エピソードまとめ
□セリア・アルヴィエ
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ep.1選抜試験
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二人の背中を見守るのが大好きだった。
過去に「あんなこと」があったのに、それでも前に進もうとする二人の姿が私にはとても眩しくて。
だからそんな二人に寄り添い、援護し、見守ることが今の私の生きがいだった。
生きがい、だったのに………。
二人の背中が、遠く霞み始めたのは、
いったい、いつからだったろう?
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【CHAPTER1 落ちこぼれ達】
「只今紹介にあずかったリゼット・レニエだ」
目の前に達、豊満なボディを見せつけるかのような布面積の少ない服を身にまとった藤紫色の髪をショートカットにした女性は、仁王立ちで腕をくみ高圧的な雰囲気をを醸し出していた。
「我らがイーディス騎士学校の誇る、精鋭特殊選抜クラス……通称"ブレイズ"の教官を務めている。既に察している者も多いと思うが……」
そう言ってリゼットはこの場に集められた新入生達一同を見回した。
「今回、こうして諸君ら新入学生の上位成績者32名に集まってもらったのは他でもない。本日、諸君らの中から二名、ブレイズに招き入れる人員を選抜する」
皆、ぴしりと背筋を伸ばす。
「我々ブレイズが欲しているのは、戦場で萎縮する天才でもなければ……誰かの背後に続くだけの優等生でもない。……ただ一つ。人々の先頭に立ち、闇を払って希望を体現する、そんな無類の英雄有り得る資質だ」
教官の話を聞きながら、セリアはギュッと拳を握った。
「ではこれより、ブレイズ選抜試験を開始する!」
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998Y.C. 森国シルヴェーア キトルール草原
「試験の方法は極めて単純。総勢16組のペアを指定された二人で潰し合い、最後に残ったペアだけが合格……」
イーディス騎士学校の外に出たセリアは、教官からの指定されたスタート地点、キトルール草原に来ていた。
「まずはチームメイトと合流する所から……か。とにかく集合場所を目指さなくっちゃ」
そう言ってセリアは弓を左手に持ち、草原を歩き始める。
「問題は誰が私とペアなのか、よね……。試験バランスを考えれば、32人中31の成績の私が組む相手は順当に考えて、1位のユーゴか2位のレオになるのが自然だよね。うん。それならいけるわ!こんな私でも、レオやユーゴと一緒にブレイズに入れる可能性はあるはず…!」
真っ直ぐ歩いて進み、獣避けの冊の前に到着する。
「ここが合流地点のはずだけど………私のチームメイトは……」
「…あ、あのー」
「はい?」とセリアは後ろからの声に振り返る。
「あれ?貴女は確か……」
後ろに立っていたのは茶髪のセミロングヘアの女子。
「同期のミシェル・ブーケです。一応、私も上位成績者としてブレイズ選抜試験に参加していまして………」
「ああ、思い出した」
セリアはぽんと手のひらに拳を打ち付けた。
「確か貴女が唯一私より成績の低い……って、ご、ごめんなさい!」
「い、いいんです。最下位なのは事実ですから」
「ホントに失礼なこと言ってごめんなさい」
もう一度謝れば、ミシェルは、いいんです、と言うように前に突き出した手を小さく降った。
「………でも、そんな貴女がどうしてここに?ここは私のチームメイトとの合流地点なんだけど……」
「あ、はい、同じです。私もこの場所を指定されていまして……」
「え……、それってつまり……」
「はい……あの……大変申し上げづらいのですが………、そういうことなのかも」
「…え。ええええええ!?」
申し訳なさそうなミシェルの前でセリアが叫べは彼女は更に申し訳なさそうにした。
「要するに私達がペア……ってことだよね?」
「……はい」
「まったく。どういうつもりなのよあの教官は!チームの戦力バランス取らないって、試験としておかしいでしょう!」
とりあえず試験会場へ向かおうと歩き出したものの、ぷりぷりと怒るセリアを見てミシェルは、ああはは、と困ったように乾いた笑い声を上げた。
「そうですね。不思議なことなさる方ですよね」
「貴女よくそれで済ませられるわね。こんな理不尽腹立たないわけ?」
「そ、そういうワケではないのですが。
祖父の営む診療所を手伝う中で、病や怪我といった理不尽に苦しむ方は見て来たので、
これぐらいは……」
「そっか……。凄いね、ブーケさんは。…あと
さっきは失礼なこと言ってごめんなさい。自らの実力不足を棚に上げて………」
「アルヴィエさん……。ふふっ」
ミシェルが小さく笑うのを見てセリアは不思議そうに彼女を見た。
「アルヴィエさんは思った通り、素敵な人ですね」
「ええ?この流れでどうしてそうなるのよ?」
「ふふっ」
困惑するセリアをおいて、ミシェルはまだ笑っている。
「ブーケさんって意外と意地悪?」
そんな質問にもミシェルは笑っていた。
「なにはともあれ、よろしくお願いいたします、アルヴィエさん」
「こちらこそよろしく。それと……。セリアでいいわ……ミシェル」
「はいっ!了解です。…セリア!」