エピソードまとめ

□エドワール・ルキエ
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ep.2 英雄の条件
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「よし、ここまでくれば……」

「もうすぐ出口ですわね!」

「たすかった……」

そう言いながら三人は、出口への道を掛けて行く。

「おおーい!」

少し離れたところから呼び声が聞こえてきた。

「これは……ラウルの声ですわ!」

「うおーい!」

「だんだん近づいてきてるな」

「迎えに来て下さったのでしょうか」

「だとしたら……」

あの大岩がどうにかなったのだろうか。

進んでいくと向かい側からラウルがいた。

「おっさん!出口開けておいてくれたんだな!」

「お、エドかい!?無事でなにより。お兄さん達、頑張ったよ!」

「お兄さん"達"……?」

不思議に思いながらも、ラウルと共に三人は先へ走る。


「お嬢様!お嬢様は無事ですか!?」

「シャルルの声ですわ!」

走っていくと、花畑の所にシャルルと、リディ、それに鉱夫達がいた。

「お帰り」

「リディ?なんでここに……」

「いやー、あの状況……一人じゃどうにもできないと思ってさあ慌ててリディちゃん達を呼びに戻ったんだよ」

リディの代わりにラウルがそう答える。

「ありがとうございますわ!リディ、シャルル」

「お嬢様のためなら、なんだってやりますとも!」

シャルルは喜んでそう答える。

「無事全員生き残れたな」

4人の仲間も、鉱夫達も全員無事だ。

「ええ。辛いことも嫌なことも起こりませんでしたわ!」

「……今回はたまたまだ」

「たまたまでもこちらの方が断然いいですわ」

ね?っとアナマリアがエドワールを見上げる。

「ああそうだな」

そう言ってエドワールが少し笑って返す。

「なにいい空気出しているのですか!」

怒ったシャルルが拳を握ってエドワールに詰め寄る。

「そういう空気じゃなかっただろうが……」

「おいおい、マジでそんな空気じゃなさそうだよ!?」

驚いたラウルの先を見れば、先程倒した大型の獣の別個体がいた。

「来るぞ!」

そう言ってエドワールは獣─フラマゴーネ相手に双剣を構えた。

「リディとラウルは鉱夫を守ってくれ!」

「わかったわ」

そう言ってリディとラウルが鉱夫達の方へ走った。


〔戦闘会話〕
シャ「お嬢様!二人きりの時にエドに不埒な真似はされませんでしたか!?」

エ「するわけねえだろ」

シャ「なんですって!?手を出さないなんて、お嬢様に魅力がないとでも!?」

エ「どっち選んでも不正解じゃねえか………」


〔フラマゴーネ残りHP3分の2〕
ア「エド、わたくし決めましたわ。この旅を……冒険を、なにがあっても続けますわ」

エ「……辛いことに直面してもか?」

ア「わたくし無知ですの」

エ「自分で言うか?」

ア「事実ですもの。しょうがありませんわ。ですがだからこそ色々と学ぶ必要があると思いますの」

エ「そいつはいい心がけだな。」

ア「辛いことも嫌なことも、経験してみなければわかりませんわ」

エ「なるほど。……少し見直した」

ア「ほえ?」

エ「世間知らずでアホなのに変わりはないが、ちゃんと考えてるんだな」

ア「それは褒められていますの?貶されていますの?」

エ「一応褒めてる」

ア「それほどでも一」

エ「ふっ」


〔フラマゴーネ残りHP3分の1〕
シャ「往生際が悪いですよ!いい加減倒れて下さい!」

ア「確かに、しぶといですわね!」

エ「攻撃の手を緩めるな!ここでオレ達が抜かれれば街の人間に危険が及ぶ。なにがなんでも、こいつはここで仕留めるぞ!」

ア「了解ですわ!」

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「ふう」

倒したフラマゴーネがマナに還っていき息をつく。

「ん……」

エドワールは上から妙な気配を感じ、花畑の上の吹き抜けを見上げた。
吹き抜けの天井にはこちらを見下ろす、爪が長く、青い体の二足歩行のリザードマンのような獣がいて、こちらに気づかれるとそそくさと立ち去って行った。

「……なんだったんだ?あの薄気味悪いのは……」

「あれは………」

同じように見上げたリディがじっと考える。

「気になるところだけど、みんなヘトヘトだよ。今はとりあえず街に戻ろう」

ラウルがそう提案する。

「…………そうだな」

エドワールも少し考えて、ラウルの提案に頷くのだった。


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〔エピローグ〕


鉱山からドルガノーアの街へ戻ると、5人を沢山の拍手が出迎えた。

「あんた達は英雄だ!」

「……英雄なんて呼ばれるガラじゃねえよ」

エドワールは少し俯いた。そんなエドワールの顔をアナマリアが覗き見た。

「そうでしょうか?わたくしは損得抜きで、真っ先に動いたエドのこと、かっこいい英雄だと思いますわ」

「……報酬のためだ」

「またまた一」

そっぽを向いたエドワールをラウルがからかう。

「彼らの歓声が、エドを英雄だと認める証明ですわ」

依然拍手が送られ続けている。

「ふん……」

エドワールの胸元で、マイシュの国宝がキラリと光った。


「マイシュを救えなかったオレに、英雄なんて……」

そうエドは小声で呟くのだった。

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〔次回予告〕
次回、テイルズオブルミナリア
エピソード エドワール

ep.3 一夜限りの王子様

やれやれ……。どうしてこうなった……。
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