エピソードまとめ

□セリア・アルヴィエ
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ep.2 慈悲と覚悟
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無事任務を完遂させ、ヴァネッサを先頭に、三人は報告のため騎士学校へと歩き出した。


真っ直ぐ前を向き歩くヴァネッサとセリアと違いミシェルは、少し俯いていた。

「……ミシェル、その……今回は本当に……」

気を使って、セリアはミシェルに声をかける。すると、ミシェルは急に足を止めた。

「ごめんなさい、セリア」

そう言ってミシェルは、深々と頭を下げた。

「……へ?」

「……甘いことばかり言って、セリアに手を汚させて……。私、全然成長してない。あの時から全然……」

ゆっくりと顔をあげて、ミシェルはそう呟く。

「……えと」

最後の言葉の意味がよく分からず、セリアは少し考える。

「よくわかんないけど、それはそれでいいんじゃない?」

「え?」

「料理と同じよ。ミシェルにはミシェルの、私には私の正解があるだけ」

そう言ってセリアが歩き出して、ミシェルもその隣を歩く。

「むしろ、あそこでミシェルが殺したがる方が引くし。謝るのは私の方……。モヤモヤさせてごめんね?」

「……セリアは、私が出会ってきた誰より、優しい人ですね」

「そんなことないって。優しさなら、レオの方が……」

ナイナイとセリアは手を横に振った。

「フルカードさん……ですか……」

ミシェルは眉を下げ困ったような顔を見せた。

「……ずっと気になってたんだけど、レオ苦手?」

「そ、その、苦手というか、なんというか……」

ミシェルは下を向いてモジモジとしだして、セリアはそれを肘でつついた。

「なになに?詳しく聞かせてよ」

「お前達、はしゃいでいないで早く報告へ戻るぞ」

だいぶ距離が空いたのを見て、ヴァネッサがそう言う。

「は……、はい!」

助かったと、言わんばかりにミシェルは元気よく返事を返し走っていく。

「あ、こら、ミシェル!」

セリアが呼ぶがミシェルはそのままヴァネッサの元に向かってしまう。

「……逃げられちゃった」

そう言って、セリアは足を止めて、空を見上げる。

「もし、また地獄を覗くようなことがあっても……。その時は絶対に、傍にいるからね。レオ、ユーゴ」

セリアは真っ直ぐ前を見据え、歩き出したのだった。

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〔エピローグ〕

騎士学校へと帰っていく、三人の背を、身を潜め見るものがひとり。

「ル・サント実験の副産物。特殊変異個体"(へい)"の消滅を確認。観測完了。帰還する」

そう言って、露出度の高い黒いフード付きの衣服を来た、タトゥーだらけの男が立ち上がった。

「……しかし、あの者。徒人(ただびと)でありながら………神速の獣を難なく捕捉し、見事、射抜いてみせるか。……セリア・アルヴィエ。"適材"かもしれないな」


そう言って男はじっと、セリアを見つめるのだった。


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〔次回予告〕

次回、テイルズオブルミナリア
エピソード セリア

ep.3 観測者

次回は、ハザールへの任務ね!
……お土産、どうしようかしら?
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