エピソードまとめ
□リディ・ドラクロワ
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ep.1 天災となる天才
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「くう……。はあ……はあ……」
肩で息するリディの足元には、追手の男たちが転がっていた。
「体力が底をついてきた。特別栄養携行ドリンクの効果も、もう……。けど、やるしかなさそうね!」
息巻いてリディが銃を向けたのは、先程までの追手とは違う、黒ずくめでフードで顔を隠した男だった。
「あなた。他の連中とは違うでしょ?あなただけは、あたしのことを本気で殺そうとしてきてた。暗部の人間ね」
「なんの話だ?」
「とぼけないで」
「……破滅の預言者。貴様は法王様に。……いや、世界に災いをもたらす。生かしてはおけん」
そう言って男は双剣をリディに向かって振るった。
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リディのジャージレーザーが相手を居抜き膝をつかせた。
「くっ!これほどとは……」
そう言った、男の体からジジジと嫌な音が流れ、リディは後ろに飛んで距離を取った。
次の瞬間、ドゴンと爆ぜたような男煙がだって男の姿形が無くなった。
「自爆した……。……いえ、逃げられたわね」
とりあえず撃退は出来た。
今はとにかく急いで街を出ようと、リディは西に向かって走り出す。
「暗部も一枚岩じゃないってことね。ガスパルのやつ、あんなのがいるなら教えておきなさいよ。まさか命まで狙われるなんて。連邦の暗部に実の親……あたしには敵が多すぎる。早く信頼のできる護衛を雇わないと。酒場に急ぎましょう」
西門を開け街道を出る。
先程、男の子が教えてくれた通りならこの先が酒場への道のはずだ。
「同行者……。たくさんの敵から、あたしを守ってくれる護衛。……いえ。一方的に頼るんじゃない、同じ思いであたしと歩んでくれる。そんな人がいれば……。……そういえば」
ふとリディは思い出した。
「ガスパルが手紙に書いていた、"氷"って……」
氷を送ると書いてあったが、貰った手紙には、手紙以外のものは入っていなかった。
そう思い返しながら、リディは到着した門を押し開けた。
「あれは……」
門の正面から酒場の看板が見えた。
そしてその前にいる女性が、天然パーマのような黒髪の青年に、お兄さんかっこいいから安くしてあげるわよ、と声をかけていた。
青年はオレが金をもらえるんじゃないのか、なんてとんでもない返しをしている。
リディはそんな青年の胸元で光るものに目がついた。
「あのネックレス……」
青い、氷塊のような形をしたネックレス。
お詫びに、氷を送って置いたから、好きに使ってくれていいよ
「"氷"。マイシュ氷涯国……。そう。彼が」
リディはひっそりと、酒場に入って行く青年の背を見つめるのだった。
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〔エピローグ〕
ガスパルが言っていたんだから、信頼できる。そして、彼が本当にマイシュの元王子……、エドワール殿下なら強さも申し分ない。
そう思ったリディは青年の後を追って酒場へと足を踏み込んだ。
彼を護衛として雇えるなら。
あたしの目的達成に大きく近づく!
証明してみせる。
世界が滅びるってことを。
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〔次回予告〕
次回、テイルズオブルミナリア
エピソード リディ
ep.2 蠢く人の闇
あたしは天才だもの。次回もなんてことないわ