないで」

「……破滅の預言者。貴様は法王様に。……いや、世界に災いをもたらす。生かしてはおけん」

そう言って男は双剣をリディに向かって振るった。


────────────────────

リディのジャージレーザーが相手を居抜き膝をつかせた。

「くっ!これほどとは……」

そう言った、男の体からジジジと嫌な音が流れ、リディは後ろに飛んで距離を取った。
次の瞬間、ドゴンと爆ぜたような男煙がだって男の姿形が無くなった。

「自爆した……。……いえ、逃げられたわね」

とりあえず撃退は出来た。
今はとにかく急いで街を出ようと、リディは西に向かって走り出す。


「暗部も一枚岩じゃないってことね。ガスパルのやつ、あんなのがいるなら教えておきなさいよ。まさか命まで狙われるなんて。連邦の暗部に実の親……あたしには敵が多すぎる。早く信頼のできる護衛を雇わないと。酒場に急ぎましょう」

西門を開け街道を出る。
先程、男の子が教えてくれた通りならこの先が酒場への道のはずだ。

「同行者……。たくさんの敵から、あたしを守ってくれる護衛。……いえ。一方的に頼るんじゃない、同じ思いであたしと歩んでくれる。そんな人がいれば……。……そういえば」

ふとリディは思い出した。

「ガスパルが手紙に書いていた、"氷"って……」

氷を送ると書いてあったが、貰った手紙には、手紙以外のものは入っていなかった。
そう思い返しながら、リディは到着した門を押し開けた。

「あれは……」

門の正面から酒場の看板が見えた。
そしてその前にいる女性が、天然パーマのような黒髪の青年に、お兄さんかっこいいから安くしてあげるわよ、と声をかけていた。
青年はオレが金をもらえるんじゃないのか、なんてとんでもない返しをしている。

リディはそんな青年の胸元で光るものに目がついた。

「あのネックレス……」

青い、氷塊のような形をしたネックレス。


お詫びに、氷を送って置いたから、好きに使ってくれていいよ


「"氷"。マイシュ氷涯国……。そう。彼が」

リディはひっそりと、酒場に入って行く青年の背を見つめるのだった。


────────────────────

〔エピローグ〕

ガスパルが言っていたんだから、信頼できる。そして、彼が本当にマイシュの元王子……、エドワール殿下なら強さも申し分ない。


そう思ったリディは青年の後を追って酒場へと足を踏み込んだ。


彼を護衛として雇えるなら。
あたしの目的達成に大きく近づく!
証明してみせる。


世界が滅びるってことを。


────────────────────

〔次回予告〕
次回、テイルズオブルミナリア
エピソード リディ

ep.2 (うごめ)く人の闇

あたしは天才だもの。次回もなんてことないわ
次の章へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ